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『Titus Andronicus』(Shakespeare, Greenwich House)

c0077412_1557674.jpg『タイタス・アンドロニカス』(シェイクスピア)
1594年の上演記録が残るこの戯曲は、残虐なシーンのオンパレードでシェイクスピアの他の作品を圧倒している。さらに学者並みの古典の知識がちりばめられていることや、文体が他の作品とは異なることなどもあって、古くからシェイクスピアの作品ではないのでは?という疑問がつきまとっている作品でもある。
これについての議論は専門家たちにお任せすることにして、主な登場人物とその行動を記録しておく。

* サターナイナス=ローマ市民に人望のあるタイタスから譲られる形で皇帝におさまる。弟の恋人を妃にしようとして逃げられると、タイタスが捕らえてきたゴート族の女王タモーラを妃にする。
* バシエーナス=サターナイナスの弟。恋人ラヴィニアとともに宮廷を去るが、タモーラの息子たちによって惨殺される。
* タイタス・アンドロニカス=ゴート族との戦いに勝利を収め、女王タモーラと息子たちを捕虜にして凱旋する。ところがタモーラの息子たちによって娘は陵辱され、自分も陥穽にはまって片腕を失い、息子たちも惨殺されたため、復讐の鬼と化す。
* ルーシアス=タイタスの4人の息子のうち唯一死を免れた息子。タイタスによってゴート族のもとに送り込まれ、彼らとともにローマに攻め入る。
* クインタスとマーシャス=タイタスの息子たち。バシエーナス殺しの罪を着せられて惨殺される。(この場面、残虐な殺され方をする二人が哀れで胸が痛くなる。)
* アラーバス=タモーラの長男。タイタスによって生け贄として殺される。(タイタスは戦死した息子のために仕返しをするわけ。)
ディミートリアスとカイロン=タモーラのケダモノのような息子たち。ラヴィニアを犯し、バシエーナスを殺して穴に投げ込む。けれども最後はタイタスによって切り刻まれ、タモーラの食卓に供される。(タイタスもタモーラ一派に負けず劣らず残虐なのだ。)
* エアロン=タモーラの情夫のムーア人。タモーラに協力して暴虐を尽くす。
* 黒い子ども=タモーラとエアロンの子ども。エアロンとの関係が知られるのを怖れたタモーラによって殺されそうになるが、父性愛に目覚めたエアロンによってゴート族のもとに送られる。
* タモーラ=ゴート族の女王。アンドロニカス一族への復讐に燃える。ローマ皇帝の妃になったため、ゴート族からは裏切り者と見なされる。
* ラヴィニア=タイタスの娘。タモーラの息子たちに犯されたうえ、口封じのために両腕と舌を切り取られる。

最後はタイタスがまず恥辱にまみれたラヴィニアを殺したあとタモーラの息子たちを殺し、タモーラも刺し殺す。するとサターナイナスがタイタスを殺し、それを見たルーシアスがサターナイナスを殺し、エアロンを餓死の刑に処す。始めから終わりまで、これでもか、という惨劇が続く、なんとも凄まじい内容だが、こんな残酷劇を受け入れて楽しむ雰囲気が当時のロンドンにはあったということだろう。(2015.5.17読了)
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by nishinayuu | 2015-09-12 15:44 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『Antony and Cleopatra』(Shakespeare, Greenwich House)

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『アントニーとクレオパトラ』(シェイクスピア)
本作は『Julius Caesar』から8年後の1606年に書かれた作品で、プルタルコスの『英雄伝』が下敷きとなっている。
舞台はBC40~30のローマとエジプト。『Julius Caesar』における名演説でブルータスを退けて権力を握ったアントニーの後半生が描かれる。すなわちこの戯曲の主題は、エジプト女王クレオパトラとの恋の駆け引きと、英雄の転落である。登場人物は以下の通り。
*アントニー ローマの三執政官の一人
*オクティヴィアス・シーザー ローマの三執政官の一人
*ポンペイ 執政官への反逆者
*イノバーバス アントニーの忠実な従者だったが、後にオクタヴィアス側に寝返る
*クレオパトラ エジプトの女王
*チャーミアン クレオパトラの侍女
*オクティヴィア オクティヴィアスの姉、アントニーの2番目の妻(最初の妻ファルヴィアがオクティヴィアスに戦いを挑んで戦死した後、アントニーがオクティヴィアスとの和解のために結婚)

