『永遠』(村山由佳著、講談社)
2007年 04月 16日
映画『卒業』(2002年。監督:長沢雅彦、出演:内山理名、堤真一、夏川結衣)のサイドストーリーとして、作者が映画に刺激を受けて書き下ろしたという小説。
卒業式を終えてからやってくるはずのヒロイン・弥生を水族館で待ちながら、これまでのことを振り返る徹也。葉月が弥生を連れて近くに引っ越してきたとき、徹也は一年生、弥生は5歳だった。弥生の家は曾祖母、祖母、母の葉月、と三代続いた「お水一族」。一度は大学で学ぶ道を選んだ葉月だったが、在学中に真山悟と出会って弥生を身ごもったあと、真山家の事情を知って結婚を諦めた。真山には一度だけ赤ん坊の弥生を見せたが、それきり真山の前から姿を消し、曾祖母、祖母と同じ道に入って弥生を育てた。歳月は流れ、18歳になった弥生は短大に進学し、真山の担当する講義を聴き、真山に話しかけ、真山のために窓辺に花を飾る。自分の名は名乗らずに。そして今日、卒業式をむかえた弥生は、真山との関係に1つの決断を下すはずなのだ。水族館で、徹也は弥生の現れるのを待っている。(2007.3.24記)
☆本文100ページ、あとがき26ページ、というあとがきの比重が異常に大きい本です。このあとがきが、おしゃべりブログのようなのりの文章で、本文以上に(?)楽しめました。