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韓国の詩「電話」 馬鍾基

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「電話」  馬鍾基(マチョンギ)



あなたは留守だとわかっているので
電話をかけます。
信号が伝わって行く音

あなたの本棚を
今、小さく揺らしているベルの音
受話器をじっと耳に当て
たくさんのベルの音があなたの部屋を
すっかり満たすまで待ちます。
それで、あなたが外から帰ってきてドアを開けると
私がここから送ったベルの音が全部
あなたに降り注ぎ
あなたの唇のあたりや
胸のあたりをなで回し
ひそやかな「音の眼」で
あなたを夜通し見守ることができるように

また電話をかけます。
信号が伝わって行く音



「전화」     마종기

당신이 없는 것을 알기 때문에
전화를 겁니다.
산호가 가는 소리

당신방의 책장을
지금 잘게 흔들고 있을 전화 종소리
수화기를 오래 귀에 대고
많은 전화 소리가 당신방을
완전히 채울 때까지 기다립니다.
그래서 당신이 외출에서 돌아와 문을 열 때
내가 이 구석에서 보낸 모든 전화 소리가
당신에게 쏟아져서
그 입술 근처나
가슴 근처를 비벼대고
은근한 소리의 눈으로
당신을 밤새 지켜볼 수 있도록

다시 전화를 겁니다.
신호가 가는 소리

☆『내가 만든 꽃다발(私の作った花束)』(金世媛:朗唱詩集)より。
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by nishinayuu | 2009-10-31 23:16 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)

『桜桃』(太宰治著、実業之日本社)

c0077412_13255254.jpg読書会の2009年9月の課題図書が『人間失格』なので、手始めに表題作と『グッド・バイ』の2編を「青空文庫」で読んだ。底本は『桜桃』が実業之日本社(1948年)で、『グッド・バイ』が朝日評論(1948年)だという。
『桜桃』は、長男が4歳になっても口もきけず歩くこともできない夫婦の日常にふと生じた心のずれが、夫の立場から描かれている。寡黙な妻が漏らした一言に妻の本音を感じ取った夫が胸の内でつぶやく次のことばがおもしろい。
「自分の思っていることをはっきり主張できる人はやけ酒なんか飲まない。」
女に酒飲みの少ないのは、この理由からである、などと胸の内で屁理屈をこねながら、悔し紛れ、破れかぶれで夫はやけ酒を飲みに行ってしまうのである。
『グッド・バイ』は色男が女たちと手を切るために利用しようとして、女たちを圧倒する絶世の美人に声をかけるが、それがなんと金の亡者で大食いの女。利用するどころか振り回されそうになっている。これから、というところで話が途切れてしまう未完の小説で、ちょっと残念。(2009.9.7記)

☆「絶世の美人」は若いのに担ぎ屋をして荒稼ぎをしているしたたかな女。そういえば昔々、実家の裏手に(向こうから見ればこちらが裏手だが)住んでいたおばあさんも担ぎ屋をやっていました。小柄でしわだらけなのに、大きくて重そうな荷物を背負って歩くたくましい女性でした。荷物の中身は「闇米」で、我が家も時々お世話になっていました。
なお、画像は文春文庫のものです。
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by nishinayuu | 2009-10-29 13:25 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『The Story of Doctor Dolittle』(Hugh Lofting著、Penguin)

c0077412_1071459.jpgドリトル先生シリーズの最初の巻で、作者が息子のために語って聞かせた話をまとめたもの。
もともとは人間を対象にする医者だったドリトル先生が動物の医者になったいきさつ、妹のサラが出て行ったいきさつ、アフリカへ行くことになったいきさつとそこで起こった出来事、アフリカ脱出後の冒険などが語られる。
ドリトル先生一家の主要メンバーである鸚鵡のポリネシア、犬のジップ、アヒルのダブダブ、豚のガブガブ、猿のチーチーなどはこの巻の冒頭ですでにドリトル先生といっしょに住んでいて、みんな先生のアフリカ行きに同行する。そしてアフリカで世にも珍しい動物Pushme-Pullyouやジョリギンギ国の王子バンポとの出会いがあり、ここでドリトル先生一家が勢揃いすることになる。
作者自筆の挿絵も楽しく、何か読みたいけれど重いものはだめ、という場合に格好の読み物である。(2009.9.6記)

