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「根の堅州国訪問」 その2

☆『古事記』の再話です。韓国語訳はこちら

大穴牟遅神(オオアナムジノカミ)が須佐之男命(スサノオノミコト)の住む根の堅州国を訪問すると、須佐之男命の娘、須勢理毘売(すせりびめ)が出てきて彼に目配せしたので、ふたりは結婚することになったんだ。それから須勢理毘売は「たいへん立派な神が来ました」と須佐之男命に報告した。須佐之男命は「これは葦原中国(あしはらのなかつくに)を担うことになる神だぞ」と言って招き入れ、彼を蛇の室に泊まらせたのだよ。すると毘売が蛇除けの布を手渡して「この薄布を三回振って蛇を打ち払いなさい」と言ってね。大穴牟遅は言われたとおりにして蛇を打ち払い、ゆっくり泊まっていったのだよ。
また別の夜は、蜈蚣(ムカデ)と蜂の室に寝かせたが、毘売が蜈蚣と蜂を払う薄布を授けてくれたので、無事に夜を過ごして出てきた。
また別の日、須佐之男命は、鏑矢を広い野に射放って大穴牟遅に、矢を取ってこい、と言っておいて、大穴牟遅が野に入ると周りから火を放ったんだ。大穴牟遅が逃げ道を探していると鼠が現れて「内はホラホラ、外はスブスブ」と言ったので、教えられた所を踏むと穴に落ちた。穴に籠もっているうちに火は上を通り過ぎていった。そこへ鼠が鏑矢を口にくわえてやってきたのだよ。
須佐之男命は大穴牟遅が死んでしまったと思ったのに、彼が現れて矢を差し出したので、今度は彼を広い部屋に招き入れて「おれの頭の虱(シラミ)を捕れ」と言った。須佐之男命の頭には蜈蚣がいっぱいいたのさ。そのとき須勢理毘売が、椋の木の実と赤土を夫に授けたんだ。そこで、椋の木の実をかみ砕き、赤土といっしょに吐き出したら、須佐之男命は彼が蜈蚣をかみ砕いて吐き出していると思って、心の中で大穴牟遅のことをかわいいやつだと思いながら寝た。
すると大穴牟遅は須佐之男命の髪の毛を垂木ごとに結わえ、部屋の入り口を大岩で塞ぐと、須勢理毘売を背負って、須佐之男命の大刀と弓矢と見事な琴を持って逃げ出した。そのとき、琴が木に触れて地が鳴動したために須佐之男命が目を覚ましたけれど、垂木に結ばれた髪を解いている間に、ふたりは遠くまで逃げることができたのだよ。
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by nishinayuu | 2007-04-20 10:24 | 再話 | Trackback | Comments(0)

読書と韓国語学習の備忘録です。


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