『ガニメデの優しい巨人』(J・P・ホーガン著、池央耿訳、創元推理文庫)
2007年 07月 07日
ガニメデで発見された宇宙船には巨大な種族の骸骨が残っていたが、その巨人族・ガニメアンが実際に宇宙船に乗って地球人の前に現れる。人類が初めて遭遇する「宇宙人」である。ガニメアンは二千五百万年という時間の彼方からやってきた、ミネルヴァの元住民で、戦いや争いの概念を持たない「優しい」巨人たちだった。
ガニメアンと地球人の意思疎通を可能にしたのは、あっという間に英語をマスターしてしまったゾラックである。ゾラックは、HALのように意志や感情を持ち、HALやIBMよりずっと進んだ機能を持つ、ガニメアンのコンピューターである。このゾラックを介して地球人はガニメアンから多くのことを学び、ガニメアンも多くの事実を知ることになる。ガニメアンは地球人が宇宙的な尺度で見て非常に短い期間に急速な進歩を遂げたこと、地球が平和な世界であることに驚く。それはガニメアンにとっては予想外のことだったのだ。だからガニメアンは自分たちにとって非常に厳しい、ひとつの決断を下すのである。(2007.5.24記)
☆『星を継ぐもの』のプロローグに出てきた「巨人」は一体何者なのかが、この作品ではまだ解明されません。次作の『巨人たちの星』では明らかにされるのでしょうね。あまり引っ張らないで早く教えてください!
☆気になることばがひとつ。P.290の「押しも押されぬ」は「押しも押されもせぬ」として欲しいのですが。『星を継ぐもの』にも同じ用語が一箇所ありました。