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『The Penance』(Munro, American Literature.com)

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『贖罪』(マンロウ)

The CompleteWorks of SAKIの「TheToys of Peace」に収められている1編。



主人公のオクタビアンはある日、庭をうろついていた隣家のトラ猫を射殺する。飼っている鶏たちが襲われて日に日に数が減っていくので、てっきりトラ猫の仕業と思い込んでしまったのだ。死骸は庭師がすぐに木の下に埋めてくれたので、自分の残酷な仕打ちの跡が残らないことにほっとする。ところが、ふと目を上げると、隣家の塀の上から三つの顔がじっと見つめていた。女の子一人と男の子二人で、両親はインドにいるという〈『小公女』、『秘密の花園』の主人公などと同じですね〉。三人に声をそろえて「beast!(ひとでなし)」と言われ、オクタビアンは落ち込む。

オクタビアンは三人に許しを請うために包装紙にも気を遣って念入りに選んだチョコレートを届けたが、それは包み紙とともに細かく引きちぎられてオクタビアンの庭に撒かれていた。さらに悪いことに、鶏は相変わらず減り続けていて、トラ猫のせいではなかったことが明らかになる。そんなある日、オクタビアンが2歳の娘オリヴィアを連れて塀の下を通りかかると、三人がオリヴィアに興味を示した。もしかしたらオリヴィアを介して三人と打ち解けられるかもしれない、と思ったオクタビアン。「どんな花が好き?」と尋ねると彼らがずっと遠くの方にある花を指すので、オリヴィアをその場に残して花を摘みに行き、戻ってみると……。

これは「無垢な」子どもの持つ残酷な倫理観によって大の大人がとんでもなく怖ろしい目に遭うという、全然笑えない話である。オクタビアンが三人と約束した「勤行」を終えた翌日、彼らがよこしたメモにあった「Un-beast(ひとでなしにあらず)」でやっと笑える。(2019.9.23読了)


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by nishinayuu | 2020-01-12 10:43 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

読書と韓国語学習の備忘録です。


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