『お皿監視人』(ハンス・ツィッパート著、ミヒャエル・ゾーヴァ絵、三修社)
2010年 10月 04日
有限会社「お皿監視センター」は、世界の各地の天気を左右するお皿を突き止めて、お皿をカラにさせたり食べ物を残させたりして天気をコントロールすることをビジネスとしている。食の進まないブロートハーゲン老人には無理やり食べさせて町の商業地区に雨が降らないようにし、トビアス少年を「保温プレート」に坐らせてぐるぐる回し、食欲を減退させてチロルのスキー場に雪が降るようにする、という具合。この会社のねらいがお皿を監視することによって地球の温暖化を促進し、それによって世界を支配することだと気づいた子どもたちは、彼らを排除しようと立ち上がる。
現代の科学技術を織り込みながらも非科学的で奇想天外な、子どもも大人も楽しめるお話。ミヒャエル・ゾーヴァによる油彩の挿絵は色彩がすばらしく、この本の魅力を大いに高めている。(2010.6.16読了)