『こころげそう』(畠中惠著、光文社)
2008年 05月 27日
副題に「男女九人 お江戸の恋ものがたり」とある。幼なじみの男四人、女五人の若者たちが繰り広げる物語で、恋もあれば失恋もあり、お約束のように幽霊も登場すれば、水死体も次々に浮かぶ。若者たちはみんな一途でまじめ、若者たちを見守る大人たちもしっかりした頼もしい人たちで、悪者は彼らとは別の人たち、という具合で、安心して読める。ただし、若者たちが不器用なためか恋がなかなか進展せず、同じように水死事件もいっこうに解決される気配が見えず、物語の展開があきれるほどのろい。江戸ものが好きな読者ならいろいろ細かいところを楽しむことができるのかもしれないが、江戸ものが苦手な私はちょっとマイリマシタ。男女九人を描いたカバーの装画はなかなか面白い。(2008.2.25記)