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『遊行』(大石登世子、ふらんす堂、2010)


c0077412_07504660.jpg著者は1942年生まれで、NHK出版の「趣味の園芸」などにも関わった元編集者。俳句会「麻」の同人。本書は俳句歴10年を記念してまとめたものだという。

「バショウより、ふつうに、ブッソンが好き」というレベルのnishinaなので、感想を述べるのは控えて心に響いた句を並べておくことにする。

手品師の大きな鞄春の闇

鵙の贄どこかで子どもが攫はるる

櫻冷え僧は遊行に出でしまま

三椏の花この道は行き止まり

どうしても子がみつからぬ春の暮

振り向けば短日の坂消えてをり

春愁の帯のごとくに夜の汽車

そこまでと言うて花野へ行きしまま

こうして並べてみると、どこか不安で妖しい雰囲気のある句ばかりのような……。

ついでに、漢字の読みがわからなかった句と、読み方に一瞬迷った句がいくつかあったので、その読みをカタカナで示しておく。

やいななくさまに馬頭琴   ツチフル(音読みはバイ)

襞深く金粉零し牡丹老ゆ   コボし(別に難読漢字ではないのに……)

天平の礎石にあたたかし   アシウラ

体内にはつなつの水韻きけり   ヒビき

血族といふ名の鎖紅蜀葵   コウショッキ(もみじあおい)

2017.3.26読了)


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by nishinayuu | 2017-06-13 07:51 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

「鳥の名前」韓国語編



c0077412_10441484.png小説や随筆によく出てくる鳥、近くで見かける鳥、そしてちょっと好きな鳥の名前を가나다라順に並べ、和名とエスペラント名を添えました。

画像はコジュケイです。





개똥지빠귀   /ツグミ  turdo

거위      鵞鳥/ガチョウ ansero

굴똑새     鷦鷯/ミソサザイ troglodito

       雉/キジ fazano

기러기     雁/カリ・ガン sovaĝansero

까마귀     烏/カラス korvo

까치      鵲/カササギ pigo

       /ニワトリ koko

독수리     鷲/ワシ aglo

동박새     目白/メジロ zosteropso

두견      杜鵑/ホトトギス eta kukolo

따오기     朱鷺/トキ japana ibiso

때까치     百舌/モズ greka pigo

매       鷹/タカ falko

물까치     尾長/オナガ cianopiko

물총새     翡翠/カワセミ alcedo

백로      白鷺/シラサギ egreto

백조      白鳥/ハクチョウ cigno

벌새      蜂鳥/ハチドリ muŝbirdo

비둘기     /ハト kolombo

뻐꾸기     郭公/カッコウ kukolo

소쩍새     木の葉木菟/コノハズク orelstrigo

수리부엉이   木菟/ミミズク otuso

앵무새     鸚鵡/オウム papago

오리      鴨/カモ sovaĝanaso

올빼미     梟/フクロウ strigo

왜가리     青鷺/アオサギ ardeo

원앙새     鴛鴦/オシドリ buntanaso

잉꼬      鸚哥/インコ papageto

자고새     小綬鶏/コジュケイ bambusikoloc0077412_10365514.png

제비      燕/ツバメ hirundo

제주직박구리  鵯/ヒヨドリ hipsipeto

집오리     家鴨/アヒル anaso

찌르레기    椋鳥/ムクドリ sturno

참새      雀/スズメ pasero

황새      鸛/コウノトリ cikonio

휘파람새    鶯/ウグイス ugviso


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by nishinayuu | 2017-06-01 10:38 | 覚え書き | Trackback | Comments(0)

『鳥たちが聞いている』(バリー・ロペス、訳=池央耿・神保睦、角川書店)

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Field Notes』(Barry Lopez)サブタイトルにThe Grace Note of the CanyonWren(ミソサザイの装飾音)とある。

