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『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』(伊藤比呂美著、講談社)

c0077412_8352789.jpg2007年に発表され、第15回萩原朔太郎賞を受賞した作品。
カリフォルニアに家庭を持ちながら、熊本で老いてゆく両親の介護に通う日々を綴った奮闘記である。アメリカ西海岸から成田→羽田→熊本、という気が遠くなりそうな移動の時間と距離、日に日に著者への依存の度合いが増す両親、著者の保護下にあるためたびたび異文化空間に放り込まれて四苦八苦する10歳の娘、青年期の苦悩を抱えている大学生の娘、自分の肉体的衰えが承服できずにいらだつ「外人」の夫、こなさなければならない諸々の仕事とたまっていく疲労などなど、一人では抱えきれないほどの苦難をかかえて綱渡りのように過ごす日々が語られている。
そうした大変な日々を語っているのに、この作品には暗さも湿っぽさもない。音の連想、語句の連想、話題の連想を駆使した独特の語りには、新しい形の講談か落語といった趣があり、状況は深刻なのに思わず吹き出してしまう記述も頻出する。各章には「母に連れられて、岩の坂から巣鴨に向かう事」「渡海して、桃を投げつつよもつひら坂を越える事」など、意味深なタイトルがついており、章末には、「(宮沢賢治、中原中也、古事記、梁塵秘抄などから)声をお借りしました」という文がついている。この「声をお借りしました」が本文のどの部分を指しているのかを「当てる」、という楽しみも提供してくれる。(2010.5.5記)
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by nishinayuu | 2010-07-30 08:35 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

韓国ドラマノート その5(2010.7.31作成)

c0077412_10535696.jpg2008年9月から2010年7月までに見たドラマを五十音順に並べてみました。韓国ドラマノートその4に掲載したドラマも、整理しなおしてここにまとめてあります。
1行目:日本語タイトル(太字は気に入ったもの)、韓国語タイトル、放送局
2行目:キャスト 3行目:一言メモ
☆キャストの名前の漢字表記はマイリンクの「韓国の著名人」をご覧ください。
☆画像は申潤福の作品です。

