『容疑者Xの献身』(東野圭吾著、文芸春秋社)

c0077412_20365171.jpg完璧なアリバイ、数学者と物理学者というふたりの天才のからみなど、ミステリーファンの間で高い評価を得ているのが納得できるおもしろさだった。
冒頭に、問題の数学教師が勤める学校の位置が説明されているが、そこには実際に私立の女子高校がある。そこをモデルにしたのかとある人が著者に問い合わせたところ「無関係です」という答えが返ってきたという(学校関係者から聞いた話)。それはともかく、細部にリアリティーがあり、テンポも良くて、一気に読ませる。
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# by nishinayuu | 2006-09-23 17:43 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『二人乗り』(平田俊子著、講談社)

c0077412_2037437.jpg平々凡々とした人たちの淡々とした日常生活、と思いきや、実は突拍子もない人たちの一風変わった生活が描かれていて、なかなか愉快な物語。
嵐子さん、不治子(嵐子さんの妹)、道彦(不治子の夫)のそれぞれを主人公としたオムニバス形式の作品。
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# by nishinayuu | 2006-09-22 14:44 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

「貧しい男の別れた妻が摂津の守の妻になった話」その2

c0077412_14313044.jpg 昔々、京にとても貧しい若者がいた。父母も、親族も、知り合いもなく、住むところもなかったので、しかたなくよその家で雑用をしながら暮らしていた。妻は美しくて気だても良く、優しい女性だったので、この貧しい夫のもとで暮らしていた。けれどもある日、夫が妻に言った。
 「こんなふうに暮らしていたのではますます貧しくなるばかりだ。それぞれ一人でやってみたらどうだろう」
 妻は、運命に逆らうことはできない、と思ったけれど、あなたがそうしたいのならそうしましょう、と応えた。それで二人は涙ながらに別れたのだった。
 その後、妻は年も若く、顔も容姿も優れていたので、○○の○○という人に引き取られて過ごしていた。その人は彼女の優雅な人柄が気に入り、妻が死んだあとは彼女を妻にして暮らしていた。やがてこの人が摂津の守になったので、彼女はなおいっそう幸せに暮らしていた。
 元の夫は一人でやっているうちにいっそうみじめに落ちぶれ、京では暮らしていけなくなって摂津に流れていき、農夫として人に使われていたが、不慣れなため農作業がうまくできなかった。それで、雇い主から難波の浦で葦を刈る仕事を命じられ、難波の浦に行って葦を刈っていた。
 ときに、かの摂津の守が妻を伴って摂津に赴く途中で難波の浦に車をとどめ、一行とともに逍遙したり宴を催したりした。その間に摂津の守の奥方は、侍女たちといっしょに海辺へ出て遊覧した。そこには葦を刈る賤しい者たちが大勢いた。その中に、賤しい者でありながらなにか仔細ありげな、感じのいい男が一人いた。奥方が、そんなはずはないけれど元の夫によく似ている、と思って男をよくよく見ると、なんとまあ、元の夫なのだった。みすぼらしい姿で懸命に葦を刈っているところを見ると、今もまだうまくいっていないのだなあ、前世の報いのせいなのだ、と思って涙がこぼれた。それで、さりげなく、侍女に命じて男を呼び寄せた。近くで見ると、まさしくかの男なのだった。
 泥だらけでぼろぼろの袖もない麻の単衣、泥だらけの顔、ヒルが食いついて血みどろの脚……疎ましい姿だった。けれども奥方は酒を飲ませ、食事もさせてから衣を一着与えた。その衣に添えた紙には次のように書いてあった。
 あしからじと思いてこそは別れしかなどか難波の浦にしもすむ
 男は衣をもらって嬉しく思いながら書き付けを読み、すぐに昔の妻が書いたものだと気がついた。おのれの身の上があまりに悲しく恥ずかしくて、次のように書いて差し出した。
 君なくてあしかりけりと思うにはいとど難波の浦ぞすみうき
 男は葦刈りの仕事を放り出して、どこかに立ち去った。

☆「あしからじ」には「悪しからじ」と「葦刈らじ」の意味が入っているわけですが、それを韓国語訳(9/19の記事)に生かすにはほど遠い実力なので、意味の移しかえに留めました。
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# by nishinayuu | 2006-09-20 10:45 | 再話 | Trackback | Comments(0)

「貧しい男の別れた妻が摂津の守の妻になった話」その1

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☆『今昔物語』巻第三十の第五話を韓国語にしてみました。忠実な翻訳ではなく「再話」です。日本語は明日書きます。



