『何かが道をやってくる』(レイ・ブラッドベリ著、大久保康雄訳、創元推理文庫)
2010年 04月 28日
「何か」というのがカーニバルというか、移動遊園地のようなものであることはすぐに明らかになるのだが、そのカーニバルは万聖節(10月31日)を目前に控えた晩秋の町に、カンゾウとコットンケーキの匂いを漂わせ、カライアピー(calliope)の音色を響かせながらやってくる。出し物は地上最高の美女、ダスト・ウィッチ、ミスター骸骨、ギロチン男、エジプトの鏡の迷路、回転木馬などなど1001種目もあり、町の人々は大人も子どもも魅了される。13歳の少年ジムは積極的に、親友のウィルはおずおずとカーニバルに近づくが、やがてその不気味で恐ろしい本質に気がつき、一団を率いるクガー・ダーク氏と対決することになる。そしてここで、なんとウィルのパパで図書館の管理である「老人」が、思いがけない活躍をすることになる。(2010.2.13記)
☆音、色、動きが実に活き活きと描かれていて、まるで3D映画のノヴェライズといった感じです。1983年にディズニー・プロで映画化されているということですが、3D映画でリメイクしたらヒットするのではないでしょうか。クガー・ダーク氏の役をジョニー・デップがやるなら私も見てみたい。
☆「ダーク氏は爆笑した」という表現がありました。手許の本は初版が1964年でその1967年版(7版)ですが、「爆笑」の使い方が今風ですね。