この戯曲の特徴のひとつは他の戯曲に比べて場面の変化がめまぐるしいことだ。エジプトのアレキサンドリア→ローマ→エジプト→シチリアのメシーナ→ローマへと舞台が移る物語が、5幕42場で展開される。
もう一つの特徴は女性の活躍がめざましいことだ。主役の一人がクレオパトラなのだから当然といえば当然だが、クレオパトラだけでなく侍女のチャーミアンもかなり出番が多く、台詞も多い。当時のロンドンに演技力のある「少年俳優」が複数存在したと推察できる。
気になったのはクレオパトラの描かれ方。アントニーが結婚したオクタヴィアに対する嫉妬心を露わにし、結婚を伝えた使者を脅迫する姿は、プトレマイオス家を継承する高貴な女性とはとても思えない。舞台の上でまるで庶民の女房のようにはしたなく振る舞うクレオパトラの姿は、当時の人々をさぞ喜ばせたことだろう。しかし、アントニーの死後、オクティヴィアスからローマへ招かれたときにオクティヴィアスの思惑を見抜いて死を選ぶクレオパトラは、エジプトの女王にふさわしい毅然とした姿に描かれている。(2015.4.23読了)
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by nishinayuu | 2015-09-04 21:05 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『Julius Cæsar』(Shakespeare, Greenwich House)


c0077412_18245589.jpgこれは、シェイクスピア円熟期の作品で、1599年に書かれたと推定されている。5幕5場の構成でシーザーの殺害とその後の展開が描かれており、シーザーが第3幕第1場で殺されたあとの主役はブルータスである。ブルータスは、シーザーを倒したのは彼が専制的な独裁者だからだとローマ市民に説明したが、死後のシーザーは一変してローマ市民のために尽くす英雄の面貌を持つことになり、そのシーザー殺害の首謀者であるブルータスは反逆者に転落する。このシーザーの返り咲き?とブルータスの転落という逆転劇を演出したのはアントニーである。高潔で理想に燃える学者肌の政治家であるブルータスと、民衆の心を知り抜いていて、ブルータスに傾いていた民衆の心を「名演説」によって反ブルータスに持っていった実際的な政治家・アントニー。この二人の政治家それぞれの演説と市民の反応が後半の山場のひとつである。
山場といえば、シーザー殺害前夜の様々な前兆(異常な天候、手から炎を発してもやけどをしない男、街路を横切るライオンなど)の場面、そしてもちろんシーザーがEt tu ,Brute?と叫ぶ場面などがある。そしてそれらに劣らず印象的なのが終幕の、ブルータスの死に際して友人であるルシリアスが献身的行為をみせる場面である。ブルータスは政治家としては失敗したが、素晴らしい友人と従者に恵まれた幸せな人間だったといえる。
最後に主要人物をその史実上の名前とともにあげておく。
マーカス・ブルータス(マルクス・ブルトゥス、反シーザー派)
ケイアス・キャシアス(ガイウス・カッシウス、反シーザー派)
キャスカ(カスカ、反シーザー派)
マーク・アントニー(マルクス・アントニウス、三頭政治のメンバー)
オクタヴィアス・シーザー(オクタヴィアヌス、三頭政治のメンバー)
レピダス(レピドゥス、三頭政治のメンバー)
シセロ(キケロ、元老院議員)
ケイド(カト、元老院議員、反シーザー派)
ルシリアス(ブルータスの友人)
(2015.2.17読了)
☆画像はテムズ河畔のグローブ座
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by nishinayuu | 2015-06-16 18:25 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『Hamlet』(Shakespeare, Greenwich House)

c0077412_1591571.jpgハムレットはシェイクスピア劇の中で最も有名であり、そこに出てくる語句が日常英語の一部になった例も多いという。ハムレットの劇を見たあるイギリス人が
Well, Shakespeare was a very clever fellow, but he is so damned full of quotations
と言った、という笑える話も伝わっているという。そこで今回はこの劇に出てくる有名な台詞を、覚え書きとして記しておくことにする。( )内の数字はAct, Scene, Line、アルファベットはその言葉を発した人物です。

