『さむがりやのサンタ』(レイモンド・ブリッグズ、訳=すがわら ひろくに 福音館書店)
2025年 12月 10日
『FATHER CHRISTMAS』(Raymond Briggs,1973)
本書は12月24日のサンタクロースの一日を細かいコマ割りで描いた絵本。南の国で夏の日を過ごしている夢を目覚まし時計のアラームで破られたサンタは「やれやれまたクリスマスか!」と不機嫌な顔で起き上がる。ベッドサイドの台の上には入れ歯の入っているコップがあり、布団の上には黒猫。スリッパの上で寝ていた飼い犬を足でどけて窓辺に行くと「おやおや雪かい」とつぶやく。「ふゆはいやだよまったく」とトイレで用を足しながらつぶやき、まずトナカイのところに行ってごはんを与えてから、やっと自分の紅茶を入れる。
それからサンタのズボンに履き替えるとベーコンエッグの朝食に取りかかり、サンドイッチを大量に作ってからソリを引き出して荷台にクリスマスのプレゼントを積み込む。サンタのコートを着て、お弁当を持って、飼い猫と飼い犬に挨拶し、ドアに鍵をかけていよいよ出発。不機嫌だけれども心配りが効いたサンタの、年に一度の大仕事が始まる。
本書は我が家の子どもたちが小さい時に楽しんだ絵本で、転居で本を大量に整理した後も手元に残しておいたものの一つ。この冬、改めて読みかえしてみたら、これはむしろ大人向けの絵本だとわかった。一コマ一コマの描写がとにかく細かくて(入れ歯とか、南国のポスターとか、クリスマス・プディングとか、ビッグベンやバッキンガム宮殿とか)、サンタの人柄、サンタの暮らしぶり、サンタの仕事ぶりがよくわかる。どうやらサンタは北極ではなくてロンドンで暮らしている独り者の老人で、笑顔はないけれども心優しいお爺さんなのだ。
50年以上前に出版された本なので、もう絶版かもしれないと思って調べてみたら、まだ立派に現役で1320円で販売されています。因みに我が家のものは850円でした。クリスマスを控えた今、我が家ではプーポちゃん(プーポはエスペラントで人形のこと。安易な命名でしたね)がこの本を膝にのせて眺めています。(2025.12.10)


