『アラルエン戦記④銀葉』(ジョン・フラナガン、訳=入江真佐子、岩崎書店)
2020年 05月 06日
『Ranger’s Apprentice Oakleaf Bearers』(John Flanagan, 2006)
スカンディアに囚われて奴隷となっていたウィルとエヴァンリンは、二人に同情したエラクによって本拠地から逃げ出すことに成功した。彼らはエラクに教えられた狩猟小屋で、冬の最後の数か月を過ごし、その間にウイルは奴隷だった時に陥ってしまった「あたため草」の依存症から立ち直ったが、まだ体力は充分には回復していなかった。雪解けが始まったある日、そんなウイルを小屋に残して、森に仕掛けた罠の様子を見に出かけたエヴァンリンは、何者かに捕らえられてしまう。
同じころホールトとホラスは、ドパルニューから奪ったガリカの甲冑を身に着けてチュートランドを北へ向かっていた。ガリカのアンリ王からの密使のふりをしてスカンディアの国境を通過し、奇襲をかけてウィルたちを救い出すために。何か月も前、アラルエン離れるためにホールトは、わざと公衆の面前で国王を侮辱した。その結果ホールトは1年間国から追放されることになってスカンディアに向かうことができたのだが、追放によってレンジャー部隊からも除名され、銀のオークの葉を失った。それは大きな苦しみだったが、行方不明になってしまった愛弟子のために、ホールトはじっと耐えていた。
やがてウィルとエヴァンリン、ホールトとホラスの四人は、謎の戦士たちとの戦いの真っただ中で再会を果たす。戦士たちは当方のステップから来た騎馬民族テムジャイだった。
ホールトの説明によるとテムジャイとは――牧童だったテムガルがどういうわけかある部族の指導者になり、それから別の部族を次々と統合して、テムジャイを戦士の国、おそらく世界最強の軽騎兵の国に変えてしまった。彼らは恐れを知らず、高度に組織化されていて、戦いとなると容赦ない。私の知る限り、彼らは負けたことがない〈つまりもモンゴルなのでした〉。
主要登場人物――ウィル、ホラス、エヴァンリン(実はアラルエン王国の王女カサンドラ)、ホールト、エラク(スカンディアの海賊のリーダー。ラグナックの死後、最高指導者オベリャールに選ばれる)、ニツァク(テムジャイの指揮官)。(2020.1.19読了)