A little more than kin, and less than kind(1.2.65, Hamlet)親族だが愛情はない
Frailty, thy name is woman(1.2.146, Hamlet)脆きものよ、汝の名は女なり。frailtyは誘惑に陥りやすいの意
primrose path(1.3.50, Ophelia)快楽の道
More honour’d in the breach than the observance(1.4.16, Hamlet)守らぬほうがかえってまし
the glimpses of the moon(1.4.53, Hamlet)夜の世界/月下の光景
Something is rotten in the state of Denmark(1.4.89, Marcellus)デンマークにはなにかけしからぬことがある
With all my imperfections on my head(1.5.79, Ghost)よろずの罪を背負ったままで
The time is out of joint(1.5.189, Hamlet)今の世は調子が狂っている。原義は時勢の関節が外れている
brevity is the soul of wit(2.2.90, Polonius)簡潔は分別の精髄/言は簡を尊ぶ
Though this be madness, yet there is method in’t(2.2.207, Polonius)狂うた様で、そのくせ筋が通っているわい
know a hawk from a handsaw(2.2.397, Hamlet)たいていのことは心得ている
To be , or not to be: that is the question(3.1.56, Hamlet)生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ
Get thee to a nunnery(3.1.122, Hamlet)尼寺に行け
The observed of all observers(3.1.162, Ophelia)衆目の的である人
out-herods Herod(3.2.15, Hamlet)残忍さにおいてヘロデに勝る
metal more attractive(3.2.116, Hamlet)もっと引力の強い金
There’s a divinity that shapes our ends, Rough-hew them how we will(5.2.10-11, Hamlet)我々が荒削りにしておいても、その計った事柄を神様がきちんと仕上げてくださる
german to the matter(5.2.165, Hamlet)適切な
palpable hit(5.2.292, Osric)まさしき当たり

(2014.12.29読了)
☆これまでに英語で何回か読んでいるはずですが、今回読んでみて、台詞も場面もあまり頭に入っていないことを思い知りました。名日本語訳が数々あることは承知していながら、なんとなく(意地で?)避けてきましたが、やはり一度は日本語訳をじっくり読んでみたほうがよさそうです。
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by nishinayuu | 2015-03-23 15:11 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『Troilus and Cressida』(Shakespeare, Greenwich House)


c0077412_1424678.pngトロイラスはトロイの英雄ヘクターの弟。物語の主題の一つはトロイラスとクレシダの恋物語であるが、真剣にクレシダを愛していたトロイラスはクレシダに手ひどく裏切られる。クレシダという女性は心理にも行動にも一貫性がなく、そもそも恋愛の対象とすべきではない娼婦的な女性だったわけで、ヒロインとしての魅力がない。主人公のトロイラスも、戦場での活躍という点では目立たない存在であるため、こちらもあまり魅力的とはいえない。また、この戯曲のもう一つの主題はアキリーズがヘクターを斃すまでの物語であるが、トロイ戦争の結末までは語られていないので、尻切れトンボの感は否めない。つまり、今はやりの言葉でいえば「残念な」作品である。ただし、近年、ここに盛り込まれた内容が「現代的なテーマと通じるものがある」として注目されつつあるという。
主要な登場人物は以下の通り。
トロイ側――プライアム(トロイの王)、ヘクター(プライアムの息子)、トロイラス(プライアムの息子)、パリス(プライアムの息子)、イーニーアス(将軍)、カルカス(神官、クレシダの父、ギリシアに与している)、パンダラス(クレシダの叔父)、アンドロマキ(ヘクターの妻)、クレシダ(カルカスの娘)
ギリシア側――アガメムノン(ギリシアの総指揮官)、メネレーアス(アガメムノンの弟)、アキリーズ(将軍)、ユリシーズ(将軍)、ネスター(将軍)、エージャックス(将軍)、パトロクラス(将軍、アキリーズの親友)、ヘレン(メネレーアスの妻)

