『Biblio Mysteries Ⅰ』(訳=杉江松恋、ディスカヴァー・トゥエンティワン)


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本書には「本にまつわるサスペンス」が4つ収録されている。




1.『受け入れがたい犠牲』(ジェフリー・ディーヴァー)

 『An Acceptable Sacrifice』(Jeffery Deaver,2012

『ボーン・コレクター』で有名な作家による短編。麻薬王のクチージョを殺すために雇われたアメリカとメキシコのエージェント。ただしクチージョは、世間的には合法的な会社経営で富を築いた実業家であり、慈善家でもある。教養のある古書マニアという顔を持つ。彼が観光バスの襲撃を計画しているという情報があって動くことになった二人だが、彼は本当に悪人なのか、という疑問が任務遂行をためらわせ……。

2.『美徳の書』(ケン・ブルーエン)

 『The Book of Virtue』(Ken Bruenn,2012

若者のテンポで展開する若者の感覚に溢れた1編。この作者の作品は連発されるジョークが特徴だそうだが、正直、ついていけない!

3.『ナチス・ドイツと書斎の秘密』C.J.ボックス)

 『Pronghorns of the Third Reich』(C.J.Box,2011

ライルとファンの二人組に拉致された弁護士のパーカーは、人里離れたアングラー牧場に連れて行かれる。かつてパーカーは「ナチとの取引で資金を得たアングラーによって祖父が不正に牧場を奪われた」というライルの主張を証拠不十分として退け、アングラーを無罪にしている。そのライルがアングラーの遺した膨大な蔵書を手に入れようとして、遺産管理人であるパーカーを拉致したのだ。雪嵐の中、気が変わったファンは二人を残してピクアップ・トラックと共に立ち去る。酷寒の中でパーカーとライルの命がけの駆け引きが始まる。緊迫感にあふれ、結末の衝撃度も大きい印象的な作品。

4.『死者の永いソナタ』(アンドリュー・テイラー)

 『The Long Sonata of the Dead』(Andrew Taylor,2013

文学史上のマイナーな資料にまつわる長年の仇敵との因縁。文学的色合いが濃厚で、余韻のある作品。

翻訳者によって紹介されている作品のうち、今後読んでみたいものをいくつかメモしておく。

『幻の特装本』(ジョン・ダニング、1995)/『匿名原稿』(ウィル・ハリス、1983)/『二巻の殺人』(エリザベス・デイリイ、1941)/『章の終わり』(ニコラス・ブレイク、1957)/『著者略歴』(ジョン・コラピント、2001

2018.8.3読了)
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Commented by マリーゴールド at 2018-10-20 08:56 x
密度の高い短編ですね。
by nishinayuu | 2018-10-18 14:22 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)

読書と韓国語学習の備忘録です。


by nishinayuu