本書には深く豊かな自然、自然に身をゆだねれば聞こえてくる音、そこから生まれる様々な思索が綴られた12の短編が収録されている。


*鳥たちが聞いている――モハヴェ沙漠東部から海に向かった旅人。無謀な旅だったと絶望しかけたとき、水辺の鳥であるミソサザイの装飾音が耳に入る。

*ティールの川――マグダレナ山中のベネット川地方に1954年の4月に住みついた隠者のティールは19715月の穏やかな午後、静かに世を去った。

*エンパイラのタペストリー――自分だけの生き方を持っていたエンパイラは、自分で織ったタペストリーに身を包んで濁流に身を投じる

*空き地――博物館の研究員ジェーン・ウェデルは、空き地で見つけた石を家に持ち帰る。カンブリア紀の海に棲息した生物を取り出したいと思って。

*ある会話――アカケアシノスリをめぐる、政府の魚類野生動物部長と環境活動家エシーの攻防。

*ピアリーランド――悪天候のために足止めを食った空港で若き研究者が語ったところによると、グリーンランドの北端に動物たちの魂が肉体を求めに来る「死者の国」があるという。

*台所の黒人――ある朝、いきなり立ち現れた黒人とのひとときの交流とその余韻。

*ウィディーマの願い――研究者である語り手が、オーストラリアの狩猟民族ウィディーマと過ごした日々を振り返る。

*我が家へ――若くして名声を勝ち取った植物学者のコールター。気がつけば親しかった森からも家族からも遠い存在になっていた。

*ソノーラ……沙漠の響き――「『アル・ハリジャにおける三日月型砂丘の双曲線』と題した論文で、オアシスが直線上に点在するエジプト南部の沙漠について書いたウィクリフの文章は、化学者の発表としては不謹慎なほど官能的だった。」

*クズリの教え――クズリとは哺乳類肉食目イヌ亜目クマ下目イタチ上科イタチ科イタチ亜科クズリ属の小型のクマのような姿をした肉食動物で、英名は「ウルヴァリン(wolverine)」。山好きの整備士がルビー山脈に住むクズリによって自然との関わり方を教えられる。

*ランナー――ある女性がグランドキャニオン公園内でアナサジ時代の大きな壷を発見した、という新聞記事を見てその女性は姉のミラーラだと確信した語り手。「これは姉さん?」と書き込んでコピーを送ると、その質問に感嘆符を書き添えたものが返送されてくる(ヴィクトル・ユゴーと出版社のやりとりを真似たわけですね)。

2017.2.26読了)


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by nishinayuu | 2017-05-08 09:50 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)

韓国の詩 「子規詞」

月白夜蜀魄啾    月白き夜は ソチョクセの声 いよよ寂しく
含愁情倚楼頭    愁いを胸に 楼頭に 凭れをり
爾啼悲我聞苦    汝が啼く声の 哀れさに 我は苦しむ
無爾声無我愁    汝が声の なかりせば 我の愁いも なかりしを
寄語世上苦労人   世の中の 苦労多(さわ)なる人たちに 言ひおかむ
慎莫登春三月子規楼 春三月は 子規楼に 決して登ることなかれ

端宗(1441~1457)は世宗の孫、文宗の息子。父の文宗が在位2年で急死したため、1452年に12歳で王位に就いたが、叔父の首陽大君(後の世祖)によって王位を追われ、江原道寧越に配流されたのち命まで奪われた。子規楼は配流地にあった楼閣で、端宗がここに登って子規の声を聞いていたということからこう呼ばれるようになった。

c0077412_11132594.jpgところで、端宗が胸を痛めながらその声を聞いたというソチョクセは、実は子規(ホトトギス)ではなく木の葉木菟(コノハズク)だった。ホトトギスは澄み切った明るい声で、コノハズクは湿った暗い声で鳴く。
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by nishinayuu | 2017-03-13 11:10 | 翻訳 | Trackback | Comments(2)

「2016.10.17の課題作文」


c0077412_185928.jpg韓国語講座で、法頂の随筆「無所有」に出てくる表現を「一字一句変えずに使って」短文を作る、という宿題がでました。その表現が使われる状況を作り出す必要があるのですが、1文ずつ状況を説明するのは煩雑なので、昔話の「鶴の恩返し」を借りたストーリーに課題の表現を嵌め込んでみました。