アイリス 아이리스 KBS2
    イ・ビョンホン、キム・テヒ、チョン・ジュノ、キム・スンウ
    韓国ではヒットしたらしいがこの内容は日本人には合わないのでは?
ありがとうございます 고맙습니다 MBC
    コン・ヒョジン、チャン・ヒョク、ソ・シネ、シン・ソンノク
    『サンドゥ学校に行こう』と同じく、ヒョジンの一途な女性が最高。
イ・サン 이산 MBC
    イ・ソジン、ハン・ジミン、イ・スンジェ、チョ・ヨヌ
    英祖の話。テビママのキム・ヨジンは目つきが異常に怖くて大迫力。
一枝梅(イルチメ) 일지매 SBS
    イ・ジュンギ、パク・シフ、キム・ソンリョン、ハン・ヒョジュ
    資料のないところから魅力的な人々を作り上げた制作陣の腕に拍手。
インスンはきれいだ 인순이는 예쁘다 KBS
    キム・ヒョンジュ、キム・ミンジュン、オム・ヒョソプ
    ヒロインに『ガラスの靴』のけなげな少女の面影がうかがえる。
風の絵師 바람의 화원 SBS
    パク・シニャン、ムン・グニョン、ペ・スビン、ムン・チェウォン
    英祖時代の話。金弘道と申潤福の絵が鑑賞でき、描き方もわかる。
きつねちゃん、なにしてる? 여우야,뭐하니? MBC
    コ・ヒョンジョン、チョン・ジョンミョン、チョ・ヨヌ
    ストーリーは作りすぎの感あり。ヒロインの表情は自然でいい。
外科医ポン・ダルヒ 외과의사 봉달희 SBS
    イ・ヨウォン、キム・ミンジュン、イ・ボムス、オ・ユナ
    米ドラマのERと同様の緊迫感と人間味にあふれる秀作。
恋するハイエナ 하이데나 tvN
    ソ・イヒョン,キム・ミンジョン,シン・ソンノク,ホ・マンソク
    男性陣は生き生きしているが。イヒョンはミスキャストで哀れ。
恋人 연인 SBS
    キム・ジョンウン,イ・ソジン,パク・インファン,チョン・チャン
    内容も役者の表情もワンパターン。「恋人シリーズ」一の駄作。
ごめん、愛してる 미안하다,사랑한다 KBS
    ソ・ジソプ、イム・スジョン、ソ・ジヨン、チョン・ギョンホ
    テンポが悪いしカタルシスもない駄作。子役と母親役はうまい。
12月の熱帯夜 12월의 열대야 MBC
    オム・ジョンファ、シン・ソンウ、キム・ナムジン
    ヒロインが歯がゆい。主題歌「西洋ハコヤナギ」が印象的。
朱蒙 주몽 MBC
    ソン・イルグク,ハン・ヘジン,チョン・グァンニョル,オ・ヨンス
    乏しい資料からよくまあ壮大な物語を作り上げたもの、と感心。
スポット・ライト 스포트라이트 
    ソン・イエジン、チ・ジニ、チング、チョ・ユニ
    チャングムの厳しくて優しいジョンホ様にまた会える。
銭の戦争
    パク・シニャン、パク・ジニ、シン・ドンウク、キム・ジョンファ
    貸金業者やらヤクザやらが繰り広げるどたばた劇。
薯童謡(ソドンヨ) 서동요 SBS
    チョ・ヒョンジェ、イ・ボヨン、リュ・ジン、イ・チャンフン
    敵役リュ・ジンが光るリュ・ジンのためのドラマ。主題歌がいい。
太王四神記 태왕사신기 MBC
    ペ・ヨンジュン、ムン・ソリ、テェ・ミンス
    現実離れしたところと変に現実的なところが調和していない。
チャンファ・ホンリョン 장화/홍련 KBS2
    ユン・ヘヨン,キム・セア,チャン・ヒョンソン,アン・ソニョン
    聖女と悪女の対決。見どころは悪女の悪あがきぶり。
妻が突然18歳 18・29 KBS
    パク・ソニョン、リュ・スヨン、パク・ウネ
    『真実』の敵役パク・ソニョンがコミカルなアラサーを好演。
憎くてももう一度 미워도 다시 한 번 KBS
    チェ・ミョンギル、チョン・インファ、パク・サンウォン、
    強い女たちとしゃきっとしない男たち。これこそ女人天下。
女人天下 여인천하 SBS
    カン・スヨン,チョン・インファ,パク・サンミン,イ・ドクファ
    我が身と家門のために闘う女達と役人達。ひとり冴えない中宗。
花火 불꽃놀이 MBC
    ハン・チェヨン、カンジファン、ユン・サンヒョン、パク・ウネ
    ヒロインは素顔のほうがずっといい。お化粧した顔は化け物。
HIT-女性特別捜査官 히트 MBC
    コ・ヒョンジョン,ハ・ジョンウ,キムジョンミン,イ・ヨンハ
    ヒョンジョンは「春の日」「きつねちゃん」よりこの方が合う。
黄真伊 황진의 KBS
    ハ・ジウォン,チャン・グンソク,キム・ジェウォン,リュ・テジュン
    ハ・ジウォンが芸達者で驚く。主題曲(女声)がすばらしい。
不良カップル 불량커플 SBS
    リュ・スヨン,シンウンギョン,パク・サンミン,チェ・ジョンユン
    ヒロインの言動に一貫性が無く、感情移入できない。
フルハウス 풀하우스 KBS
    ピ、ソン・ヘギョ、ハン・ウンジョン、キム・ソンス
    風景も登場人物の容姿や服装も美しいが、ストーリーがお粗末。
マイ・ガール 마이 걸 SBS
    イ・ダヘ、イ・ドンウク、イ・ジュンギ、パク・シヨン
    ドタバタふうに始まるが、ストーリーも人物も魅力的ではまる。
魔王 마왕 KBS2
    オム・テウン、チュ・ジフン、シン・ミナ、チョ・ジェワン
    『復活』の数段上を行く人間ドラマ、テーマ曲もすばらしい。
魔女ユヒ 마녀 유희 SBS
    ハン・ガイン,チェ・ムリョン,デニス・オ,キム・ジョンフン
    ジャジャン麺店の一家がいい味を出している。
ルル姫 루루공주 SBS
    キム・ジョンウン、チョン・ジュノ、キム・フンス
    必然性がないのに「独島は韓国領土!」という言葉が出てくる。
恋愛時代 연애시대 SBS
    カム・ウソン、ソン・イエジン、オ・ユナ、イ・ジヌク
    憂い顔の美しいヒロインが元夫に「オイ!」と言ったので仰天。
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by nishinayuu | 2010-07-27 10:55 | 映画・ドラマ | Trackback | Comments(2)

