『할머니는 죽지 않는다』(공지영, 해냄출판사)


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『おばあちゃんは死なない』(孔枝泳、2017

著者は『私たちの幸せな時間』などで知られる現代韓国の代表的作家の一人。

本書は2001年から2010年にかけて発表された作品を収録した作品集で、以下の5作品が収録されている。

월춘 장구(越春装具)」(「作家世界」2006年夏号)

할머니는 죽지 않는다(おばあちゃんは死なない)」(「文学思想」20018月号)

우리는 누구이며 어디서 와서 어디로가는가(我々何者どこからてどこにくのか)」

(「今年の問題小説 2000年」、200121世紀文学賞受賞)

부활 무렵(復活祭頃)」(「創作批評」2001年夏号、2002年韓国小説文学賞受賞)

맨발로 글목을 돌다(裸足文章路地)」

(「文学思想」201012月号、2011年李相文学賞受賞)

作中には作者がたびたび実名で登場する。作者の自分への評価は辛辣であるとともに実に正直で、あるときは堂々としているように見え、あるときはひどく弱々しく見える。また、実名で登場していない作品にも作者の実生活や体験が反映していると思われ、全体的に自伝か私小説のようにも読める。

一方、キリスト教徒である作者は、しきりに聖書の句節(ヨブ記、詩編など)を引用するが、オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)、プリーモ・レーヴィ(Primo Levi)、ヴィクトール・フランクル(Viktor Frankl)への言及も際立つ。彼らはある日とつぜん理不尽に身柄を拘束された人たちであり、その理不尽さを運命として引き受けることによって苦痛に耐えて生き延び、解放されたあとで記録を残した人たちである。「裸足で文章の路地を廻る」に登場する蓮池氏(作中ではH氏となっている)も同じである。作者が蓮池氏と初めてであったときに長年の知己のように感じたのも、作者自身も同様の体験を持ち、それを記録してきた人だからだ。すなわち本書は、苦痛と運命について探索した作品集であり、苦痛の中にいる人々への哀れみと共感に満ちた作品集なのである。作者の自伝や私小説風に見えて、実は苦しみを知るあらゆる人々を主人公とする作品集なのだ。

どの作品も興味深い内容と巧みな語り口で読ませる。「裸足で文章の路地を廻る」は再読だが、今回もまた感慨深く読んだ。ただ一つ残念なのは、욕심쟁이 거인わがままな大男)とすべきところが키다리 아저씨あしながおじさん)となっている点。前者はオスカー・ワイルドのThe Selfish Giantであり、後者はジーン・ウェブスターのDaddy-Long-Legsなので、作者のうっかりミスだろう。それにしてもこんなミスを見逃すとは、校正・校閲がお粗末すぎるのでは?(2018.4.4読了)


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by nishinayuu | 2018-05-26 10:30 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

読書と韓国語学習の備忘録です。


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