옛날 옛날에 어느 마을에 가난한 사나이가 살고 있었다. 어느 날 그는 산에서 사냥을 하다가 올가미에 학 한 마리가 걸린 것을 발견했다. 그는 올가미로 입은 상처를 치료한 뒤 학을 놓아주었다. 학이 너무나 아름다워서였다.
몇일 후 예쁜 여자가 그를 찾아와 함께 살고 싶다고 했다. 그는 당황해서 말했다. “나는 결혼할 생각이 없어. 적어도 지금의 내 분수로는 그렇다.”

여자가 대답했다. “살림살이 때문에 적잖이 마음이 쓰이게 된다 는 것을 염려하시는 거죠? 그러나 제가 베를 짤 줄 알아서 살림살이에는 아무 걱정도 없을 겁니다. ”
남자가 여자를 방으로 안내해주더니 여자는 밤새도록 베를 짜서 비단 한 필을 만들었다. 솜씨가 아주 훌륭해서 남자는 여자가 아마 명수(名手) 소리를 듣고도 남았을 것이다 고 생각했다.
남자가 그 비단을 가지고 장터에 갔더니 그 비단을 본 사람들은 한결같이 좋아라 했다. 비단은 비싼 값으로 팔려서 남자는 많은 돈을 지니고 집에 돌아갔다.
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by nishinayuu | 2016-12-03 18:06 | 覚え書き | Trackback | Comments(0)

「多摩動物園」その2


다마동물공원
어른에게 알맞은 한나절 답사코스

[플라밍고의 질주]c0077412_10453773.png동물원안으로 들어가서 큰 길을 걸어가면 오른쪽에 아프리카원이라는 표지가 나타난다. 그 표지판앞에서 오른쪽으로 나는 길을 따라 잠시 걸어가면 왼쪽에 플라밍고 광장이 나타난다. 새먼핑크라고 할까, 아니면 연분홍빛이라고 할까, 온몸에서 예쁜 빛을 발하는 플라밍고가 무리를 지어 거닐고 있다. 그 우아한 모습을 잠시 바라보고, 플라밍고를 다 보았다고 생각하는 사람이 많은 것 같다. 전에는 나도 그런 사람의 하나였다.
그런데 어느 날 플라밍고 광장을 떠나 순로대로 길을 따라가기 시작했을 때, 느닷없이 뒤에서 큰 소리가 나서 엉겁결에 발걸음을 멈췄다. 뒤돌아보았더니 플라밍고들이 일제히 질주하고 있었다. 그 움직임도 움직임이거니와 그 날개를 치는 푸드득 소리는 우아한 모습에서는 상상도 할 수 없는 요란한 것이었다. 알고 보면 플라밍고는 한 마리가 날아오르면 모두 다 날아오르고, 한 마리가 질주하면 모두 다 질주하는 습성이 있단다. 그래서 플라밍고 광장에서는 그들의 우아한 모습을 보는 것만으로 만족하지 말고, 시간을 넉넉히 들여서 그들이 소란스러운 질주를 보여줄 때까지 기다리는 것을 권한다.

[사자의 포효]c0077412_10461626.jpg플라밍고 광장에서 시간을 많이 들이는 대신 사자 광장은 그냥 지나가면 된다. 사자는 ‘백수의 왕’이라는 이름으로 알려져 있는데, 수컷은 훌륭한 갈기가 눈에 띌 뿐 얼굴 생김새든 체격이든 별로 당당하지도 않고, 암컷은 그냥 큰 고양이인 것 같다. 털의 결도 호랑이에 비해 변변치 못하다. 그런데 사자는 듣는 이를 움츠러뜨리는 엄청난 소리로 포효할 수 있다. 주위 일대에 울려 퍼지는 그 포효를 듣고서야 비로소 왜 사자가‘백수의 왕’이라는 이름을 얻었는지를 알게될 것이다. [라이온 버스]는 타지 않아도 되고, 사자의 모습은 보지 않아도 되지만, 모처럼 동물원을 찾아왔으니 사자의 포효만은 반드시 들어봐야 한다.
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by nishinayuu | 2016-06-06 10:46 | 随想 | Trackback | Comments(1)

