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『素数たちの孤独』(パオロ・ジョルダーノ、訳=飯田亮介、早川書房)

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La solitudine dei numeri primi』(Paolo Giordano, 2008

本作は素粒子物理学の研究者であるパオロ・ジョルダーノが26歳のときに発表したもの。


物語は二人の主人公、アリーチェとマッティアの幼少期から始まる。1983年アリーチェは、高圧的な父親によってむりやり通わされたスキー教室で事故に遭って、生涯癒えることのない障害が片脚に残る。コンプレックスのため拒食症になり、回りの少女たちの奔放さに憧れながらも親しい友人を作ることができないまま高校生になる。1991年、アリーチェは15歳になっていた。

もう一人の主人公マッティアは、発達に障害のあるふたごの妹ミケーラといつも行動を共にするよう父母から期待されていた。そのせいもあって、小学校に入っても友達ができなかったが、ある日、ひとりの少年が二人を誕生会に招待してくれた。少年の母親の提案だった〈なんて素晴らしいお母さん〉。マッティアはこのときもミケーラといっしょに家を出たのだが、途中にある公園にミケーラを置いていくことにした。じっと動かずに待っているように、と言い聞かせて。誕生会の途中でふと思い出したマッティアがあわてて公園に駆けつけたとき、ミケーラの姿はなかった。そのままミケーラは家族のもとに戻ってくることはなく、マッティアは癒えることのない心の傷を抱えることになった。学業成績は抜群だったが自傷行為を繰り返すようになり、友達もできず教師たちにも敬遠されて、マッティアは転校を繰り返しながら高校生になる。

そんな二人が高校で出逢い、互いの孤独に気づいて惹かれあうようになる。が、傷つきやすい二人の心は、近づきながらも互いに寄り添うところまでは行かない。まるで二つの双子素数のように。物語はそんな傷つきやすい繊細な二つの魂がもがきながら大人になっていく過程を追い続け、かすかな明るい光に向かって進んでいくことを予感させつつ終わる。

本作はイタリア最高の文学賞であるストレーガー賞をはじめとして数々の文学賞に輝き、イタリアはもちろん、オランダ、スペインでもベストセラーになっているという。さらに2010年にはサヴェリオ・コンスタンツォの監督で映画化されている。(2019.9.8読了)


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Commented by マリーゴールド at 2020-01-11 11:16 x
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by nishinayuu | 2020-01-07 10:23 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)

読書と韓国語学習の備忘録です。


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