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『開幕ベルは華やかに』(有吉佐和子著、新潮社)

華やかな演劇界を舞台に、殺人事件が起こる。事件のまっただ中にいる劇作家からの強引な依頼によって、事件の解決に奔走することになるのは、劇作家のもと夫である推理小説作家。この男、不眠症という弱点はあるが、仕事が良くできる上にダンディで、グルメぶりも堂に入っている(だけど、もっと野菜を食べなくちゃあ!)。登場人物の中には実在の人物が反映されているものも多いようで、演劇界に詳しい読者ならそんなところも楽しめそう。

☆この本は神田の古本屋街を歩いていたときに、安さにつられて衝動買いしました。価格は100円だったか200円だったか忘れましたが、とにかくとってもお買い得な本でした。
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by nishinayuu | 2006-08-11 21:56 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『錆びる心』(桐野夏生著、文春文庫)

c0077412_2243910.jpg短編集。「虫卵の配列」「羊歯の庭」「ジェイソン」「月下の楽園」「ネオン」「錆びる心」の6作品がが収録されている。
「月下の楽園」はサキの作品に通じるものを感じさせる。他の作品もそれぞれ趣向が凝らされていて楽しめるが、精神的に弱っているときには読めないだろうという気がする。
これとほぼ同時に読んだ同じ作者の『天使に見捨てられた夜』(講談社)は、上記の作品とはがらりと趣向の違う推理小説。女探偵・松野ミロがかっこよすぎなくていい。血みどろの場面がないのもいい。

☆サキ(Saki 1870~1916)はスコットランドの作家。本名はHector.H.Munroといい、O.Henryと並び称される短編の名手。風刺の効いた、ブラックユーモア的な作風が特徴。
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by nishinayuu | 2006-08-10 22:36 | 読書ノート | Trackback(1) | Comments(0)

『光の帝国』(恩田陸著、集英社文庫)

c0077412_224222.jpg副題「常野物語」。膨大な書物を暗記する能力(『大きな引き出し』)、近い将来を見通す能力(『2つの茶碗』)など、特殊な能力を持ちながら、権力への志向を持たずにひっそりと生きる人々――遠野を連想させる架空の地・常世にルーツを持つ一族の物語。
いくつかの独立した短編で構成されており、話が細切れなため、常世の全体像が今ひとつつかみにくい。その点がやや物足りないが、文がなめらかで読みやすく、内容も爽やかなので、気持ちよく読める。

☆この著者はしばらく前までは性別不詳の作家の一人でしたね。「陸」というのは男の子の名前によくありますから。先日はテレビのクイズ番組で、北村薫の性別が問題になっていました。男女がはっきりしないペンネームを使うのは、作家の性別によって先入観を持って読むことはしないでほしい、という作家のメッセージなのでしょう。
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by nishinayuu | 2006-08-07 17:53 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『優しいサヨクのための喜遊曲』(島田雅彦著、福武文庫)

話題になっていた頃に読み損なった本。ただし、話題になっていた頃に読んでもあまり共感できなかったかもしれない。サヨクのせいではなく世代の違いのせいではないかと思う。少し上の世代の柴田翔『されど我らが日々』には共感できたのだけれど。ちなみに、島田雅彦が以前、土曜日の朝日新聞「be」に連載していた随想「快楽急行」はとても楽しい読み物だった。
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by nishinayuu | 2006-08-03 14:52 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『水に眠る』(北村薫著、文藝春秋社)

c0077412_2241462.jpg短編集。「矢が三つ」「弟」「ものがたり」がよかった。様々な文体を使い分ける達者な作者である。友人?の作家たちが1編ずつ担当している巻末の「贅沢な解説」が面白くもあり難しくもあり……。

