<   2008年 07月 ( 14 )   > この月の画像一覧

『カラヤンとフルトヴェングラー』(中川右介著、幻冬舎)

c0077412_9495572.jpgベルリン・フィルの長い歴史のなかの1934年から54年までの20年間を、権力闘争のドラマ、世代間闘争のドラマ、陰謀と復讐のドラマとして描き、歴史ドラマ、人間ドラマとして楽しめるように書いた、と著者は言う。確かに、ヒトラー時代の音楽界の姿、その時代にドイツに残ったフルトヴェングラーの人物像などが資料をもとにして綿密に描かれており、非常に興味深く読めた。これまで何となくフルトヴェングラーには、ヒトラー政権のドイツに残りながら政権に抵抗した高潔な人物、もしくは政治に無頓着な芸術至上主義の人物というイメージを抱いていたが、そういうことでもなかったらしい、ということがわかっただけでも大きな収穫だった。それに対して、カラヤンの人物像は今ひとつはっきり伝わってこない。それは、本書の扱っている時代がカラヤンの全盛期とは重なっていないためであろうから、当然といえば当然である。だから本書の主人公はどちらかといえばフルトヴェングラーだと思うのだが、なぜタイトルはカラヤンが先になっているのか、とつまらないことに引っかかっている。さらに言えば、ふたりに劣らない重要人物であるチェリビダッケもタイトルに入れたほうがいいのに、と思ったりしている。
また本書には、ストコフスキー、トスカニーニ、ワルター、メニューヒン、クライスラーなどの懐かしい指揮者や演奏家をはじめ、トーマス・マンなど他の分野の人物もふんだんに登場し、その人たちの人柄をうかがわせるエピソードも出てくるので、人物絵巻としても楽しめる。(2008.5.12記)
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by nishinayuu | 2008-07-31 09:50 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『落葉』(ガルシア・マルケス著、高見英一訳、新潮社)

c0077412_1041066.jpg短編集、とあるが200ページのうちの130ページほどが表題作『落葉(おちば)』で、他には10ページほどのごく短い作品が6編収められている。『百年の孤独』『族長の秋』で知られるマルケスの初期作品集である。
『落葉』の舞台は架空の村(町?)マコンド。ずっと昔にマコンドにやってきて、一時は医者として生計を立てたがやがて人々との交わりを断ったばかりでなく、急病人の治療も拒否して引きこもっていた男が自殺する。男を憎み、恨んでいた人々には、この男が少しずつ朽ち果てていくのを見ながら溜飲を下げるという絶好の機会が訪れたわけだ。しかし、男が現れたときからずっとかかわってきた大佐は、男の葬儀をして墓に埋めようと固く決心していた。一人で事を運ぶには歳を取りすぎている大佐は、娘に同行を命じる。娘は娘でなにか支えがほしくて、幼い息子を連れて行く。こうして老大佐と娘と孫、そして使用人たちは、葬儀を執り行うために死んだ男の家を訪れる。
物語は上記の3人が入れ替わり立ち替わり語り手となり、現在と過去を行ったり来たりしながら進んでいく。自ら孤独を選んだ男、自らの孤独を抱えながらさらに男の孤独にも付き合わされてきた大佐一家の姿とともに、都会から吹き付けてきた「落ち葉の疾風」によって荒れすさんでしまった村・マコンドが浮き彫りにされる。(2008.5.11記)
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by nishinayuu | 2008-07-29 10:41 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『謎のギャラリー 特別室』(北村薫【編】、マガジンハウス)

c0077412_10135441.jpg図書館で見つけたとき、表紙にあった北村薫【編】の【編】の部分を見落としていたので、家に帰って本を開いてみてびっくり。国内外の作家による非日常的な妖しい物語12編を収めた短編集だった。たとえば……
『遊びの時間は終わらない』(都井邦彦)は銀行強盗を想定した警察の訓練で、一人の警察官が想定外の行動に走ったため、あっさりと終わるはずの訓練が大勢の見守る見せ物に発展して収拾がつかなくなる話。
また、『エリナーの肖像』(マージャリー・アラン、井上勇訳)は古典的なミステリー、『ねずみ狩り』(ヘンリー・カットナー、高梨正伸訳)は吐き気を催すほど気味の悪い怪奇小説、『チャイナ・ファンタジー』(南伸坊)は不条理漫画(?)という具合。中には『俄あれ』(里見弴)のようなごく普通の小説もあれば、『歌の作り方』(阪田寛夫)のようなほのぼのしたものもあって、息抜きができる。つまり、ときどき息抜きが欲しくなる、ちょっと息苦しいギャラリーなのだ。(2008.5.9記)