『灰色雁の城』(ヴィクター・カニング著、中村妙子訳、新潮社)


c0077412_1349751.jpg『Flight of the Grey Goose』(Victor Canning, 1973)
『スマイラー少年の旅』のⅡ。舞台はスコットランド、時は『チーターの草原』から数ヶ月あとの7月である。
スマイラーは船乗りの父親が帰国して、自分の無実を明かしてくれるまではなんとしても身を隠していようと心に決めている。だから、働く場所と寝る場所を提供してくれ、余計な詮索をせずに親切に接してくれたミセス・レーキー、ミス・ミリーの所からも逃げ出すことになった。パットやジョー・リンガーの助けを借りて。
スマイラーは遠くスコットランドへと旅立つ。10月には父親の船がグラスゴー近くのグリンノックに着くことになっていたからだ。スコットランドでスマイラーは羽を痛めた灰色雁のラギーを助けたのをきっかけにして、農場の少女ローラと、そして湖の中の城に住む殿さまと知り合うことになる。ローラのおかげでスマイラーはボートのこぎ方や泳ぎ方を覚え、フライ・フィッシングの楽しさも知る。また動物の特別保護地区を作ることを念願としている殿さま、ことエルフィンストーン卿への敬愛の念から、獣医になる夢を抱き始める。その先には、後々農場を継ぐはずのローラとの暮らしも見えていたのだった。(2014.10.12読了)
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by nishinayuu | 2015-01-02 13:48 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『リトルターン』(ブルック・ニューマン著、五木寛之訳、集英社)


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『Little Tern』(Brooke Newman)



リトルターンとはコアジサシのこと。本書は、なぜか急に飛べなくなった一羽のコアジサシが、その難局をどう切り抜けたかを一人称で語る物語である。彼は降り立った海辺の砂丘の縁で、星たちと言葉を交わし、砂に咲く一輪の紫色の花を見守り、水際の小さなゴースト・クラブ(ゆうれいガニ)と友達になったりするのだが、砂の上に不時着したこと、砂に咲く一輪の花に出逢うこと、小さな生き物と親しくなることなど、『星の王子様』と共通するものがある。言葉や文章が平易なのでさらりと読むこともできるし、内容を深く味わって読むこともできる、という点も『星の王子様』と同じだ。

本書にはリサ・ダークス(Lisa Mann Dirkes)による美しい水彩画がたくさん入っていて、これらの絵が文章と同じくらいの比重を占めている。(絵の存在意義は別として、デッサンに限っては『星の王子様』よりこちらの方が数段上ですね。)絵を見ているだけでも心が安らぐ本である。(2014.4.16読了)
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by nishinayuu | 2014-07-18 11:59 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『ペリカンの冒険』(レーナ・クルーン著、篠原敏武訳、新樹社)

c0077412_1111191.png『Ihmisen vaatteissa』(Leena Krohn, 1976)
主人公はフィンランドの都会に住む少年エミル。田舎に残って新しい家族と暮らすお父さんと別れて、お母さんと二人で都会に出てきてアパートで暮らしている。お母さんが夕方も仕事をするときは、エミルは近くの食堂に行って一人で食事をする。ある日エミルは、食堂の片隅で、新聞を逆さまに持って座っている人を見かける。他の人は誰も気づいていないようだったが、それは人間ではなく、明らかに大きな白い鳥だった。
こうしてエミルとペリカンとの交流が始まる。ペリカンはエミルたちと同じアパートに住んでいて、ヒューリュライネルと名のっていた。紳士服を着こなし、エミルの手助けで文字を覚え、仕事を見つけて人間社会の一員として暮らし始めたペリカンは、図書館に通ってあらゆる知識を吸収していく。芸術活動にも目覚めてオペラ劇場に通い、オーケストラの一員となり、歌手としてデビュー、とペリカンの人間活動はとどまるところを知らない。

