翻訳練習 課題18


2018年度前期の韓国語講座「翻訳の秘訣」で練習したものの記録です。(2018.6.116.18

動詞6-言い聞かせる

意味:타일다,설득하다

原文1:ちゃんと鍵を閉めるように子どもに言い聞かせて、両親は急いで出かけて行った。

訳文:문을 잠그라고 아이에게 다짐하고 부모는 서들러 집을 나갔다.

原文2:バナナは貴重品だと言い聞かせられて育った世代c0077412_07112715.jpg

訳文:바나나가 귀한 음식이라고 들면서 자란 세대

  1950年頃までの日本も同じでしたね。韓国ではもっとずっと後までバナナは貴重品だったようです。1990年代に日本語教師をしていた頃、韓国人留学生が日本のバナナの安さに感激していたのを思い出しました。)

動詞7-牛耳る

意味:좌지우지(右之左之)하다

原文1:外資系が牛耳る市場に、特化したサービスで挑戦する。

訳文:외자계 기업이 장악하는 시장에 특화한 서비스로 도전한다.

原文2:アジアのスターが米国の音楽業界を牛耳る日が来るだろうか。

訳文:아시아 스타가 미국 음악 업계에 군림하는 날이 올까?

動詞8-まる

意味:단속하다,관리하다

原文1:車のスピード違反を宇宙から取り締まるシステムが試験運用されている。

訳文:자동차의 속도 위반을 우주 공간에서 원격으로 단속하는 시스템이 시범 운용되고 있다.

原文2:我が社の代表取締役のインタビューが載った雑誌を社内で配る。

訳文:우리 대표이사 인터뷰 기사가 실린 잡지를 사원들에게배포한다.

動詞9-騒ぐ

意味:떠들다,아우성치다,소동이 벌어지다,화제가 되다

原文1:あの俳優は全く実力がないのに騒がれているのはなぜだろう。

訳文:저 배우는 영 실력이없는데 왜 주목을 받을까? は感情がこもった語)

原文2:政府の業務停止命令があいつぎ、預金の取り付け騒ぎが起こっている。

訳文:정부의 업무 정이 명령이 잇따라 내려져 예금 인출 소동이 벌어지고 있다. 사태가 일어나다は大ごとの場合に使う)

動詞10-挙げる/国を挙げて

意味: 모으다,거국적으로 범국민적으로

原文1:なんども浮上したものの、国を挙げての実現には至らなかった「サマータイム」制が、再び関心を呼んでいる。

訳文:몇 번이나 거론되었는데도 국가 차원으로 실현되지 못했던섬머 타임제가 다시금 관심을 모으고 있다.

原文2:私たちにできるのは、被災者の方たちに、国民を挙げて「サポートされている」という実感を持ってもらうことだ。(またまた日本語が変)

訳文:우리가 할 일은 이재민들에게 범국민적인 지원을 받고있다는 실감을 주는 것이다.


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# by nishinayuu | 2018-11-17 07:12 | 翻訳 | Trackback | Comments(1)


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Island ofthe Blue Dolphins』(Scott O’Dell, 1960

物語の舞台はカリフォルニア沖にあるサンニコラス島。高い地点から見下ろすと全体がイルカの形をしているこの島で、12歳(1835)から30歳(1853)までの18年間、たった一人で生き抜いていく女性の物語。


ガラサット族の暮らすこの島の沖にある日、北の方から赤い帆の船が現れる。ラッコを捕るためにやって来たアリュート人の船だった。浜に降り立った船長とガラサット族の酋長が交渉のために向き合う。このとき酋長が本名を名のったことに、酋長の娘であるカラーナは驚く。本名をやたらに明かすと禍が降りかかるおそれがあるからだ(本名を隠すのは世界各地にみられる風習ですね)。案の定、アリュート人たちはガラサット族との取り決めを守らずに島を立ち去ろうとし、それを阻止しようとして武器をとったガラサットの男たちの多くが死んだり大けがをしたりして、カラーナの父である酋長も死んでしまう。