☆この作者の作品で、最初に読んだのは『スキップ』。続いて『リセット』と『冬のオペラ』も読みました。
『スキップ』は、青春時代をすっかりスキップさせられてしまった主人公が、嘆き、戸惑いながらも、その理不尽な運命に立ち向かい、次第に受け入れていくという、成人女性の「成長物語」。
『リセット』はSFファンタジーとしてよくありそうな話ですが、それでも、ほんとうにこんな事があったらいいな、と思わせる作品。この作者らしく、ディテール描写が念入りで、その点も楽しめます。
『冬のオペラ』は推理ものですが、トリックはあまり納得できませんでした。もしかしたら作者は「椿姫」に関する知識を生かすためだけにこの作品を書いたのでは、と勘ぐってしまいました。
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by nishinayuu | 2006-08-02 22:31 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『ひとたびはポプラに臥す-1』(宮本輝著、講談社)

c0077412_22391218.jpg読書会「かんあおい」2005年11月の課題図書。
『パイプのけむり』シリーズで読んだ團伊玖磨の西域の旅は、豪勢・優雅な、王侯貴族の旅で、異国情緒が満喫できるものだった。それに比べると宮本輝の旅は、食べ物や人間関係に悩まされつつのどろどろしたもので、それはそれで魅力的だ。この先がどうなるか気になるので、2巻目以降も読もうという気にさせられる。


☆読書会で取り上げたのは最初の1巻だけでしたので、このあとの巻(2~5)は自分で読みました。巻5の感想は以下の通り。

読み進むにしたがって宮本輝もシルクロードもますます魅力的になる。中国人通訳・フーミンちゃんとの遠慮のないやりとりが、宮本輝の人柄もフーミンちゃんの人柄っもくっきり浮かび上がらせる仕掛けになっている。
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by nishinayuu | 2006-07-26 21:18 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『センセイの鞄』(川上弘美著、平凡社)

c0077412_2238544.jpg読書会「かんあおい」2005年9月の課題図書(担当nishina)。
前に読んでおもしろかったのでみんなに読んでもらった。同じ作者の『蛇を踏む』などには抵抗のあった人も、この作品は文句な しに楽しめたようだった。ひとりだけ、むりやり作ったような不自然な話だと思った、という感想を述べた人がいたが。
テレビドラマを見た人も何人かいて、「センセイ」や「ツキコさん」役については、イメージが違う、いや、あれでいい、と意見が分かれたが、センセイの奥さん役は違うんじゃないか、ということでは意見が一致した。


☆ 『パレード』 (川上弘美著、平凡社)は『センセイの鞄』のセンセイとツキ子さんのある一日を描いた小編。静かで、優しくて、どこか懐かしい物語ですが、そう思うのはたぶん私が『センセイの鞄』を読んだからでしょう。しゃれた装丁の本なので、『センセイの鞄』の姉妹品だとは知らずに買って読み、ダマサレタ、と思った人もいるのではないかと、ちょっと心配です。
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by nishinayuu | 2006-07-22 21:48 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『吉里吉里人』(井上ひさし著、新潮社)

c0077412_15453344.jpg話題になっていた頃に読み損ねてずっと気になっていた本。登場人物たちがめったやたらに有能で、しかもなぜかかなり卑猥。そんな登場人物たちが繰り広げる「吉里吉里国」の建国と挫折の顛末記。ストーリー展開はしっちゃかめっちゃかなのに、細部の描写や物事の解説が念入りで、読ませる。
とくに吉里吉里国の公用語である吉里吉里語については、発音記号入りで詳細に解説されており、そこのところがいちばんおもしろかった。しっかり吉里吉里語を勉強し、吉里吉里人たちとつきあっていれば、読み終わる頃には吉里吉里語がけっこう話せるようになる(!?)。

☆小説の中で言語が詳しく解説されている、ということでは George Orwell Animal Farm も同じですね。Orwell も井上ひさしも、言語解説の部分に相当入れ込んでいて、それを楽しんでいることは確かだと思います。
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by nishinayuu | 2006-07-17 22:14 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)