『きみがいた時間 ぼくのいく時間』(梶尾真治著、朝日ソノラマ)
2008年 01月 08日
第1部に収められた4つの物語では、主人公たちは愛する人が存在していた過去へ移動して、人生をやり直したり、母との死別の瞬間に目にした虹色の光の正体を知ったり、現実と並行して存在する別の世界をかいま見たりする。いずれも心温まる結末になっていて、特に『美亜へ贈る真珠』は感動的。
第2部は劇団「キャラメルボックス」の成井豊と著者の対談、成井豊による「梶井真治のブックガイド」、著者による「私にとってのクロノス・ジョウンターの伝説」からなる。対談の中で著者が「後味の悪い小説は書きたくない」と言っているのが印象に残った。これで安心してこれからも梶尾真治作品を楽しむことができる。(2007.10.20記)