何とか生き延びた人々の前に、やがて東の方から白い帆の船が現れる。人々は島を捨てて新しい土地に移ることにする。このとき、忘れ物を取りに行った弟がまだ船に乗っていないのに気づいたカラーナは、みんなが止めるのを振り切って海に飛び込む。船はそのまま東の方に消えていき、弟とカラーナは島に取り残される。その弟が、野犬に襲われて死んでしまったため、カラーナはついに独りぼっちになってしまう。そしてカラーナのまるでロビンソンクルーソーのような生活が始まる。家を造り、食べ物を集め、着る物も作れば、移動手段のカヌーも作る。そして、「女は武器を作ってはいけない」という一族の掟や、「女の持つ弓はその人がいちばん危なくなったときに折れる」という父の教えも乗り越えてたくましく生きていく。18年後にやっとまた東のほうから船が現れる日まで。

実話に基づいた作品で、モデルになった女性は実際に12歳から30歳まで(18351853)の18年間、サンニコラス島に一人で暮らしていたという。ただし彼女は東の地(カリフォルニア)の人々とは言葉が通じなかったため、島での生活に関する詳しい記録は残っていない、とあとがきにある。ほとんど資料のないところからこのような魅力的な物語を作り出した作者の力量に驚かされる。とくにカラーナが野犬のボスになっていたアリュートの大型犬、傷ついて死にかけていたラッコ、などの動物たちと心を通わせていくエピソードは感動的。

エピソードの一つとして大津波と大地震が出てくるのは、カリフォルニア地方の人々に1906年の大地震の記憶がまだ新しかったからだろうか。カラーナが島にいた期間には別に大地震の記録はない。(2018.7.31読了)


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# by nishinayuu | 2018-11-12 09:25 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)


c0077412_10030122.png本書は『波』の20101月号~20149月号に掲載された「とかなんとか言語学」と、『熱風』(スタジオジブリ)の20121月号に掲載された「問答無用の「健康」印」に加筆修正したものだという。著者はノンフィクション作家。英実を「ひでみね」と読むのにはびっくり。本書にはそれほどびっくりすることは書かれていないが、共感した部分、印象に残った部分を列挙しておく。

*「日本語は難しいよね」とつぶやく人をよく見かける(…)難しいわりには外国人力士たちは日本語がとても流暢である。母国語のクセのようなものもないし、口ぶりというか顔つきまで日本人のようで、(…)さらには様々なしきたりも無難にこなしており、その姿を見ていると日本文化というものは深淵ではなく、むしろ簡便で汎用性の高いものではないかとさえ思えてくるのである。【なに】

*早い話、「リスク」とは言い訳。言い訳には好都合だから「リスク」は日本人に常用語として浸透したのではないだろうか。(…)「危険」なら避けるべきだが、「リスク」なら」隣り合わせ」も許容される。金融機関などは「リスク」を商品化するくらいで、「リスクが潜む」というより「リスク」ということばを濫用することで「リスク」を招き入れ、危険を現実にしているのである。【リスク】

*経済用語としての「景気」はかつて「経紀」と書かれていたらしい。(…)「経紀」は「経過をしるす」ようで、帳簿を彷彿させる。欧米の「business」もおそらくそのことを指しているわけで、景気循環も経紀循環なら、あくまで数字上の法則として納得できそうである。(…)経紀はよくないけれど景気よく頑張りましょう。時候の挨拶としてもそのほうが元気がでるのではないだろうか。【景気】

*(日野原重明さんの)著作を通読してみると、先生自身の健康ぶりに圧倒される。健康とは「自分が『健康だ』と感じること」らしく、感じたもの勝ちの様相なのである。そのせいか自分の職業やら克服した病気などには感謝しているが、毎日の健康的な食事の支度など、彼を支えている人々にはほとんど触れていない。要するに、自画自賛を貫いているのだ。【健康】

*「疲れる」は『古事記』にも「暫疲(しばらくつかれき)」と登場するほど古くから使われている。さらに驚くのは一人称のことを「僕(やつかれ)」と呼んでいたのである。「やつかれ」とは「やつこ(奴)」+「あれ(我)」の略ともいわれているが、橘守部などは「痩疲れの意なるべし」と断言している。要するに、痩せて疲れていること自体が「私」を指しているのだ。【つかれ】