☆この巻も、次の巻『The Voyages of Doctor Dolittle』も、前に読んでからずいぶん経っていたせいで細かいところは覚えていませんでした。それで、今回先に読んだ第二巻目の、バンポの顔が白から黒に急変する場面の意味がよくわからなかったのですが、この巻を読んですっきりました。それにしても今では御法度の差別用語や差別的表現がなんと無邪気に使われていること!時代を感じさせられました。
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by nishinayuu | 2009-10-26 10:07 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『秘密の花園』(三浦しをん著、マガジンハウス)

c0077412_10154471.jpgこのタイトルはいただけない。編集者の命名だそうだが、わざわざ、あるいは安易に、イギリス児童文学の古典と同じタイトルにしなくてもいいだろうに――と文句を言うなら読まなければいいのだが、『月魚』が気に入ったので三浦しをんに再々挑戦してみた。
こちらの主人公は三人の若い女性。横浜にある聖フランチェスカというミッションスクールの二年生たちである。学校のモデルはフェリス?と思わせるネーミングであるが、モデル探しは趣味ではないのでやめておく。
物語は三部に分かれていて、同じクラスの那由多(なゆた)、翠(みどり)、淑子(としこ)がそれぞれの部の語り手となっている。人目を引く美人で成績もよくきっぱりしている那由多、人目は引かないが美人で抜群の頭脳を持ち人と交わることをしない翠、容貌も成績もぱっとしないが発展家の淑子、とそれぞれの外見と性格がくっきりと描き分けられている。家の経済状況も家庭環境も全く違う三人の少女たちの語りを聞いているうちに、少女たちの心の中をのぞき見ているような感じにさせられる、何か怪しい雰囲気のある作品である。少女たちに共感できれば楽しく読めるのだろうが、翠を除いた二人は私の許容範囲を超えている。(2009.9.1記)
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by nishinayuu | 2009-10-22 10:15 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『月魚』(三浦しをん著、角川文庫)

c0077412_10144728.jpgタイトルは「ゲツギョ」と読む。巻末の出版社や出版年の掲載されているページではじめてその読み方がわかった。どうせなら巻頭のページにある「月魚」にルビをつけて欲しかった。登場人物たちの名前には初出のときにちゃんとルビがついているのだから。タイトルに関してもうひとつ、おや、と思ったのは ‘fish on the moon’ という英語のタイトル(あるいはタイトルの英訳?)がついていること。新しい作家の本というのはこんなところも新しい。
さて本文は次のように始まる。
その細い道の前に、オレンジ色の灯りがともった。/古書店『無窮堂』の外灯だ。瀬名垣太一は立ち止まり、煙草に火をつけた。/夕闇が迫っている。道の両側は、都心からの距離を考えれば今どき珍しい、濃縮された闇を貯蔵する雑木林だ。街灯はあるが、それも木々に覆い隠されている。瀬名垣の訪れを予知したかのごとく、『無窮堂』の灯りは薄暗い道を淡い光で照らした。
読者を一気に物語の世界に引き込んでしまう、魅力的な書き出しである。主人公は本田真志喜と瀬名垣太一という二人の青年で、真志喜は「無窮堂」の店主、瀬名垣は店を持たない古本業者である。瀬名垣が「無窮堂」から遠ざかっているのはなぜか。そんな瀬名垣が、なにかいいわけを作っては時たま様子を見にやってくるのはなぜか。そもそも二人の過去に何があったのか――などがおいおい明かされていく。二人がポンコツの軽トラックで繰り出した古本買い出しの旅が物語のハイライトである。(2009.8.30記)