ところで、エージャックスのことを訊かれたクレシダの従者が、They say he is a very man per se と答えるくだりがある。Small Latin , less Greek のはずのシェイクスピアさん、わざわざこんなところで従者にラテン語を使わせなくても、と思った。ところが現代の小説を読んでいたら、ごく普通の人物がこのことばを口癖にしている場面にでくわした。どうやらこのことばは英米人にはごく当たり前のことばらしい。畏れいりました。(2014.11.21読了)
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by nishinayuu | 2015-02-27 14:03 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『The Blue Bird』(Maurice Maeterlinck, Methuen′s Modern Classics)


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『L′Oiseau Bleu』の英訳版(訳:Alexander Teixeira de Mattos)。
原作は1908年に発表された童話劇で、本書は1923年の英語版に基づいた完訳版である。


冒頭に登場人物の名前が登場順に記され、続いてそれぞれの衣裳についての細かい指定がある。たとえばチルチルはペローの『親指小僧』の服装(真っ赤なニッカボッカー、淡いブルーのジャケット、白いストッキング、茶色い靴)、ミチルは「グレーテル」か「赤ずきん」の服装、という具合。
邪悪な動物やモノたちの姿を見せつけられたり、恐い思いをさせられたりする場面も多い中で、「思いでの国」と「未来の王国」という二つの場所の幻想的な美しさが心に残る。チルチルとミチルは「思いでの国」ではおじいさん、おばあさんや、幼くして死んだ弟妹(その数の多いこと!)に再会し、「未来の国」ではこれから生まれてくる弟にであう。本書で特に印象的なのは「思いでの国」にいるおばあさんが二人に言う次のことば。
Every time you think of us, we wake up and see you again.
これは大切な人を失ったときにいちばん慰めになることばである。

この作品は無声映画時代から何度も映画化されている。1976年には米・露の合作で、レニングラード・バレエ団総出演のミュージカルに仕立てられている(監督はマイ・フェア・レディのジョージ・キューカー)。この映画でエリザベス・テーラーが演じた光の精はちょっと太めでイマイチだったが、ロバート・モーレーが演じた「時を司る老人」は威厳があって印象的だった。
なお、作者のメーテルリンクはこの作品で1911年にノーベル文学賞を受賞している。
(2014.11.20読了)
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by nishinayuu | 2015-02-19 10:09 | 読書ノート | Trackback(1) | Comments(0)

『Where or When』(Anita Shreve, Harvest Book, 1993)

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『いつかどこかで』(アニタ・シュリーヴ、ハーヴェストブック)
45歳のチャールズはある日、ふと手にした新聞の中に新刊を上梓したという女流詩人の写真を見つける。写真の女性は彼が14歳の時にサマーキャンプで出会った初恋の相手ショーンだった。仕事にも家庭生活にも行き詰まっていたチャールズは、それらの重圧から逃れるようにショーンに近づいていく。愛し合っていながら幼さのために手放してしまったあの美しい愛をとりもどしたい、という思いに駆られて。どうみても彼の言動はストーカーのそれだが、驚くべきことに最初は冷静に対処しているかに見えたショーンも、いつしか彼の思いに応えるようになり、二人は「行方も知れぬ恋の道」に突き進んでいく。
事業がつぶれるとわかっていながら有効な手段を講じることもせず、子どもたちを愛していると言いながらその子どもたちの待っている家庭を顧みることもせず、31年という時を隔てて再会した相手の現在までの生き方や現在の状況に対する配慮もなく恋に突き進む――こんな主人公が身を滅ぼすのは自業自得であって、同情する気にもなれない。つまり、全く共感を覚えることのできない主人公であり、こんな主人公が好む音楽談義にも耳を傾ける気がしない(タイトルもそうだが、この小説にはやたらにポップスの名曲や歌手、クラシックの曲や演奏家の名が出てくる)。
主人公や相手の女性には共感できない一方で、考えも趣味も合わない女、とチャールズの目に映っている妻のハリエットを、あるいはショーンの夫で農場主兼大学講師のステファンを語り手とした小説だったら読んでみたい、とも思う。ハリエットには彼女と子どもたちが事件のあとどういう風に生きていったかを語ってもらいたいし、ステファンにはチャールズが現れる前までのショーンとの人生、チャールズが現れたことによって壊されていった人生について語ってもらいたいからだ。(2014.10.1読了)
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by nishinayuu | 2015-01-30 10:09 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)