『告白』(湊かなえ著、双葉文庫)

c0077412_10202220.jpg2009年に本屋大賞を受賞し、2010年6月には映画も公開されるという話題作。
幼い娘を殺した犯人はこの教室にいる、と担任の教師が生徒たちに告げる第1章に始まり、次々に別の話者が事件のこと、自分のことを語っていき、最後の第6章で再び件の教師が登場して復讐が成就したことを明らかにする――という構成のうまさと衝撃的な内容でぐいぐい読ませる。興味深いのは、登場人物のだれもが、自分を語り出したとたんに外から見えていたのとは異なる姿で立ち現れることで、外面と内面のどちらが本当の姿なのか(あるいはどちらも本当でどちらも偽りという可能性もある)、はっきりつかめないままに話が進んでいく。こんなところからもこの作者がなかなかのウデの持ち主であることが窺われる。
しかし、である。こんなに後味の悪い作品も珍しい。それに、復讐される側の人間にも復讐する側の人間にさえも共感できる人物が一人もいない。忠臣蔵にしてもエドモン・ダンテスにしても、復讐する側に道理があればこそ復讐のあとにはカタルシスがあり、復讐される側も、まあしかたがない、と納得して死んでいくのだ(多分)。この作品の復讐劇はただただ理不尽な、言ってみれば異常心理の引き起こした異常な事件でしかない。巧みでインパクトのある作品であることは確かだけれども、「このミステリーがすごい」ともてはやされ、映画化までされてそれをまた大勢の人が見に行く(だろう)ことには違和感を覚える。(2010.5.1記)
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by nishinayuu | 2010-07-24 10:20 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『ディビザデロ通り』(マイケル・オンダーチェ著、村松潔訳、新潮クレストブックス)

c0077412_1021691.jpgこの物語には複数の主人公がいる。主人公の一人であるアンナは、生まれてすぐに母親を失う。もう一人の主人公であるクレアは、アンナと同じ病院で生まれて同じように母親を失う。アンナの父親は病院からアンナを連れ帰るとき、身寄りのないクレアも一緒に連れ帰る。こうしてふたりは同い年の姉妹として、父親の小さな農場で育つ。父親はそれより前に、使用人に殺された隣人の息子クープ(クーパー)を引き取っている。二人の少女よりすこし年上のこのクーパーが三人目の主人公である。兄と二人の妹のように育った三人だったが、青年期になってその形が突然崩れる。アンナとクープが愛し合うようになったのだ。それを知った父親の怒りの激しさが、二人を引き裂き、二人と農場との繋がりも断ち切ってしまう。
歳月は流れて、クープはギャンブラーとして、クレアはサンフランシスコの公選弁護人の有能なアシスタントとして、アンナは文献学者、歴史学者として立ち現れる。クープとクレアは再会するが、アンナの人生は二人から完全に断ち切られたままで進んでいく。そしてここでラファエルとリュシアン・セグーラという新しい主人公が登場する。一人はアンナの当面の伴侶として、もう一人はアンナの研究対象として。物語の後半はすべてリュシアン・セグーラの、それはそれで波乱に満ちた人生をたどる物語になっていて、その物語にはラファエルは登場するがアンナは登場しないし、もちろんクレアもクープも登場しない。若くして引き裂かれた三人が、長い時を経て劇的な再会を果たす、というドラマチックな展開にはならないのだ。一度引き裂かれた者たちは引き裂かれたままそれぞれの人生を生きていく、ということだろうか。確かにそのほうがリアリティーもあり、説得力もある。
著者はスリランカ生まれのカナダ人。92年に発表し、映画化もされた『English Patient』でブッカー賞、本作でカナダ総督文学賞を受賞している。(2010.4.29記)

☆『English Patient』は映画もよかったし(正確に言えばレイフ・ファインがよかったのですが)原作も面白く読みました。それに比べるとこの作品は、長編というより二つの中編を合わせたような作品で、ちょっと肩すかしを食わされた感じがしないでもありません。読みでのある作品ではありましたが。
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by nishinayuu | 2010-07-21 10:21 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『フィリップス氏の普通の一日』(ジョン・ランチェスター著、高儀進訳、白水社)