2018.7.29読了)


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# by nishinayuu | 2018-11-07 10:06 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)


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本作は第153回上半期の芥川賞受賞作。同時受賞の『火花』が読書会「かんあおい」の7月の課題図書だったので、ついでに読んだ。選考委員・島田雅彦の評にある通り、「間もなくお迎えが来る祖父を在宅看護せざるを得なくなった孫の悪戦苦闘を描きながら、今日の〈家族の肖像〉を鮮やかに定着させている」小説である。

家族は作中で88回目の誕生日を迎える祖父、今年還暦を迎えて嘱託勤務に切り替わった母、そして語り手である28歳の青年。フリーターの語り手は今年になって花粉症を発症したばかりか、慢性的な腰痛もある。寝起きも悪くて11時頃まで寝ている。それでも資格試験の勉強をしながらアルバイトにも出かけるし、デートにも出かける。その合間に祖父の話し相手もすれば、入浴の手伝いなどの細々とした介護もして、あれこれ忙しい毎日を送っている。

一方、介護される側の祖父は「じいちゃんなんか、早う死んだらよか」とことあるごとに長崎弁でぼやく。「じいちゃんは邪魔やけん部屋にもどっちょこうかね」といじけることもある。それに対する母親の応答がスゴイ。「いちいち宣言しなくてもいいんだよ糞ジジイが」「あんにゃろう、これみよがしに杖つきやがって。杖なしでも歩けるくせによ」とか。語り手はこの点について「後期高齢者の介護生活に焦点を絞った場合、おそらく嫁姑間より、実の親子のほうがよほど険悪な仲になるのではないか」という。

語り手は、365日の内330日以上「死にたい」と切に思い続けている老人のために、目的を最短距離でやり遂げられるようにしてやろう、と思うに到る。母のやり方に逆らって祖父に手を貸して祖父の筋肉を衰えさせ、祖父にあれこれ考えさせないようにして脳を活性化させる機会も奪うことにする。そしてそれとは逆に語り手は、自分の筋肉や神経回路を開発するために過酷なトレーニングとがむしゃらな学習に励む。まさにスクラップとビルドである。しかし語り手はある出来事をきっかけに、祖父の本音に気づくことになる。

つい卑屈になってしまう祖父、つい暴言を吐いてしまう母、つい一生懸命になってしまう語り手。三者三様の家族の姿は滑稽でちょっぴり悲しいが、温かく穏やかな気持ちで読み終えることができる。

2018.7.20読了)


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# by nishinayuu | 2018-11-02 09:15 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)

翻訳練習 課題17


2018年度前期の韓国語講座「翻訳の秘訣」で練習したものの記録です。(2018.5.216.4

動詞1-いう/話す/語る

意味:말하다,이야기하다 (「語る」にはストーリーのある話を筋道を立てて話すという意味がある)

原文1:身の上話を細かく語る。

訳文:자신의 처지에 대해서 자세히 아야기하다. /구구절절이 사연을 풀어 놓는다.

原文2:朝礼の時間、校長先生のお話を聞く。c0077412_00010145.jpg

訳文:조회시간에 교장선생님의 말씀을 듣는다.

原文3:誰かと電話しているのだと思ったら、ぶつぶつ独り言を言っているのだった。

訳文:누구랑 통화하는 줄 알았는데 혼자 뭔가 중얼거리는것이었다.

動詞2-せかける

意味:꾸미다,가장하다,속이다,사칭하다

原文1:ただのキュービックを宝石に見せかけて高値で売りつける。

訳文:아무것도 아닌 쿄빅을 보석으로 둔갑시켜 고가로 팔아먹다.

原文2:結局、彼の優しさはみせかけだけだった。

訳文:그이의 정성은 결국 거짓이었다.

原文3:ヤミ金融業者が、大手銀行の系列のように見せかけた詐欺広告を掲載することがある。

訳文:사채업자가 대형 은행의 계열사를 사칭하는 사기 광고를계재할 사례가 있다.

