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『雪』(オルハン・パムク、訳=宮下遼、早川書房epi文庫)

『雪』(オルハン・パムク、訳=宮下遼、早川書房epi文庫)_c0077412_18504522.pngKAR』(Orhan Pamuk、2002)

『わたしの名は紅』の作家オルハン・パムク(1952~ )による7作目の作品で、『わたしの名は紅』と双璧を成す著者の代表作でありパムクの最初で最後の政治小説と銘打たれている。すでに2006年に藤原書店から邦訳書が出ているが、本書はトルコ語原書をもとに、英訳、仏訳、藤原書店の邦訳を参照しつつ新しく訳出され、2024年に出版されたものもの。

文庫版ながら上下2巻におよぶ本書は、(nishinaにとって)なじみの薄い主題と土地、著者特有の緻密すぎる描写のせいで、難解極まりない読み物となっている。『わたしの名は紅』が思いのほか楽しめたので、あの楽しさをもう一度、という執念で最後まで読んだが、とにかく苦労した。

そして最後までやっとたどり着いて「訳者あとがき」を読んで思ったのは、この「訳者あとがき」を最初に読むべきだった、ということ。「訳者あとがき」や解説を最初に読んだら読書の楽しさが半減すると思い込んでいたが、例外もあるのだと知った。

物語は一人の旅人がエルズルム発カルス行きのバスに乗り込んだところから始まる。旅人が窓外の景色を眺めているうちに雪がちらつき始める。「もし彼が雪の切片をもう少し注意深く見ていたのなら、忍び寄る猛吹雪にも気が付いたことだろう。(…)それまでの人生を一変させる旅に出てしまったのだと予感して、来た道を引き返すこともできたかもしれない。(…)でもこの時の彼は引き返そうなどとは夢にも思わなかった。(…)子ども時代を過ごしたイスタンブールに12年ぶりに戻って四日間を過ごしてきたばかり。そして運命のいたずらで、このカルスにやってくることになったのである。十二年ぶりに目にしたイスタンブールよりなお美しい雪に、彼は心を躍らせた。’’生涯に一度だけ、人は雪の降る夢を見る’’——トルコの読者にはほとんど知られていないけれど、彼はそんな詩を書いたことがある。そう、彼は詩人なのだ。」

上巻ではこの詩人のカルスでの体験が詩人自身の視点で展開していき、下巻ではいつの間にか前面に出てきた著者によって詩人のその後が語られていくのだが、人名、地名、出来事が細かすぎるし複雑すぎるので要約不可能、とあきらめて、主要人物だけ記録しておく。

Ka——政治亡命者としてフランクフルトで暮らす詩人。12年ぶりにトルコに帰国して地方都市のKars(アルメニア語起源の名)を訪れた。都市名がKars、雪がKar、詩人の名がKaとみんなKで始まっている!

*イペキ——Kaの大学時代の同級生で絶世の美人。夫と別れたあと父の経営するホテル「雪の宮殿」で暮らしている。Kaは彼女とフランクフルトで暮らすことを夢見る。

*トゥルグト氏——イペキの父親。ホテル「雪の宮殿」のオーナー。

*ムフタル——イペキの元夫。イスラム主義政党の市長候補者。Kaの大学の同級生。

*セルダル氏——地元の新聞『国境の街』の発行人。《共和国》紙地方特派員。

*スナイ・ザイム——劇団の主宰者、俳優。アタテュルク主義者。

*フンダ・エセル——女優でベリーダンサー。スナイ・ザイムの妻。

*ファヒル——西欧の現代史を信奉してきた編集者。

*ネジプ——導師・説教師養成校(スンナ派の正当なイスラム教を学ぶ学校)の生徒。「革命」の初日に銃弾に倒れた。

*ファズル——ネジプの親友。

*群青——ネジブがKaを引き合わせた有名なイスラム主義者。Kaに「ロスタムとソフラープ」の物語を語って聞かせる。自信にあふれた美男子で、一時はイペキとその妹も愛人にしていた。

*カディーフェ——イペキの妹。群青の愛人。スカーフの少女たちの指導者。

*ザーヒデ——トゥルグット家の女中。クルド人。

*ハンデ、テスリメ——カディーフェの友達。スカーフの少女たち。

2025.11.3読了)


Commented by マリーゴールド at 2025-11-04 20:04
難解ですね。登場人物の気持ちがよくわからないですね。
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by nishinayuu | 2025-11-04 18:57 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)

読書と韓国語学習の備忘録です。


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