『Ozma of Oz』(L.Frank Baum, illustration: John R. Neill, Del Rey Books)

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『オズマのオズ』(ライマン・フランク・ボーム、絵:ジョン・ニール)
著者のボームはオズの世界を描いた作品を全部で14作出しているが、これはその第3巻目で、1907年の出版。


ヘンリーおじさんと船旅に出たドロシーは、嵐に遭って船から落ちた鳥籠を追って海へ。船からどんどん遠く離れてしまったドロシーは、めんどりのビリーナとともに海上を漂流しているうちにオズの近くにあるエヴの国にたどり着く。この国は国王の死後、地下世界に君臨する妖精ノームよって王家の人々が地下世界に閉じ込められてしまったため、完全な無法地帯となっていた。王城に住むラングウィディア姫は付け替え用の頭部を30も所有していて、その日の気分によって頭部を付け替えるのだが、姫の気分も性格も新しくつけた頭部に合わせて変化する。そして気まぐれで欲張りなラングウィディア姫は、なんとドロシーの頭をNo.26の頭部と交換しろ、と言い出し、それを拒否したドロシーを塔屋に閉じ込めてしまう。そこへオズのオズマの一行が緑のカーペットを繰り広げながら登場する。このカーペットは行く手に道を作り、通った後はくるくると巻きあがって後になにも残さない魔法のカーペットである。オズマと一行によって塔から救出されたドロシーは、今度は自らがエヴの王妃と5人の王子たち・5人の王女たちを救い出すために、仲間とともに地下世界へと下りていく。彼らはノームの王が魔法を掛けて、色も形も様々な置物にされているというのだが、さてドロシーは彼らを無事に救い出すことができるだろうか。

ドロシーを取り巻く主要キャラクターは以下の通り。
ビリーナ:黄色いめんどり。人間の言葉を話す。
チクタク:考える、話す、動くという3つの機能を持つ優秀なロボット。スミス&ティンカーズ社製で、1000年間の完全保証付き。
ラングウィディア姫:亡くなったエヴ王の姪。エヴ城にメイドのナンダと二人で暮らしている。国を治める力はない。
オズマ姫:オズの世界の支配者。ドロシーと同じ年頃、同じ背格好。
オズマ姫に付き従う一行:案山子、馬の形の木挽き台、ブリキの木こり、臆病ライオン、腹ぺこタイガー

威厳のある大人の登場人物がいないせいか、『ナルニア』や『指輪物語』などに比べると児童書の色合いが強ようにも思えるが、大人でも充分楽しめる。「Oz—where the young stay young and the old grow young forever—these books are for readers of all ages」とRay Bradburyも言っている。なお、本書にはイラストがふんだんに挿入されており、動物たちは実に写実的に描かれている。これに対して主人公のドロシーは、服装がオールドファッションなのはやむを得ないとして、身体のバランスがちょっとおかしいような……。(そういえばアリスのイラストもバランスがおかしかった。)(2014.11.4読了)
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by nishinayuu | 2015-01-26 10:30 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)

『The Winter’s Tale』(Shakespeare, Greenwich House)