動詞3-

意味:사귀다, 교제하다,행동을 같이하다,상대하다,교류하다

原文1:「明日は休日だし、一杯ぐらい付き合えよ」

訳文:내일은 쉬는 날인데 한잔 하고 가자. 한잔 하고 가자は決まり文句)

原文2父の優柔不断ぶりにはこれ以上付き合いきれない。

訳文:아버지의 우유부단한 태도는 이상 못참겠다.

動詞4-める

意味:결정하다,결심하다,단정하다

原文1:交通の便まで考えて引っ越し先を決める。

訳文:교통편까지 고려해서 이사갈 곳을 결정한다.

原文2:彼は悩んだ末に、家業を継ぐことに決めた。

訳文:그는 고민 끝에 가업을 이어나가기로 결심했다. (長い時間を見通した決心)

原文3:雨が降っていたが、家まで走って帰ることに決めた。

訳文:비가 내리고 있었지만 집까지 뛰어가기로 마음을 먹었다. (一時的な決心)

動詞5-考える

意味:생각하다,고민하다,감안하다,고려하다,판단하다

原文1:現地の気候まで考えて旅の支度をする。

訳文:현지의 기후까지 감안해서 여행 준비를 한다.

原文2:動かぬ証拠を前に、彼は女が犯人だと考えた。

訳文:결정적인 증거를 앞에두고 그는 그녀가 범인일 거라고 판단했다.

原文3:先のことばかり考えて行動に移せないでいるから、臆病者と言われるのだ。

訳文:앞일만 걱정하고 정작 행동으로 옮기지 못하니 겁쟁이라고 불리는 것이다.




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# by nishinayuu | 2018-10-28 11:11 | 翻訳 | Trackback | Comments(1)

翻訳練習 課題16


2018年度前期の韓国語講座「翻訳の秘訣」で練習したものの記録です。(2018.5.145.21

名詞37-どちらかというと

意味:어느 쪽인가 하면

原文1:犯人は黒い服を着て、どちらかというと背が低く青白い顔をしていた。

訳文:범인은 검은 옷을 입었고, 키가 약간 작은 편이며 얼굴이 창백했다. (「どちらかというと」を直訳せずに、약간を使えば自然な韓国語になる。)

原文2:スポーツ観戦か映画鑑賞なら、この休日はどちらかというと屋内で過ごしc0077412_11033803.jpgたい。

訳文:스포츠 관람이나 영화 감상 하나만 고르자면 이번 휴일은 실내애서 보내고 싶다.

名詞38-加減

意味:알맞은 정도, 상태

原文1:(お見舞いに行って)「思っていたよりお加減がよさそうなので安心しました」

訳文:생각했던 것보다 안색이 좋아 보여서 마음이 놓였어요.(体調状態しを判断するのは医者看護師。見舞客にわかるのはせいぜい「顔色」。)

原文2:嘘をつくのもいいかげんにしろ。

訳文:거짓말 작작 .

名詞39-様子

意味:상태,상황,모습,기색,흔적

原文1:政治や社会の様子をウィットを利かせて描いたものが風刺漫画である。

訳文:정치와 사회 풍조를 재치 있게 그린 것이 풍자만화이다.

原文2:現在では自宅にいながら、リアルタイムで世界各地の空の様子がわかります。

訳文:요즘은 집에서도 실시간으로 세계 각지의 날씨 상황을 있습니다.

名詞40-

意味:사람,어른,,남편(부인),인품

原文1:あんな卑しい人が社長だなんて、下で働く社員がかわいそうだ。

訳文:저런 야비한 인간이 사장이라니, 밑에서 일하는 사원들이 불쌍하다.인간

:生物としての人間、というニュアンス。)

原文2:(小言をいう妻を無視して浴室に向かう夫に)「人の言うこと聞いてるの?」

訳文:내 말 안 들려?