c0077412_1242995.jpg50歳の会計士であるフィリップス氏がある一日(1995年7月31日月曜日)にやったこと、見たこと、考えたことを綴った物語である。この日、フィリップス氏はいつものようにロンドン南西の郊外にある家を出ていつもの通勤電車に乗るのだが、なぜか途中で下りてしまう。ここから彼のいつもとは違う一日が始まる。すなわちこの日は、フィリップス氏が普通の一日のふりをして家を出て、普通の一日のふりをして帰宅した、全然普通ではない一日だったのだ。
フィリップス氏は性的妄想が激しいことを除けば、これといった特徴のないごく普通の男性である。そんな彼の目でロンドンを見て回り、生粋のロンドン子だという彼の心の声を聞くことができる仕組みになっていて、実によくできた楽しい作品である。
気に入った記述と気になった記述をいくつかあげてみる。( )内はnishinaの感想。
*フィリップス氏の意見では、これまでに作られた一番セクシーな映画は『若草の祈り』だ。そんなことは言ってはいけないのを知ってはいるが。――(『若草の祈り』のどこが?)
*(ヌード)写真の人物が誰かわかるというのは、ばつの悪いことになる場合もあるだろう。確かあなたをどこかでお見かけしましたよ、ナントカ夫人。いいえとんでもない、間違いに決まっておりますわ、牧師様。――(まずいですね、牧師様。)
*(彼はテムズ川で船に乗ったことはない。アルバート・ホールや下院に行ったこともない。)生粋のロンドン子たる者は、自分の生まれた都会でなにかしたり、なにかを見たりは決してしないものだからである。――(同感。東京っ子も東京見物などしないのです。)
*(浮浪者になったら一日中地下鉄に乗っていて、一日の終わりに)大きな鉄道終着駅に行く――多分、ユーストンやキングズ・クロスではないだろう。やたらにたくさんのスコットランド人、麻薬の売人、売春婦、ぽん引きなどなどがいるからだ。――(一日山手線に乗っていて、さてどの駅で降りるのが安全でしょう?)(2010.4.22記)
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by nishinayuu | 2010-07-17 12:04 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『真鶴』(川上弘美著、文藝春秋)

c0077412_8114545.jpg「歩いていると、ついてくるものがあった。」という文で始まり、語り手はこの「ついてくるもの」とことばを交わしながら自分のことを語っていく。12年前に突然姿を消した夫のこと、「近かった」のに最近は遠くなってきた中学生の娘のこと、夫の失踪後から同居している、夫を好いていなかった母親のこと、そして夫が失踪した2年後に出会って付き合っている男のことを。
「ついてくるもの」に気がついたのは一人で真鶴に行ったときだった。母親とデパートに行ったときにも見かけたそのものが、2日続けてついてきたので、語り手はまた真鶴に行こうと思った。夫と何か関係のある女だ、という気がしたのだった。娘が一緒に行くことになる。母親は「つよい場所はつかれるの」と歌うように言って同行をことわる。「母が近い」と語り手は思う。
夫の失踪という心の傷を抱えて生きてきた語り手に、「ついてくるもの」は何を言おうとしているのか。女三人の穏やかな日常の流れと、その陰にある二人の男たちと「ついてくるもの」という穏やかではないもう一つの流れが、独特のやわらかいことばで綴られていく。静かに深く心に染み入る作品である。(2010.4.15記)
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by nishinayuu | 2010-07-14 08:11 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

映画鑑賞ノート10 (2010.6.31作成)

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1行目:タイトル(原題)制作年・制作国 監督(鑑賞日)2行目:キャスト 3行目:一言メモ


