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『飛ぶ教室』(ケストナー、訳=上田敏郎、国土社)

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Das Fliegende Klassenzimmer』(Erich Kästner、1933)

高等部の生徒たちと彼らを見守る大人たちを描いた本作品は、ケストナーが34歳のときに発表されたもの。子どもたちへのメッセージが込められた作品であるが説教臭さはなく、読後感は爽やかである。

前書きに、美しい夏の風景の中で『クリスマス物語』を書こうとしている作家が登場する。その『クリスマス物語』が第1章から始まって第12章まで続き、最後にまた作家が登場して、ベルリンに戻ってからの偶然のすてきな出会いを語って全体を締めくくる。

さて、『クリスマス物語』の舞台はキルヒベルクという町にあるヨーハン・ジギスムント高等学校。この学校の寄宿生で高等部の1年生、日本でいえば中学三年の少年たちがクリスマスに上演しようとしている演劇のタイトルが『飛ぶ教室』である。登場人物は以下の通り。

♣寄宿生たち――*ヨーナタン・トロッツ(ジョニー。劇『飛ぶ教室』のシナリオ担当。4歳のときにニューヨークからハンブルクに送られた。迎えに来ると父親の言っていた祖父母はすでに死んでいた。船で世話をしてくれた船長がそのまま身元引受人に)/*マルチン・ターラー(マッツ。半額給費生。勉強はクラスで一番。舞台の背景画担当)/*マチアス・ゼルプマン(マッツ。ボクサー志望。しょっちゅう腹ペコ)/*セバスチアン・フランク(ゼップ。とても頭のいい生徒)/*ウリー・ジンメルン(劇で妹役をする少年)

♣通学生たち――*フリードリン(実家学校の生徒に襲われて怪我をする)/*ルディー・クロイツカム(実家学校の生徒たちに襲われ、ドイツ語の書き取り帳とともにさらわれる。父親はジギスムント校のドイツ語教師)

♣実家学校生――*エーガーラント(フリードマンやルディーを襲った連中のリーダー)/*ハインリヒ・バベルカ(両校の争いに決着をつけるためにマチアスと1対1で殴り合いをする生徒)

♣先生たち――*禁煙先生(35歳くらいの世捨て人。菜園にある鉄道車両の禁煙室で暮らしている。車両はドイツ国有鉄道から180マルクで買ったもの。毎晩、町はずれの居酒屋でピアノを弾き、1マルク50ペニヒと晩御飯をもらっている。)/*ヨーハン・ベック先生(寄宿舎の舎監。あだ名は正義先生。学生時代に舎監のせいでつらい経験をしたことから、自分はその同じ学校で理解のある舎監になろうと決心したという)

ベック先生が舎監になったいきさつは第5章で明かされるが、そのときに力になってくれた親友がいたという話を聞いたヨーナタンとマルチンは、それが禁煙先生であることを見抜いたのだった。禁煙先生とベック先生にまつわるエピソードは本作品の中でも特に印象的なものの一つである。

2021.3.25読了)


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Commented by マリーゴールド at 2021-06-05 00:59 x
子供の時に読んだはずだけど、ほとんど覚えていません。クリスマスでみな帰郷するのに一人だけ帰る家がなくて寮に残った子供がいたような記憶があります。
Commented by nishinayuu at 2021-06-05 11:27
> この本は我が家の本棚にずっとあったのに初めて読みました。世にケストナー好きが多いので何となく敬遠していましたが、いよいよ読む本がなくなったので読んでみました(?!)
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by nishinayuu | 2021-06-04 17:43 | 読書ノート | Trackback | Comments(2)

読書と韓国語学習の備忘録です。


by nishinayuu