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# by nishinayuu | 2018-10-23 11:04 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)


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本書には「本にまつわるサスペンス」が4つ収録されている。




1.『受け入れがたい犠牲』(ジェフリー・ディーヴァー)

 『An Acceptable Sacrifice』(Jeffery Deaver,2012

『ボーン・コレクター』で有名な作家による短編。麻薬王のクチージョを殺すために雇われたアメリカとメキシコのエージェント。ただしクチージョは、世間的には合法的な会社経営で富を築いた実業家であり、慈善家でもある。教養のある古書マニアという顔を持つ。彼が観光バスの襲撃を計画しているという情報があって動くことになった二人だが、彼は本当に悪人なのか、という疑問が任務遂行をためらわせ……。

2.『美徳の書』(ケン・ブルーエン)

 『The Book of Virtue』(Ken Bruenn,2012

若者のテンポで展開する若者の感覚に溢れた1編。この作者の作品は連発されるジョークが特徴だそうだが、正直、ついていけない!

3.『ナチス・ドイツと書斎の秘密』C.J.ボックス)

 『Pronghorns of the Third Reich』(C.J.Box,2011

ライルとファンの二人組に拉致された弁護士のパーカーは、人里離れたアングラー牧場に連れて行かれる。かつてパーカーは「ナチとの取引で資金を得たアングラーによって祖父が不正に牧場を奪われた」というライルの主張を証拠不十分として退け、アングラーを無罪にしている。そのライルがアングラーの遺した膨大な蔵書を手に入れようとして、遺産管理人であるパーカーを拉致したのだ。雪嵐の中、気が変わったファンは二人を残してピクアップ・トラックと共に立ち去る。酷寒の中でパーカーとライルの命がけの駆け引きが始まる。緊迫感にあふれ、結末の衝撃度も大きい印象的な作品。

4.『死者の永いソナタ』(アンドリュー・テイラー)

 『The Long Sonata of the Dead』(Andrew Taylor,2013

文学史上のマイナーな資料にまつわる長年の仇敵との因縁。文学的色合いが濃厚で、余韻のある作品。

翻訳者によって紹介されている作品のうち、今後読んでみたいものをいくつかメモしておく。

『幻の特装本』(ジョン・ダニング、1995)/『匿名原稿』(ウィル・ハリス、1983)/『二巻の殺人』(エリザベス・デイリイ、1941)/『章の終わり』(ニコラス・ブレイク、1957)/『著者略歴』(ジョン・コラピント、2001

2018.8.3読了)
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# by nishinayuu | 2018-10-18 14:22 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)


『本にまつわるミステリー』(オットー・ペンズラー編)

本書には「本にまつわる奇妙な話」が三つ収録されている。

1.『カクストン私設図書館』(ジョン・コナリー)

The CaxtonPrivate Lending Library & Book Depository』(JohnConnolly,2013

2.『亡霊たちの書』(リード・ファレル・コールマン)

The Book ofGhosts』(Reed Farrel Coleman,2003

3.『巻物』(アン・ペリー)

The Scroll』(Anne Perry,2012

c0077412_17012447.jpg三つの中でいちばん気に入ったのは1の『カクストン私設図書館』。その前半の概要は――

1968年の秋、36歳のバージャー氏は、勤めていた役所の移転と母親の死をきっかけに退職し、母の遺したグロッサムの家で長年の夢だった物書きの生活を始める。しかしすぐに自分に才能がないことに気づくと、平凡な読者という立場に落ち着き、毎晩線路脇を散歩するのが習慣になった。そんなある日、バージャー氏は黒いドレスの美しい女性が、持っていた赤いバッグを放って列車に飛び込むのを目撃する。これがバージャー氏とアンナ・カレーニナとの出会いだった。2月に再びアンナが現れたとき、バージャー氏は彼女が列車に飛び込むのを邪魔する。そのまま立ち去ったアンナの後をつけると、アンナは古い倉庫群にある赤煉瓦の建物の中に消える。月明かりの中でバージャー氏がドアに刻まれた名前を読むと「カクストン私設図書館」とあった。

作中に次のような句節があり、共感を覚えた。

「新しい役所となる建物は寒々しいブロック建造物だ。個性や奇抜さをいっさい排除し、スチールやガラス、鉄筋コンクリートを用いた普遍的なデザインが特徴の建築家ル・コルビュジェの信奉者が設計したという。この建物は、かつて豪奢なヴィクトリア朝の駅舎があった跡地にその無個性で無粋な姿をさらしている。」