☆この作家は以前『むかしのはなし』を読んだときはピンときませんでしたが、今回、再挑戦してみて正解でした。真志喜と瀬名垣のその後が知りたくなりました。この作家のお父さんである三浦佑之氏の古事記の現代語訳も気に入っています。ただし図書館でときどき立ち読みするだけですが。
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by nishinayuu | 2009-10-19 10:04 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

「次々に増える祝日」 特派員メモ マニラ

☆新聞のコラム(2009.7.22朝日新聞)を韓国語にしました。原文は韓国語の下にあります。

특파원메모 잇달아 늘어나는 축일   마닐라

또 축일이 늘어났다.
금월 7일에 아로요 대통령이 27일 월요일을 축일로 하겠다고 선언했기 때문이다. 필리핀 독자적인 그리스도교회의 창립기념일이라는 것이다. 3월에도 11월 27,28양일을 축일로 한다고 발표했다.
국회가 축일법을 개정하는 일본과는 달리, 필리핀에서는 대통령이 해마다 축일을 지정한다. 더욱이 이 번 일처럼 추가나 변경이 있다. 지난 해에는 년말에 축일의 추가가 잇달아 있어서, 어느 틈엔가 11연휴가 되어 있었다.
직장에 다니는 사람으로서는 본래 축일이 늘어나는 것을 기뻐해야 하는데, 해외에서 근무하는 사람으로서는 그렇게만 할 순 없다. 일본에서는 평일이기 때문에 일을한다. 또한, 일본에서는 축일이지만 여기서 평상업무인 경우에도 역시 일을한다. 그런데 이 나라의 축일에는 필리핀인 스태프에게는 휴가를 주어야 한다. 일을 시키는 경우는 할증임금을 내야 한다. 일을 시키는 쪽에게는 곤란한 이야기다.
그것은 좋다고 하더라도 캘린더나 수첩에 축일을 표기하는 것이 난처하지 않은가? 일본에서는 전에 축일개정안이 폐안이 되어서 인쇄업자가 곤란을 겪었다는 이야기가 있었다. 궁금해서 스태프에게 물어 보았더니, “휴일이 늘어나면 자신이 직접 수첩에 추가하면 되지” 라는 대답이었다.
그렇고말고. 이 나라에 살고 있으면 일본인은 자기자신을 포함해서 성격이 꼼꼼하구나라는 느낌을 자주 가지게 된다.

特派員メモ 「次々に増える祝日」 マニラ
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by nishinayuu | 2009-10-17 10:48 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)

『クオーレ』(E・デ・アミーチス著、和田忠彦訳、新潮文庫)

c0077412_8371717.jpg1886年に出版された児童文学。1861年のイタリア統一による高揚感のただ中にあるトリノを舞台に、小学校3年生の少年エンリーコの一年間がエンリーコの日記という形で綴られている。新しい国イタリアの将来を託す少年たちへの期待を込めた「愛国小説」といったところである。
エンリーコの日記の合間に合間に、「とうさん」「かあさん」「ねえさん」たちからエンリーコに宛てた手紙や、月ごとに担任の先生が生徒たちに読んで聞かせる「今月のお話」が挿入されている。家族の手紙からはこの一家が、知識階級に属するリベラルな両親と素直で賢い姉弟という、模範的で理想的な家族で構成されていることが浮かび上がる。また、「今月の話」にはよく知られた「母を訪ねて三千里」の他、国のために闘う勇敢な愛国少年や、自分の身を顧みずに人のために尽くす健気な少年たちを主人公にした、本文からは独立した物語が収められている。
エンリーコを取り巻く少年たちはそれぞれ独自のエピソードとともに語られており、その姿がくっきりと浮かび上がってくる。大柄で紳士的で誰からも信頼されているガッローネ、成績抜群、容姿端麗で性格も優れているデロッシ、炭屋の息子で猫皮のベレー帽を愛用しているコレッティ、左官屋の息子でうさぎ顔が得意なアントニオ、がんばり屋で本集めが趣味のスタルディ、雑貨屋の息子で商売に長けたガロッフィ、野菜売りの子で片腕が不自由なクロッシ、背中が曲がっているネッリ、鍛冶屋の息子で小さいプレコッシ。エンリーコとデロッシ以外はみんな労働者階級の子どもたちである。他に性格が悪いお坊ちゃんのノービスや少年院送りになるフランティなども登場するが、悪童たちはあくまでも添え物である。(2009.8.29記)

