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『お皿監視人』(ハンス・ツィッパート著、ミヒャエル・ゾーヴァ絵、三修社)

『お皿監視人』(ハンス・ツィッパート著、ミヒャエル・ゾーヴァ絵、三修社)_c0077412_1012422.jpgドイツには「お皿に食べ物を残すと雨になる」「お皿をきれいにカラにすると晴れになる」ということばがあるという。カントシュタイナー家のサラ(13歳)とマーク(11歳)がひきわり麦のおかゆを残したとき、お母さんはふとこのことばを思いついて口にする。もちろん言った本人も子どもたちもそんなことばは信じていない。ところが、お母さんが席を外して子どもたちだけが食卓にいたとき、空色の制服を着た二人の男が現れて、「君たちが147日間もお皿のものを間食しなかったせいで、バングラデシュが雨続きで洪水が起こっている」と告げる。男たちは「お皿監視センター」の職員だった。
有限会社「お皿監視センター」は、世界の各地の天気を左右するお皿を突き止めて、お皿をカラにさせたり食べ物を残させたりして天気をコントロールすることをビジネスとしている。食の進まないブロートハーゲン老人には無理やり食べさせて町の商業地区に雨が降らないようにし、トビアス少年を「保温プレート」に坐らせてぐるぐる回し、食欲を減退させてチロルのスキー場に雪が降るようにする、という具合。この会社のねらいがお皿を監視することによって地球の温暖化を促進し、それによって世界を支配することだと気づいた子どもたちは、彼らを排除しようと立ち上がる。
現代の科学技術を織り込みながらも非科学的で奇想天外な、子どもも大人も楽しめるお話。ミヒャエル・ゾーヴァによる油彩の挿絵は色彩がすばらしく、この本の魅力を大いに高めている。(2010.6.16読了)
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by nishinayuu | 2010-10-04 10:02 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

読書と韓国語学習の備忘録です。


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