2018.7.22読了)


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# by nishinayuu | 2018-10-13 17:07 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)


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『本にまつわるミステリーⅡ』(オットー・ペンズラー編)

本書はオットー・ペンズラーが電子書籍化した短編の中から10作品を選びだして3巻に分けたシリーズの2巻目である。オットー・ペンズラー(1942~ )はアメリカのジャーナリスト、作家、評論家、ミステリー蒐集家であり、「ミステリアス・プレス」というミステリー専門出版社の創設者でもある。

本書には「本にまつわる刑事・探偵小説」が三つ収録されている。

1.『本棚殺人事件』(ネルソン・デミル)

The BookCase』(Nelson DeMille,2011

冒頭に死体が登場するが胸の悪くなるような描写はなく、語り口も話の展開も軽快で楽しい作品。

2.『絵本盗難事件』(ローラ・リップマン)

The BookThing』(Laura Lippman,2012

紙の本の行く末を考えさせられる作品。殺人もなければ、「悪い人間」も出てこない。舞台はエドガー・アラン・ポーの出身地であるボルチモア。

3.『ブック・クラブ殺人事件』(ローレン・D・エスルマン)

Book Club』(Loren D. Estleman,2012

登場人物たちの丁々発止のやりとりが愉快な作品。舞台はニュー・メキシコ州の小さな町、グッド・アドヴァイス。元刑事で今は本屋の主であるシェアクロスと警察署長のドカティが手を組んで、愛書家殺しの犯人を追いつめる。

2.のタイトルとなっている「BookThing」は実在の施設で、本の寄付を受け付け、欲しい人は誰でも無料で本がもらえるようになっているという。開館日は毎週末。無料でもらえる本の上限は一日に15万冊。(捨てるに忍びない本を持ち込めるこんな場所がわが家の近所にもあればいいのに。)

2018.7.16読了)


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# by nishinayuu | 2018-10-08 09:41 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)


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本作は『ショーシャ』の作家による最初の児童書で、ヨーロッパのユダヤ人社会に伝わる民話や伝説をもとにした7つの物語からなる。

Fool’sParadise」には怠け者の男が、「Grandmother’s Tale」には悪魔が、「The Snow in Chelm」「The Mixed-Up Feet and theSilly Bridegroom」「The First Shlemiel」の3編には愚か者たちの村「ヘルム」で起こったできごとが、「The Devil’sTrick」には悪魔より賢かった少年が、「Zlateh the Goat」には互いに助け合って雪嵐を切り抜けた少年と山羊が登場する。愉快な話もあれば、ぞわっと鳥肌の立つ話もあり、心温まる話もある。中では巻の最後に置かれている「Zlateh the Goat」がいちばん心に残った。表題になるだけのことはある。

作者のシンガーは1904年(もしくは1902年)ポーランドに生まれ、1935年に渡米してイディシュ語によって作家活動をした。邦訳書としては『ワルシャワで大人になっていく少年』(金敷力、新潮社)、『ヘルムのあんぽん譚』(関憲治、篠崎書店)、『やぎと少年』(工藤幸雄、岩波書店)、『ルブリンの魔術師』(大崎ふみ子、吉夏社)『父の法廷』(桑山孝子、未知谷)などがある。

ところで本書の表紙絵をはじめとする17点の絵は、絵本『かいじゅうたちのいるところ』で知られるモーリス・センダック(19282012)の作品である。実はこの本はわが家の本棚でずっとツンドク状態になっていたのだが、それはセンダックの絵が苦手だったからだ。子どもだけでなく大人も56頭身に描かれていて、しかも顔つきや目つき、全体の雰囲気がかなり不気味で。それが今回、捨てる前に一度だけ、と思って目を通してみたところ、この内容にはこの絵しかないと思えるほどのすばらしい絵であることがわかり、「食わず嫌い」を反省したのだった。センダックさん、ごめんなさい。(2018.6.28読了)


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# by nishinayuu | 2018-10-03 14:26 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

読書と韓国語学習の備忘録です。


by nishinayuu