☆気になったこと-その1。家族の手紙の内容が、前後の日記の内容となんの繋がりもなくて唐突な感じのするところが何カ所かあります。
気になったこと-その2。イタリアの各地方を褒めことばとともに列挙している一文の中で、シシリアの都市パレルモにだけ「恐ろしい」という形容詞が――。マフィアの連想?まさかね。もしかしたら「勇猛な」といったような意味でしょうか。
気になったこと-その3。友だちにも先生にも「かわいそうな」という形容詞がやたらに使われていて、不自然な感じがします。場合によって「気の毒な」「痛々しい」「いたましい」「あわれな」「いじらしい」「おいたわしい」など、いくらでも他の言い方があると思われるのに。
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by nishinayuu | 2009-10-15 08:37 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『夜のピクニック』(恩田陸著、新潮社)

c0077412_9442726.jpg数年前のベストセラー小説を遅まきながら読んだ。学校行事としての鍛錬歩行というものにはちょっとついて行けないものを感じたけれども、その苛酷な行事を乗り切って成長した登場人物たちの、健康で爽やかな青春には拍手を送りたい。
北高(東北地方にある進学校という設定)は毎年秋に、全校生徒が参加する鍛錬歩行祭という行事を行う。朝の8時から翌朝の8時まで歩くというこの行事は、夜中に数時間の仮眠を挟んで前半が団体歩行、後半が自由歩行と決められている。前半はクラス事に二列縦隊で歩くのだが、後半は全校生徒が一斉にスタートしてゴールをめざす。ゴール到着の順位を競う生徒は少数派で、大半の生徒にとっては歩き通すことが最大の目標である。体力と気力が限界まで試され、落伍者はバスで回収される、という苛酷な行事なのだ。それでもというか、だからこそというか、生徒たちはそれぞれ期待と決意をもってこの行事に臨む。
甲田貴子はこの行事の間に西脇融に声をかけよう、と決心していた。二人とも母子家庭で育ったが、実は二人の父親は同一人物だった。偶然同じ高校に入学して以来、貴子は常に融の刺すような視線を感じていた。融と普通に接したいと思う貴子と、貴子の存在が気に障ってしかたがない融は、3年生になって同じクラスになっても一度も言葉を交わしていない。融は一日も早く卒業して貴子との忌まわしい因縁から逃れたいと思っている。一方貴子は融とふつうに言葉を交わせるようになりたいと思っている。貴子にとって、夜中に全校生徒が歩くというこの特殊な状況は、融に声をかける絶好の、そしてもしかしたら最初にして最後の機会かもしれないのだった。(2009.8.24記)
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by nishinayuu | 2009-10-12 09:44 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『私事広告欄』(アール・デア・ビガース著、林清俊訳)