ウエストサイド・ストーリー 1961米 R・ワイズ、J・ロビンス(2006.6)
    ナタリー・ウッド,リチャード・ベイマー,G・チャキリス,リタ・モレノ
    ダンスはやはりすごい。歌はソロも合唱もイマイチだと今回気づいた。
きみがいた夏(Stealing Home)1988米 S・カンプマン、W・アルディス
    (2010.6)
    ジョディー・フォスター,マーク・ハーモン,ウィリアム・マクナマラ
    ジョディーが奔放でかつ繊細な女性の役にぴったりはまっている。
恋愛適齢期(Something’s Gotta Give)2003米 
    ナンシー・メイヤーズ(2010.5.31)
    ダイアン・キートン、ジャック・ニコルソン、キアヌ・リーヴス
    ダイアンとキアヌがカップル、というのはやっぱり無理でしょ。
天然コケッコー 2007日本 山下敦弘(2010.5.24)
    夏帆、岡田将生
    島根県浜田市は女子中学生が自分を「わし」と言うほどの田舎?
最強ロマンス(최강 로만스)2007韓国 キム・ジョンウ
    イ・ドンウク、ヒョン・ヨン
    ヒロインは『猟奇的彼女』のヒロインの妹分かな。ただし幼稚すぎ。
マルタのやさしい刺繍 2006スイス ベティナ・オルベリ(2010.5.11)
    シュテファニー・グラーザー、ハイディ・グレスナー
    すてきなおばあちゃんだけれど、子育ては失敗していない?
海外特派員 1940アメリカ ヒッチコック(2010.5.3)
    ジョエル・マクリー、ラレイン・デイ、ハーバート・マーシャル
     英米側とナチス側のスパイ合戦。緊迫した場面満載。
4分間のピアニスト 2007独 クリス・クラウス(2010.4.27)
    H・ヘルツシュプルング、M・ブライトロイ、S・ピッピッヒ
    すきのない構成と迫力の演奏。評判になっただけのことはある。
My Big Fat Greek Wedding 2002米 ジョエル・ズウィック(2010.4.20)
    ニア・ヴァルダロス,ジョン・コーベット,マイケル・コンスタンティン
    ギリシャ人ってこんなに強烈? それにアメリカ人ってこんなに穏和?
四月の雪(외출)2005韓国 ホ・ジノ(2010.4.17)
    ペ・ヨンジュン、ソン・イェジン
    二人の時間だけ抽出して描いているのはいいが、テンポが遅くて退屈。
復讐は最高(Fun with Dick & Jane)2005米 D・パリゾット(2010.4.14)
    ジム・キャリー、ティア・レオーニ、アレック・ボールドウィン
    どたばたコメディーで、気楽に楽しめる。
朝な夕なに 1957西独 ヴオルフガング・リーベンアイナー(2010.4.7)
    ルート・ロイヴェリック、ハンス・ゼーンカー、C・ヴォルフ
    見た目はおじさんなのに、なんとも純真で素直な高校生たち!
題名のない子守歌 2007イタリア ジュゼッペ・トルナドーレ(2010.4.6)
    クセニア・ラパポルト,ミケーレ・プラチド,クラウディア・ジェリーニ
    感動的な作品。ただし、テーマが重く、二度見る勇気はアリマセヌ。
ブルグ劇場 1936ドイツ ヴィリ・フォルスト(2010.4.6)
    ヴェルナー・クラウス、ホルテンセ・ラキイ、オルガ・チェホーワ
    ブルグ劇場の内部とヴェルナー・クラウスの演技を見るための映画。
Fly, Daddy, Fly 2006韓国 チェ・ジョンテ(2010.4.3)
    イ・ムンシク、イ・ジュンギ
    原作は金城一紀の小説。イ・ムンシクの肉体改造は本物?
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by nishinayuu | 2010-07-11 18:21 | 映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)

『四月の痛み』(フランク・ターナー・フォロン著、金原瑞人・大谷真弓訳、原書房)

c0077412_850049.jpg老人ホームに入って7ヶ月になる86歳の男が、自分自身について、周りの老人たちについて、老いるということについて、死ぬことについて語る。日記の形になっていて、はじめの日付は4月2日、最後の日付は翌年の4月6日である。
25歳で法律事務所に入ったこと、法廷で見かけた女性に恋をして妻にしたこと、30歳のときその妻が死んだこと、その前にはたった一人の妹とも死に別れたこと、父の代からずっと仕えてくれたベイリーさんのこと、故郷の家のこと、家族のこと、初恋の相手ローラ・ベスのこと、検事や弁護士だった頃のこと、老人ホームに来ることになったいきさつなど、随所に差し挟まれたあれこれの思い出話によって語り手の経歴が明らかにされていく。しかし、より多くのことばを使って語られるのは、現在の心境と老人ホームの友人たちとの日々である。突飛なことを思いついては周りの老人たちを巻き込んで実行してしまうウェーバー、反対になかなか心を開かないロビンソン、アルツハイマーの妻のために入所してきた穏やかな人柄のシドニらとの交流が生む刺激的な日々に、思いがけない形で終わりが訪れる。
著者26歳のときの作品だという。未経験の壮年期や老年期の経験や心境に思いをいたし、リアリティーのある作品に仕上げた著者の力量には感じ入るばかりである。(2010.4.12記)
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by nishinayuu | 2010-07-08 08:50 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『月下の恋人』(浅田次郎著、光文社)

