2018年 02月 15日 ( 1 )


c0077412_10392549.jpgRÖRGAST』(Johan Theorin, 2013

秋に始まり夏に終わる「エーランド島シリーズ」の第4作目である本書は、「幽霊船はカルマル海峡の黒い海を覆う暗闇から、ぬっと現れた」という文で始まる。ゴムボートに乗っていた少年(このときはまだ名前は明かされていないが、クロス一族の11歳の少年ヨーナス)は、このそそり立つ船と衝突する前に危うくボートを離れて船の甲板によじ登ったが、そこで死んだ船乗りや、瀕死の船乗りに出くわす。エーランド島のステンヴィークの村で20世紀最後の夏が始まったときのことだった。

そして物語は冒頭の出来事の70年前、1930年の夏に引き継がれる。ここで登場するのはシリーズの主役であるイェルロフ・ダーヴィッドソン。このときは14歳で、学業を終えて家の手伝いをし、合間に島内で様々な仕事をしていた。教会墓地の墓堀人の仕事もその一つだった。6月のある日、エドヴァルド・クロスの墓を掘るために墓地に出向いたイェルロフは、そこで墓堀人のベントソンが連れてきた幽霊のように白い少年にであった。イェルロフより少し年下でアーロンという名だった。葬儀を終えた人々が墓の周りに集まり、墓の底に棺を下ろして土で埋め始めたとき、墓の中からノックの音が聞こえた。居合わせた者たちは息を呑んだ。みんなその音を聞いたのだ。イェルロフも、そしてアーロンも。

このようにタイトルに「夏」とあるのに「凍える」エピソードから始まり、エーランド島を後にした少年が長い間「寒い国」に閉じ込められる話が続く。というわけでやはりこの物語も、寒くて冷たい冬に読むのにふさわしい。ただし、ちょっとほんわかするエピソードもないわけではない。一つは『黄昏に眠る秋』で過酷な運命に泣いたユリアが、新しい家族を得て明るく暮らしていること。もう一つはやはり『黄昏に眠る秋』で事情があって皆の前から姿を消したある人物が、晴れてイェルロフの前に顔を出せたこと、などだ。シリーズ中ただひとつ未読なのは「春」の巻。早く読みたい気もするし、大事に取っておきたい気もする。さて…。(2017.12.19読了)


[PR]
by nishinayuu | 2018-02-15 10:40 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

読書と韓国語学習の備忘録です。


by nishinayuu