c0077412_1340521.jpg1914年7月24日(金曜日)、ジェフリー・ウエストはロンドンのホテルの朝食室で、いつものようにデーリー・メール紙の私事広告欄、俗称「苦悶の欄」を読みながら、ウエイターお勧めのイチゴを食べている。そのとき、朝食室の入り口に鈍い金髪にすみれ色の目をしたアメリカ女性が現れる。ジェフリーは「ヨーロッパに来て六ヶ月経つが、そこで見た最も美しいものが祖国から来た人だとは!」と感嘆する。
彼女はウエイターの勧めを断ってグレープフルーツを注文する。それを見たジェフリーはわざと二皿目のイチゴを注文する。彼女はちらっとジェフリーを見たあと、手にしていたデーリー・メールを広げて私事広告欄を読み出す。
翌日の土曜日、ジェフリーはホテルに行かなかった。女性のほうは私事広告欄に彼からの誘い文を見つける。「イチゴを二皿食べた男性からイチゴよりグレープフルーツを好むお嬢さんへ。またお会いしてお話ししたい」。そして29日(水曜日)の私事広告欄に、ジェフリーが待ちに待っていた女性からの返事が載った。「7日の間、毎日一通ずつ手紙を書くことを許す。その手紙で楽しませてくれたらつきあってもよい」。
こうしてジェフリーは彼女に最初の手紙を書く。アパートのすばらしい中庭のこと、スイスで出合ったイギリス青年のこと、真上の部屋に住むスティーブン・フレイザー大尉のこと、などなど。そして第二の手紙では「驚くべきぞっとする事件」が報告される。大尉がナイフで心臓を刺されて殺されたのだ。
大尉殺害事件は思わぬ方向に展開し、ついにジェフリー自身が拘束されるところまで進んでしまう。そのいきさつは毎日の手紙で事細かく女性に報告される。一方、世間はセルビアの事件に端を発した大戦争の始まりを前にして騒然としている。女性とその父親も、便船のあるうちにアメリカに帰らねばならない。手紙の主の身が危機的状況にある中で、彼女のロンドン滞在の期限は迫る。
第一次境大戦前夜のロンドンを舞台にしたスコットランド・ヤードも巻き込むスパイ事件を、手紙の受取人の女性とともにハラハラドキドキしながら見守る、という趣向のエンターテインメント小説である。(2009.8.21記)

☆『幽霊書店』『火星の記憶』に引き続いて「青空文庫」で読みました。この訳者の訳した作品はこれまでのところ全部アタリです。ただし、『私事広告欄』でははじめホンブルグ帽となっていたのが後のほうではフンボルト帽になっていたり、5番目の手紙が届いたのは8月3日のはずなのに8月1日になっていたり、とちょっと雑な点が気になりました。
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by nishinayuu | 2009-10-08 13:40 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)

『火星の記憶』(レイモンド・F・ジョーンズ著、林清俊訳)

c0077412_23292769.jpg原作初出が1961年のSF。プロジェクト・グーテンベルクの版を底本にして翻訳され、「青空文庫」に収録されている。

メル・ヘイスティングは同じ悪夢をよく見る。彼を追っている捜索隊から逃げている夢である。それに彼は宇宙恐怖症でもある。それなのに妻のアリスは、楽しかった火星旅行にまた行きたいという。「あなたもいっしょに行ったのよ」というが、メルには全く記憶がない。そのアリスが交通事故で死んだとき、検死の結果その身体が人間のものではない、何か異常なものであることが明らかになる。しかし死体の指紋はアリスのものと一致しているし、2年ほど前、妊娠・流産した時に撮ったX線写真にも異常はない。
アリスの遺品を整理していると、火星の光景を背景にアリスが写っている写真がたくさん出てくる。2年ほど前のものだ。しかし、いっしょに行ったとアリスが言っていたメルの写っている写真はない。アリスが行ったということもあり得ないことなのに証拠があるのだ。
事故で死んだのはアリスではなく、どこかで何者かがアリスと入れ替わったのだ、と考えたメルは、それを証明するために火星に行こうと決心する。火星旅行を扱っているコネモーラ宇宙航空会社に申し込みに行ったところ、「お客様は2年前に火星に行っているし休暇旅行は10年に1回に制限しています」と断られてしまう。それでメルは先輩のジェイク・ノートンに頼んで、ジェイクの名前で切符を買ってもらい、火星旅行に出発する。

古典的というか、ありきたりというか、結末が予測できてしまうのが残念ではあるが、それだけに安心して読める。(2009.8.17記)
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by nishinayuu | 2009-10-05 10:01 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)