『When Marnie Was There』(Joan Robinson, 1967)
舞台はイングランドの東部・ノーフォーク。小さな川や湿地の多い低地帯である。主人公は小学校低学年の女の子・アンナ。夏休みはまだずっと先なのに、アンナはロンドンの家を離れてノーフォークの田舎で暮らすことになる。ぜんそくがあるせいもあったが、アンナが「ひどくぼんやりしていて」「特に友達もいなくて」「したいこともないし」「やってみようともしない」のを心配した養い親のミッセス・プレストンが、古い友達のペグさんにアンナをしばらく預かってもらうことにしたのだ。こうしてアンナは一人で汽車に乗ってノーフォークへ旅立つ。
ペグさんとその夫のサムおじさんの家は、小さいけれども清潔で、あたたかくて、あまくて、古めかしい、なつかしい匂いがした。田舎に着いたその日から、アンナは一日中ショートパンツで歩き回る。人里離れた静かな、ボートと鳥と水と、そして広い広い空だけの別世界を。そしてある日、アンナは入り江に面した古い屋敷と、そこに住む女の子に出会う。マーニーという名の、いつもきれいな服を着ていて、どこからともなく現れて急にいなくなったりする、ちょっと気まぐれなその女の子は、アンナにとって大事な友達になった。
最近スタジオジブリでアニメ化されて話題になっているので、昔読んだ原作を読み直してみたところ、いかにもイギリスの児童文学らしい構成と内容の、すばらしい作品だとあらためて思った。映画は主人公が日本人になっているようなので、原作とは別物とみたほうがよさそうだ。(2014.9.26読了)