イヴンのために書かれた、イヴンが主人公の巻である。イヴンの育ての親ゲオルグは死の海の向こうにある広大な国スケニアの出身であった。そのスケニアは今、タンガと同盟を結び、デルフィニアに攻め入ろうとしている。前巻ではすでに、スケニアの先住民の一団が船を担いでタウの山中を通過している。そして今度はデルフィニアとパラストの間にある小国ペンタスと、その南に位置する海運国キルタンサスのレテ島が彼らに襲われて占拠された。その直後にスケニアの本隊である大艦隊がコーラルの前海に現れる。北ではタンガが戦闘態勢に入り、西の大国パラストもいよいよ動き出して、デルフィニアは周りじゅうを敵に囲まれてしまう。ここでゲオルグの息子であり、かつてキルタンサスの頭領カルロスと暴れ回っていたイヴンが、デルフィニアの救世主として大活躍することになる。(2007.12.12記)
☆なぜかこの巻にはひっかかる表現がいくつかあって、ちょっと興を削がれました。たとえば46ページ4行目、役人がイヴンに向かって言うことば「急ぎ王宮にお戻りください!陛下がお待ちしております!」は「陛下がお待ちです」とすべきですし、165ページ12行目、リリアがグリンダに言うことば「まあ、どなたを拐かしに参られたのでしょう?」は「拐かしにいらっしゃったのでしょう」にしないといけないでしょうに。