韓国の詩 「子規詞」
2017年 03月 13日
含愁情倚楼頭 愁いを胸に 楼頭に 凭れをり
爾啼悲我聞苦 汝が啼く声の 哀れさに 我は苦しむ
無爾声無我愁 汝が声の なかりせば 我の愁いも なかりしを
寄語世上苦労人 世の中の 苦労多(さわ)なる人たちに 言ひおかむ
慎莫登春三月子規楼 春三月は 子規楼に 決して登ることなかれ
端宗(1441~1457)は世宗の孫、文宗の息子。父の文宗が在位2年で急死したため、1452年に12歳で王位に就いたが、叔父の首陽大君(後の世祖)によって王位を追われ、江原道寧越に配流されたのち命まで奪われた。子規楼は配流地にあった楼閣で、端宗がここに登って子規の声を聞いていたということからこう呼ばれるようになった。
ところで、端宗が胸を痛めながらその声を聞いたというソチョクセは、実は子規(ホトトギス)ではなく木の葉木菟(コノハズク)だった。ホトトギスは澄み切った明るい声で、コノハズクは湿った暗い声で鳴く。