c0077412_22192096.jpg読書会「かんあおい」2010年5月の課題図書。10編の短編が収録されている。
『情夜』――妻子に捨てられ、大屋の情けで借家に居続けている村山克平のもとに、見も知らぬ女が大金と共に転がり込む。
『告白』――高校生の梓の銀行通帳に、母と自分を捨てた父から毎月小遣い銭が振り込まれている。でもいつからか梓は気がついている。そのお金を出しているのが、母と再婚した「あいつ」だということを。
『適当なアルバイト』――多摩川べりの遊園地でアルバイトをすることになった僕と保は「お化け屋敷」に配属されたとたん、前任者の老人が池で死んでいたことを知る。『風蕭蕭』――上の作品と同じ「僕」が語り手。僕の隣室に住む昔の書生のような居住まいの志賀さんと、逆隣りに住むふぬけたヤクザものの佐藤カツミとの交友記。
『忘れじの宿』――中国語の翻訳で暮らす杉田。死んだ妻の思いが固まったコリを、「忘れ宿」のマッサージ師にほぐしてもらう。
『黒い森』――竹中(40歳)は10年のドイツ滞在を終えて本社に戻ったとたん、古株の社員・笛木小夜子と恋に落ちる。小夜子のことはなにも知らないまま求婚すると、あちこちで波風が立ち……。
『回転扉』――細い口ひげを生やし、銀細工の犬の頭がついたステッキを手にした紳士とすれ違うたびに、語り手Sの運命が回転する。みなしご→女優→結婚間近の平凡な女→女優という具合に。
『同じ棲』――配電盤のブレーカーが落ちた一瞬の間に、慎也と由紀の家が見ず知らずの老夫婦に占拠されて……。
『あなたに会いたい』――東北新幹線のとある駅に40年ぶりに降り立った内藤(58歳)。車のナビゲーション画面に現れた「あなたに会いたい」というマークにタッチして、指示通りに車を走らせていると、荒れ果てた古いホテルの前に出る。
『月下の恋人』――僕と雅子は三年間の恋を終わりにするために、白いクーペで海辺の宿へ。成り行きで一緒に死のう、ということになり、渚に出て別れのくちづけを交わす。と、足元には脱ぎ捨てられた浴衣があり、沖には小さな頭が二つ浮かんでいる。先刻ふたりが部屋から見たカップルのものらしい。我にかえった二人は、宿の老婆に促されて急いで宿を去る。そのとき、投宿するときに見かけた白いクーペがなくなっていることに気づく。
『冬の旅』――不眠と鬱を抱えた私は列車の旅に出た。上野発の列車が赤羽駅に着いたとき、男女が乗り込んできたが、それは若き日の両親だった。
読書会仲間に評判が良かったのは『告白』、すっきりしないとされたのは『情夜』、『黒い森』『同じ棲』。ただしnishinaとしては、『同じ棲』はすっきり理解できる作品であり、気に入っている。(2010.4.10記)
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by nishinayuu | 2010-07-05 22:19 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『昨日』(アゴタ・クリストフ著、堀茂樹訳、早川書房)

c0077412_8402949.jpg4冊目のアゴタ・クリストフ。前の三冊はクラウスとリュカについて語られた三部作だったが、今回の主人公はトビアスという青年で、双子の片割れではない。ただし、父親のいない家庭で貧しく育ったことと、将来はものを書く人間になろうとしていることは双子と共通する。また、トビアスは「父親を殺して」国外に脱出したという点でも三部作の双子の片割れとよく似ている。つまり、トビアスが異国で送っている生活は、双子の片割れが異国で送ったかもしれない生活のひとつの形を示したものと見ることもできる。
トビアスは今ではサンドールと名のっている。なにかと面倒を見てくれた小学校の教師で、実は血の繋がった父親である男の名前をとったのだ。長い間サンドールはリーナという女性の現れるのを待っていた。ある日サンドールの前に小学校時代の女友達・カロリーナが現れたとき、彼女こそが待ちこがれたリーナだったと気づく。彼女は昔自分の父親が世話をしてやった男の子が父親と同じ名を名乗っていることをおもしろがる。もちろん彼女は自分の父親とサンドールの母親との関係を知らない。サンドールとリーナの距離は急激に接近する。しかしリーナにはエリートである夫がいて、夫の仕事が終わりしだい国に帰ることになっていたのだった。
異国で生きるしかないサンドールの激しい恋とその顛末が、淡々とした筆致で綴られていて、それがかえって詩的な叙情を醸し出している。表紙のコラージュ(高木桜子:画)もうっとりするほど美しく、手元に置いておきたくなる本である(電子書籍の時代に何を言っているんだか)。(2010.4.5記)
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by nishinayuu | 2010-07-01 08:40 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)