가난한 남자의 헤어진 아내가 셋츠군수의 아내가 된 이야기

  옛날 옛날 경(수도)에 아주 가난한 젊은이가 있었다. 부모도 친족도 친지도 없고, 살곳도 없었기에 할 수 없이 남의 집에서 허드렛일을 하면서 먹고 살고 있었다. 그의 아내는 예쁜 여자였는데, 착하고 우아한 마음을 가진 사람이어서 그 가난한 남편을 믿고 살고 있었다. 그런데 어느 날 남자가 말했다.
  “우리 이렇게 살면 가난이 심해질 것 같다. 각자의 길을 하면 좋을 거라고 생각하는데 어때?”
  아내는 팔자를 거스르지는 못한다고 생각했지만 남편이 원하는 대로 해도 괜찮다고 대답했다. 그리하여 두 사람은 눈물을 흘리면서 헤어졌단다.
  그후 여자는 나이도 젊고 모습도 괜찮아서 ○○의 ○○라고 하는 사람의 비호아래 들어가 지내고 있었다. 그 사람은 그녀의 우아한 마음을 사랑하여 아내가 죽은 뒤에 그녀를 새로운 아내로 삼아 살고 있었다. 이윽고 그 사람이 셋츠군의 군수에 취임했기 때문에 여자는 더욱 행복하게 지내고 있었단다.
  옛 남편은 홀로 사는 동안에 더욱더 보잘것없이 찌부러져서, 수도에서 살지 못하고 셋츠로 헤매들어가서 오로지 농사꾼으로서 남 밑에서 일하고 있었는데, 농사질에 익숙하지 못해서 잘 할 수 없었더라. 그래서 주인인 사람이 남자에게 나니와포구에서 갈대를 베는 일을 시켰거든. 남자는 거기 가서 갈대를 베고 있었단다.
  그런데 그 셋츠의 군수가 아내를 데리고 임치로 가는 길에서 나니와포구에서 차를 세워놓고 일행을 거느리고 유람하거나 잔치를 벌이거나 하며 놀고 있었다. 그 동안에 마님은 시녀들과 함께 바닷가로 구경하러 갔다. 거기에는 갈대를 베는 비천한 사람들이 많이 있었다. 그 중에 비천해도 무언가 사연있어 보이는 멋있는 사나이가 하나 있었거든. 마님이 이상하게도 옛 남편을 닮았구나 하며 그 사나이를 주시해보았더니, 아불싸! 옛 남편이었다. 초라한 모습으로 마구 갈대를 베는 것을 보니 아직도 운수가 사납구나, 전세에 어떤 일이 있어서 이러는 거야라는 생각이 들어 눈물이 흘렀다. 그래서 아무 것도 모르는 척하면서 시녀에게 시켜 그 사나이를 오게 했다. 가까이에서 보았더니 틀림없이 그 남자였단다.
  흙으로 더럽혀진 소매도 없는 누더기 같은 홑옷, 흙투성이인 얼굴, 거머리가 붙어 피투성이인 다리------멀리하고 싶은 모습이었다. 그런데 마님은 그에게 술과 밥을 먹이고 나서 옷을 하나 주었다. 그 옷에 붙인 종이에는 이런 말이 씌어 있었다.
  좋게 될 줄 알고 우리는 헤어졌더니 당신은 왜 나니와포따위에서 갈대를 베며 살아야 해요  
  남자는 옷을 받고 기뻐하면서 종이를 보고, 곧 옛 아내가 쓴 것임을 깨달았다. 자기 신세가 너무 슬프고 또 부끄러워서, 이렇게 대답을 써드렸다.
  당신이 없으니까 잘 되지 못했구나 그것을 알게된 지금 더 이상 나니와포에서 갈대베기 싫어
  남자는 갈대베기를 그만두고 어딘가로 사라졌단다.
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# by nishinayuu | 2006-09-19 13:54 | 再話 | Trackback | Comments(0)

『ボストン、沈黙の街』(ウイリアム・ランディ著、東野さやか訳、早川書房)

c0077412_20383857.jpg知的で上品な都市というイメージのボストンがかかえる暗い部分が浮き彫りにされる。すさまじい死体の描写から始まり、ハードボイルド的な展開になるのかと懸念したが、意外にも情感あふれる雰囲気で話が進んでいく。訳が懇切丁寧でいい。

