「何如歌」と「丹心歌」
2021年 04月 10日

朝鮮王朝建国の前夜、建国を企図する鄭道傳と李芳遠に対して、鄭道傳が信頼する友人である鄭夢周はあくまでも高麗王朝の忠臣であろうとする。そんな鄭夢周を自分たちの側に引き込もうとする李芳遠が詠んだ詩が「何如歌」であり、鄭夢周がそれにこたえて詠んだ詩が「丹心歌」である。
「何如歌」李芳遠
如此亦何如 こうであってもよかろうし
如彼亦何如 ああであってもよかるべし
城隍堂後垣 万寿山の蔦かずら
頽落亦何如 絡み合えるもよかるべし
我輩若此爲 我らもかくは絡み合い
不死亦何如 末永く世を楽しまん
이런들 어떠하며/ 저런들 어떠하리
만수산 드렁칡이/ 얽어진들 어떠하리
우리도 이같이 얽어져/ 백년까지 누리리라
「丹心歌」鄭夢周
此身死了死了 この身は死してまた死して
一百番更死了 百たび重ねて死すとても
白骨爲塵土 白骨あくたとなり果てて
魂魄有也無 魂魄もまた消えぬとも
向主一片丹心 君に捧げし一片丹心
寧有改理與之 移ろわんことよもあらじ
이 몸이 죽고죽어/ 일백번 고쳐죽어
백골이 진토되어/ 넋이라도 있고없고
님향한 일편단심이야/ 가실줄이 있으랴
先日、韓国ドラマ「鄭道傳」を見ていたら、このふたりが達筆の漢詩を手にして詠み交わす場面があった。以前、韓国語講座で講師の先生がこれらの詩の漢詩と時調(韓国語の定型詩)の二つのパターンを紹介してくださったのを思い出して、改めて二つを比べながら読んでみた。
上掲の詩は、漢詩と意味の解説をかねた拙訳、時調の順に並べてある。さらに注釈を付け加えると、「一片丹心」は「眞の心」で、ここでは高麗王、高麗の国への忠誠心の意となる。鄭夢周はこのかたくなな忠誠心のせいで自らは命を落とすことになり、さらには親友の鄭道傳をも死に追いやることになったと言えよう。
なお、ここに登場する人物については右の欄にある「韓国語の語彙集」をご覧ください。

