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『説得』(ジェイン・オースティン著、大島一彦訳、キネマ旬報社)

c0077412_16185963.jpg原題はPersuasion。オースティン最後の完成作品で、最も美しく繊細な作品とされている。
ヒロインのアン・エリオットは気立てのよさ、思慮深さ、知性、感受性、姿形の美しさに恵まれた理想的な女性である。物語はこのようなヒロインの視点から、整然とした筆致で丹念に描かれているので、猥雑さやどぎつさとは無縁である。読書会の課題図書(11月)の関連図書として、あまり期待もせずに読んでみたのだが、意外や意外、最後のクライマックスでは感動の涙が出てしまった。翻訳者によるとこのクライマックスの部分は「イギリス小説の中でも指折りの美しい愛の場面のひとつ」なのだそうだ。
アンの恋人であるウェントワース大佐を始め、海軍関係者が多く登場するのは、イギリスが「七つの海を制覇」していた時代の物語なればこそであろう。

☆画像はWordsworth Classicsのものです。
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by nishinayuu | 2006-12-04 10:07 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『ジェイン・オースティンの読書会』(カレン・ジョイ・ファウラー著、矢倉尚子訳、白水社)

c0077412_20204095.jpg読書会「かんあおい」2006年11月の課題図書。
ジェイン・オースティンの小説6編を、6人の仲間が順番にリーダーになって月に一編ずつ読む読書会の話。メンバーは年齢も生き方もまちまちの女性5人と男性1人。著者によると、ジェイン・オースティンの小説をよく知っている人も、全く知らない人も楽しめるように書いたという。が、オースティン愛好家にはおそらくオースティンへの言及が少なすぎてもの足りなく、オースティンを知らない人にはおそらくオースティンへの言及が多すぎて訳がわからないだろうと思われる。登場人物の人間関係が絡まり合っているところはオースティン風と言えなくもないが、描かれている出来事はオースティンの穏やかな田園で生起するものとはかけ離れた、めまぐるしい現代社会のものである。
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by nishinayuu | 2006-12-02 09:53 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『緋色の研究』(コナン・ドイル著、大久保康夫訳、早川書房)

c0077412_167686.jpg読書会「かんあおい」2006年8月の課題図書。ホームズ・シリーズ第一作目の作品で、世評はあまり高くないらしいが、私にとっては中学生の時に読んでホームズ・ファン(シャーロッキアンの域にはほど遠いが)になった思い出深い作品である。
第1部にホームズとワトスンの出会いと、事件の捜査状況が描かれ、第2部に事件に至るまでのいきさつが描かれている。推理小説としては第1部とエピローグにある事件のまとめだけで充分なのだが、この作品の最大の魅力は第2部の壮大な物語にある。一方、初登場のホームズが、何となく青臭いような軽いような感じがするのもおもしろい。後の作品に出てくるホームズや、ドラマでジェレミー・ブレットが演じた渋いホームズの姿が焼き付いてしまったせいだろうか。

☆画像は創元社文庫のものです。
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by nishinayuu | 2006-10-28 21:23 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『万葉びとの四季を歩く』(都倉義孝著、教育出版)

c0077412_20304695.jpg読書会「かんあおい」2006年7月の課題図書。
春夏秋冬を代表する花々をテーマにした37編から成る。歌の意味、歌の背景、万葉びとの生活と情趣がわかりやすく解説されている。万葉になじみのない人は入門書として、なじんでいる人は復習書として読むことができる。ほぼ全編に花の名所案内や歴史上のエピソードなどのコラムがついているのも楽しい。

☆今回の読書会は、会員の一人の伴侶である万葉学者、横倉長恒・早大教授の講義、という形でおこなわれました。
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by nishinayuu | 2006-10-10 15:17 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『 安楽病棟』(帚木蓬生著、新潮社)

c0077412_20393277.jpg読書会「かんあおい」2006年5月の課題図書。4年前に一度読んでいるが、とにかく嫌な内容の本だった、ということしか覚えていなかった。今回読み直してみたら、戦争体験談集としても読め、推理小説としても読める、なかなか読みでのある本だった。

☆4年前の読書ノートを見てみたら「推理小説としては謎解きが易しすぎる。そしてテーマは重過ぎる」という感想が書いてありました。4年前より推理力が落ちているのかもしれない、と自分の脳の状態が心配になりました。
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by nishinayuu | 2006-09-17 11:28 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『八点鐘』(モーリス・ルブラン著、長島良三訳、偕成社)

読書会「かんあおい」の課題図書(2005年8月)。
3ヶ月の間に8回のすばらしい冒険をしたあとで互いの願いを聞き届けよう、という契約のもとでルパンとオルタンス嬢が経験した8つの事件の物語。荒唐無稽なトリック、あり得ない展開なので、ばかばかしと思ってしまえばそれまでだが、ルパンの立場になって読めば楽しめる。
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by nishinayuu | 2006-08-19 22:24 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『木曜日の朝、いつものカフェで』(デビー・マコーマー著、石原まどか訳、扶桑社)

読書会「かんあおい」2005年12月の課題図書。
年齢も境遇もまちまちの4人の女性が毎週木曜に朝食会をして自由に語りあう、という設定。4つの短編をモザイク状に組み合わせた形で話が進行していく。かなり深刻な状況も、いつしか好転していき、だれも惨めなままに終わらないので、重苦しさは残らない。テレビのホームドラマを見るような感じでさらっと読める。
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by nishinayuu | 2006-08-14 17:57 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『ひとたびはポプラに臥す-1』(宮本輝著、講談社)

c0077412_22391218.jpg読書会「かんあおい」2005年11月の課題図書。
『パイプのけむり』シリーズで読んだ團伊玖磨の西域の旅は、豪勢・優雅な、王侯貴族の旅で、異国情緒が満喫できるものだった。それに比べると宮本輝の旅は、食べ物や人間関係に悩まされつつのどろどろしたもので、それはそれで魅力的だ。この先がどうなるか気になるので、2巻目以降も読もうという気にさせられる。


☆読書会で取り上げたのは最初の1巻だけでしたので、このあとの巻(2~5)は自分で読みました。巻5の感想は以下の通り。

読み進むにしたがって宮本輝もシルクロードもますます魅力的になる。中国人通訳・フーミンちゃんとの遠慮のないやりとりが、宮本輝の人柄もフーミンちゃんの人柄っもくっきり浮かび上がらせる仕掛けになっている。
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by nishinayuu | 2006-07-26 21:18 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『センセイの鞄』(川上弘美著、平凡社)

c0077412_2238544.jpg読書会「かんあおい」2005年9月の課題図書(担当nishina)。
前に読んでおもしろかったのでみんなに読んでもらった。同じ作者の『蛇を踏む』などには抵抗のあった人も、この作品は文句な しに楽しめたようだった。ひとりだけ、むりやり作ったような不自然な話だと思った、という感想を述べた人がいたが。
テレビドラマを見た人も何人かいて、「センセイ」や「ツキコさん」役については、イメージが違う、いや、あれでいい、と意見が分かれたが、センセイの奥さん役は違うんじゃないか、ということでは意見が一致した。


☆ 『パレード』 (川上弘美著、平凡社)は『センセイの鞄』のセンセイとツキ子さんのある一日を描いた小編。静かで、優しくて、どこか懐かしい物語ですが、そう思うのはたぶん私が『センセイの鞄』を読んだからでしょう。しゃれた装丁の本なので、『センセイの鞄』の姉妹品だとは知らずに買って読み、ダマサレタ、と思った人もいるのではないかと、ちょっと心配です。
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by nishinayuu | 2006-07-22 21:48 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)