☆この本は図書館にインターネット予約をして借りました。もし、実際に図書館に出かけて借りる本を物色していたら、きっと借りなかったと思います。カバーに、ピストルを手にしたあまり風体のよくない男の写真がついているからです。もう少し内容に見合ったカバーがついていたら、この本はより多くの読者を獲得できると思うのですが。
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# by nishinayuu | 2006-09-18 11:41 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『 安楽病棟』(帚木蓬生著、新潮社)

c0077412_20393277.jpg読書会「かんあおい」2006年5月の課題図書。4年前に一度読んでいるが、とにかく嫌な内容の本だった、ということしか覚えていなかった。今回読み直してみたら、戦争体験談集としても読め、推理小説としても読める、なかなか読みでのある本だった。

☆4年前の読書ノートを見てみたら「推理小説としては謎解きが易しすぎる。そしてテーマは重過ぎる」という感想が書いてありました。4年前より推理力が落ちているのかもしれない、と自分の脳の状態が心配になりました。
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# by nishinayuu | 2006-09-17 11:28 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

大村彦次郎の文士のいる風景 その8 田岡典夫

☆朝日新聞のコラムを翻訳したものです。原文は韓国語の下にある「原文」というピンクの文字をクリックすると出てきます。

오오무라 히꼬지로오의 문사가 있는 풍경-8 타오카노리오

  제2차 대전 동안에 단편소설[고집이 센 딸기]로 나오키상을 수상한 타오카 노리오는 메이지시대의 저명한 펴론가이던 타오카 료오운을 백부로 가지고 토사-코오치에서는 풍족함으로 알려진 자산가의 아들로 태어났다. 젊었을 때에 파리여행도 하고 귀국한 뒤에는 제6대 키쿠고로오의 배우학교에 다니는 등, 색다르고 엉뚱한 청춘을 보냈다.
  코오치항의 입구에 있는 작은 섬에 지카타비(노동자용 작업화)의 큰 입간판이 생겼을 때, 그것이 우라토만의 풍치를 해치는 갓이 이만저만이 아니라며, 타오카가 솔선해서 철거운동을 벌인 적이 있었다. 그런데 일이 잘 진척되지 않아서, 결국 견딜 수 없게 된 타오카가 그 섬을 통째로 매수하고나서 간판을 철거했다. 있는 사람이어서 그런 일을 할 수 있었다라는 소리도 들렸고, 한편으로는 보통 있는 사람이라면 그런 짓을 하지 않는다는 비웃음을 사기도했다.
  타오카는 원래 토사사람 특유의 반골기질을 가진 사람이었는데, 한편으로는 세상의 명성을 싫어하는 담백하고 유유히 마음내키는 성향을 가지고 있었기 때문에, 문단에서는 키쿠치 칸이나 고향의 선배이던 타나카 코오타로오의 보살핌과 훈도를 받았다. 시바-니혼에노키(두 그루 팽나무)에서 살던 하세가와 신의 집에 다니기 시작한 것은 전쟁이 끝난 지 2,3년 후 부터였다.
  하세가와를 처음 만났을 때 타오카는 “저는 키쿠치선생님과 타나카선생님, 두 분이나 선생님으로 모시고 있기에, 당신을 선생님으로 모시지 않겠습니다” 라는 뻔뻔스러운 인사를 했다. 하세가와는 웃으면서 “그래? 좋아”하고 응했다. 그런데 자주 하세가와를 만나면서 그의 인격에 접하다가 어느새 타오카는 앞서 한 말을 번복하여 하세가와를 ‘선생님’으로 부르게 됐다. 그의 대표작으로는 [곤쿠로오 여행기] 등이 있다. 쇼오와57(1982)년 4월에 아타미에 있던 자기 집에서 사망. 73세 였다.

原文
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# by nishinayuu | 2006-09-15 10:45 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)

『今だから見える』 (金昌完著)

c0077412_1601164.jpg『이제야 보이네 』( 김창완著、황소자리)
「今になって見えてきたこと」を軽妙な筆致で綴った、真摯で温かい随筆集。
著者は1954年生まれ。グループ「山びこ」のリード・ボーカルであり、ラジオ番組「麗しい朝、キム・チャンワンです」を担当する放送タレントであり、映画・ドラマで活躍する俳優でもある。