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『冬物語』(シェイクスピア)
これは1610~11年頃に作られた、シェイクスピアの後期作品の一つである。「A Midsummer Night’s Dream」と対をなすようなタイトルを持つこの作品は、前半は嫉妬による悲劇の物語、すなわち「冬の物語」であり、後半はすべての不幸が解消されるハッピーエンディングの物語、すなわち「春の物語」となっている。そのため初期には喜劇に分類されていたが、現在は「シンベリン」「テンペスト」などとともにロマンス劇という項目に分類されている。
物語の大筋の覚え書きを兼ねて、主な登場人物を以下に記しておく。
レオンティーズ――シシリア王。友人であるボヘミア王と自分の妻の関係を疑い、嫉妬に狂う。
ハーマイオニー――シシリアの王妃。王によって幽閉されたあとで女の子を出産。
ポリクシニーズ――ボヘミア王。シシリア王の友人として王宮に滞在していたが、シシリア王に王妃と密通したと疑われ、ボヘミアに逃げ帰る。
カミーロ――シシリアの貴族。王からボヘミア王の暗殺を命じられるが、それをボヘミア王に打ち明けて一緒にボヘミアに逃れる。
アンティゴナス――シシリアの貴族。王妃の産んだ子を殺せという王命を受けて、その子をボヘミアの森に捨てる。そのとき熊に襲われて食われてしまう。
ポリーナ――アンティゴナスの妻で、王妃付きの侍女。横暴な王に逆らって王妃を守ろうとする。
コーラス――劇の前半と後半の間にある16年という時の流れを30数行の詩で語ってしまう、というすご技をみせる。
フロリゼル――ボヘミアの王子。羊飼いの娘(実はシシリアの王女)と恋仲になる。
パーディータ――羊飼いの娘でフロリゼルの恋人。その名Perditaはラテン語のperditus(lost)から来た語で、「失われた女の子」を意味する。

この劇ではシシリアとボヘミアが海路で繋がっていたり、羊飼いに育てられたパーディータが容姿も教養も申し分のない女性になっていたりするが、一種のおとぎ話なので、詮索しても意味がない。アンティゴナスが熊に食われるシーンを除けば、グロテスクなところも恐ろしいところもないので楽しめる。(2014.10.29読了)
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by nishinayuu | 2015-01-18 10:42 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

私の10冊(2014年)


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☆この1年に読んだ本の中から特に気に入った本を選んで、「私の10冊」としてまとめてみました。また、「私の10冊」の選から漏れた本を「お勧めの10冊」として挙げてみました。
☆画像はThe Amateur Marriageです。


私の10冊
友情(フレッド・ウルマン、訳:清水徹・美智子、集英社)
ナチと理髪師(エドガー・ヒルゼンラート、訳:森田明、文芸社)
四人の兵士(ユベール・マンガレリ、訳:田久保麻理、白水社)
카스테라(박민규, 문학동네)
二度生きたランベルト(ジャンニ・ロダーリ、訳:白崎容子、平凡社)
The Amateur Marriage(Anne Tyler, Ballantine Books)
달에게 들려주고 싶은 이야기(신경숙)
思いでのマーニー(ジョーン・ロビンソン、訳:松野正子、岩波少年文庫)
火曜日の手紙(エレーヌ・グレミヨン、訳:池畑奈央子、早川書房)
Hamlet (Shakespeare)

お勧めの10冊
立原正秋追悼(編:白川正芳、創林社)
死の舞踏(ヘレン・マクロイ、訳:板垣節子、論創社)
鏡の中の言葉(ハンス・ベンマン、訳:平井吉夫、河出書房新社)
しずかに流れる緑の川(ユベール・マンガレリ、訳:田久保麻理、白水社)
よみがえる昭和天皇(辺見じゅん・保阪正康、文藝春秋)
第五の山(パオロ・コエーリョ、訳:山川紘矢・山川亜希子、角川文庫)
猫は山をも動かす(リリアン・ブラウン、訳:羽田詩津子、早川文庫)
The Blue Bird(Maurice Maeterlinck)
画家の妻たち(澤地久枝、文藝春秋社)
いにしえの光(ジョン・バンヴィル、訳:村松潔、新潮クレスト文庫)
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by nishinayuu | 2015-01-14 10:16 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)