ガチョウのモルテンの背中に乗って旅をしたニルスのように、エミルがペリカンの背中に乗って空を飛ぶエピソードも出てきたりして、楽しくて中身の濃い物語となっている。絵的にも美しいこの物語は2004年に「ペリカンマン」というタイトルで映画化され、2005年にシカゴ国際子供映画最優秀賞を受賞したという。(2014.1.19読了)
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by nishinayuu | 2014-04-13 00:37 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)

『スノーグース』(ポール・ギャリコ著、矢川澄子訳、新潮社)


c0077412_17533114.jpg『The Snow Goose』(Paul Gallico,1941)
アメリカ生まれの作家ポール・ギャリコ(1897~1976)の初期の代表作「スノーグース」他2編を収めた短編集。翻訳の名手・矢川澄子の訳と、建石修志の繊細で叙情的な装画・挿画によって、文庫本ながら格調の高い一冊となっている。

「スノーグース」――エセックス海岸の沼地にあるうち捨てられた燈台に、1930年の春遅くひとりの孤独な男・ラヤダー(27歳)が住み着いた。彼は人間にも動物にも自然にもあふれる愛情を持っていたが、身体がねじくれているせいで人付き合いから身をひいてしまったのだった。3年目の秋、そんな彼のところに村の少女・フリスが訪ねてくる。胸には怪我をしたスノーグースを抱えていた。こうして始まった男と少女と白鳥の交流は、1940年のダンケルクの撤退作戦で終わりを告げる。英国軍の兵士たちは彼らを救った勇敢な小さなヨットと、ずっとヨットといっしょだったスノーグースのことを感慨を込めて語りあった。
「小さな奇跡」――1950年代のイタリアはアッシジ近郊の村に、ペピーノという10歳の少年がいた。戦争で両親も近親者も失った孤児だったが、だれの世話にもならずにやっていけるだけの財産を持っていた。その財産とは、ろばのヴィオレッタだった。善良で有用で、やさしい目をしていて、いつも微笑んでいるような表情をしたろばだった。ところが早春のある日、ヴィオレッタがふいに病気になった。ペピーノはヴィオレッタといっしょに荷運びやオリーブの収穫の手伝いや酔っぱらいを家に届ける仕事やらをして稼いで貯めていたお金で、獣医のバルトーリ先生に往診を頼んだ。が、獣医の先生もヴィオレッタを治すことはできず、ヴィオレッタは弱っていくばかりだった。ヴィオレッタを救ってくれるものは地上にはないと悟ったペピーノは、聖フランチェスコにすがろうと思い立つ。こうしてペピーノはヴィオレッタの手綱を引いてアッシジの聖フランチェスコ寺院を目指す。
「ルドミーラ」――舞台は19世紀のリヒテンシュタイン公国。ある渓谷にハイリゲ・ノートブルガ(お助け聖女さま)の聖ルドミーラを祀った小さなお堂がある。14世紀に乳搾りの少女・ルドミーラが、その経験と信仰と聖母マリアへの献身故に聖女に列せられ、アルプスに住む家畜や牧夫たちを守護していたのだった。ある夏の終わり、いつ賭場へ売られてもおかしくないちびで弱虫の雌牛が、この聖女さまの像をじっと見つめていた。するとその次の日、その雌牛に生まれて初めてバケツに何杯もの乳を出すという奇跡が起こった。そして雌牛は、夏の終わりの山下りの行列では先頭を歩くという栄光まで得たのだった。
この物語では雌牛も一人前に思いを語っているところが、あくまでも人間が主体の他の2編とは異なっている。

3編とも動物にまつわる奇跡の物語であるが、その「奇跡」については、「ルドミーラ」で合理主義者の代表として描かれている牧夫長のアロワと、信仰の人であるポルダ神父が興味深いやりとりをしている。(2013.4.14読了)
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by nishinayuu | 2013-06-20 17:54 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)