☆この本にはCDがついていて、著者の歌と、本文朗読が収録されています。穏やかで深みがあり、朗々としたその声を聞いていると癒されます。
映画では「エンジェル・スノー」「愛しのサガジ」「シンソッキ・ブルース」、ドラマでは「新貴公子」などに出ています。私は「新貴公子」しか見ていませんが、声を聞いただけで、「あ、彼だ」と分かる、独特のいい声を響かせながら、フザケタ人物を演じています。
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# by nishinayuu | 2006-09-14 11:03 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『私の正しい韓国語の書き方ノート』

c0077412_15585671.jpg『나의 한국어 바로 쓰기 노트』(남영신著、 까지)
大野晋の『日本語練習帳』の韓国版といったところ。韓国人のために書かれたものだが、韓国語を学ぶ外国人にも大いに参考になる。『国語辞典』の編者でもある著者の、「正しい韓国語」を普及させようという情熱が伝わってくる。
ただし、文学的に優れた表現まで杓子定規に糾弾していると思えるところもあるのが気になる。著者が指摘しているように韓国の一部の作家が悪文を書きまくっているのは確かなようだが。
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# by nishinayuu | 2006-09-13 22:59 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

韓国映画ノート(2006.9.10作成)その2

1行目:タイトル(原題)制作年 監督 2行目:キャスト 3行目:一言メモ
☆キャストの名前の漢字表記はマイリンクの「韓国の著名人」をご覧ください。

ムッチマ・ファミリー 2002 
   パク・サンウォン、パク・クァンヒョン、イ・ヒョンジョン
   チョン・ジェヨン、リュ・ドグァン、キム・イルン、パクソニョン
   「四方に敵」「僕のナイキ」「教会の姉」からなるオムニバス。
純愛中毒(중독 中毒) 2002 パク・ヨンフン
   イ・ビョンホン、イ・ミヨン、オ・イル
   イ・ビョンホンがベテランの二人に助けられて、いちばん得している。
二重スパイ 2002 キム・ヒョンジョン
   ハン・ソッキュ、コ・ソヨン、ソン・ジェホ、チョン・ホジン
   この内容は日本では作れない、韓国映画ならではのもの。
同い年の家庭教師(동갑내기 과외하기) 2002 キム・ギョンヒョン
   キム・ハヌル、クォン・サンウ
   キム・ハヌルも踊れるんだ!
おばあちゃんの家(집으로 家へ) 2002 李廷香
   キム・ウルボン、ユ・スンホ
   文明から見放されたような山村の生活が印象的。黄牛の出没が愉快。
光復節特赦 2002 金想辰
   ソル・ギョング、チャ・スンウン、ソン・ユナ、イ・ヒド
   「チャングム」で悪徳商人だったイ・ヒドが、小心で卑劣な所長役。
シルミド 2003 康祐碩
   ソル・ギョング、アン・ソンギ、ホ・ジュノ
   隠されていた史実を暴いた映画。
春夏秋冬そして春 2003 金基徳
   オ・ヨンス、キム・キドク、キム・ヨンミン、ソ・ジェギョン
   東洋の神秘がいっぱい。映像だけでストーリーが分かる。
スキャンダル 2003 李宰容
   ペ・ヨンジュン、イ・ミスク、チョン・ドヨン
   髪型、衣装、食べ物を見るだけでも価値がある。
TUBE 2003 ペク・ウナク
   キム・ソックン、ペ・ドゥナ、パク・サンミン
   アメリカ映画の焼き直しのような……。
大統領の理髪師(효자동 이발사孝子洞の理髪師) 2004 イム・チャンサン
   ソン・ガンホ、ムン・ソリ、イ・ジェウン
   朴正煕時代の狂気を振り返る作品。
氷雨 2004 キム・ウンスク
   イ・ソンジェ、ソン・スンホン、キム・ハヌル
   役者がぴったり役にはまっていてよい。ストーリーは平凡だが。
マルチュク青春通り 2004 柳河
   クォン・サンウ、イ・ジョンジン、ハン・ガイン
   学校を舞台にした、やたらに暴れ回っている若者たちの話。
空き家 2004 金基徳
   イ・スンヨン、チェヒ
   この監督は国際映画祭の賞の取り方を心得ている。
ラブリー・ライバル(여선생 vs 여제자) 2004 チャン・ギュソン
   ヨム・ジョンア、イ・セヨン、ソ・ジウォン
   「猟奇的」な女教師と、こましゃくれた生徒との対決。
甘い人生 2005 金知雲
   イ・ビョンホン、キム・ヨンチョル、シン・ミナ、チン・グ
   「オール・イン」で少年時代を演じた役者が舎弟役で登場。
王の男 2005 李俊益
   カム・ウソン、イ・ジュンギ、チョン・ジニョン
   旅芸人の心意気と、燕山君の哀れさがよく出ている。
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# by nishinayuu | 2006-09-11 11:05 | 映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)