『逃げていく愛』 (松永美穂訳、新潮社クレストブックス)
著者の『朗読者』があまりにすばらしかったので、同じ感動は期待する方がむり、と予想したとおりで、まあまあよかったというところ。減点の理由の1つは、この本が短編集だということ。いっそ俳句ぐらい短ければ想像をふくらませる楽しみもあるが、中途半端に短いのはものたりなさだけが残ってよくない。
『ゼルプの裁き』 (岩淵達治・他訳、小学館)
『朗読者』の作者による推理小説。コンピュータがまったくわからない探偵がコンピュータ犯罪を追及するというむちゃな設定が笑える。探偵像が今ひとつはっきりしないのと、ストーリー展開がまどろっこしいのとでかなりの減点。