☆いちばん興味深く読んだのは『獅子の爪』。中学1年の国語の教科書に載っていて大好きになったテオフィル・ゴーティエの詩の訳者である内藤濯が訳しているからです。それで、物語の内容より、文体、仮名づかい、用語についつい気を取られてしまったせいか、いくつか引っかかる表現がありました。たとえば「彼女は(中略)赤い服を着た連中のほうへ、見下げ果てた様子をして、額で軽く辞儀をした」は「見下すような態度で」、「いかにも娘らしく、人前を恥ぢる一方で、男の児らしい無遠慮な振る舞いを見せる彼女は」は「男の児のような」でしょうね。
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by nishinayuu | 2008-07-26 10:14 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『天平冥所図会』 (山之口洋著、文藝春秋)

c0077412_94143.jpgトータル・パフォーマー』『われはフランソワ』『オルガニスト』に続いて4冊目の山之口洋。前の3冊はそれぞれまったく雰囲気の違う小説だったが、これもまたがらりと雰囲気が違って、舞台は天平時代の奈良の都。吉備真備、光明皇后、孝謙天皇、藤原仲麻呂、道鏡ら、記録に残る実在の人物と歴史上の出来事を基にしているが、それらの人物に肉付けし、彼らを自在に動かして、歴史上の出来事の「隠れたいきさつ」を解き明かす仕組みになっている。当時の役職名をはじめ時代にふさわしい用語を駆使し、人物や出来事の細かい点まできちんと押さえていて、いつもの事ながら著者の手並みの鮮やかさに圧倒される。史実だと勘違いしないよう心して読まねばならないが、天平の歴史の復習にもなる楽しい物語である。(2008.5.5記)

☆ちょっと気になったことがいくつか。一つは冒頭の「天平十八年、秋八月といっても暦の上だけで、まだ暑苦しい草いきれが立ちこめる……」というくだり。当時も「暦の上だけ」という言葉は通用したのでしょうか。旧暦は実際の季節にほぼ合っていたはずですが。それから「正倉院」の章の2にある「古来より」という表現。正しくは「古来」ですよね。最後にもう一つ。「勢多の大橋」の章の11に出てくる「五月の恋の吹き流しとばかり権勢になびいていた……」という表現。「五月の恋の吹き流し」の意味を取り違えているのでは? 山之口洋らしくないなあ、と思ったので次女に意見を聞いてみたら、「そんな細かいことに引っかかっていないで、物語を楽しみなさいよ」とあきれられました。
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by nishinayuu | 2008-07-24 09:09 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

映画鑑賞ノート3

c0077412_10541665.jpg映画鑑賞ノート3 (2008.3.30作成)
1行目:タイトル(原題)制作年・制作国 監督(鑑賞日)
2行目:キャスト 3行目:一言メモ

画像は「アメリ」

恋する神父(신부수업) 2004韓国 ホ・インム
   クォン・サンウ、ハ・ジウォン、キム・イングォン、キム・インムン
   人気俳優を見せるための、毒にも薬にもならない映画(2008.1)
デュエリスト 2005韓国 イ・ミョンセ
   ハ・ジウォン、カン・ドンウォン、アン・ソンギ、ソン・ヨンチャン
   カン・ドンウォンの妖しい魅力と武闘場面で見せる映画(2008.1)
マルタの鷹 1941米 ジョン・ヒューストン(2008.1)
   ハンフリー・ボガート、メアリー・アスター、グラディス・ジョージ
   「マルタ騎士団の鷹」像を廻る殺人事件をボガートがもたもたと解決。
チャーリーとチョコレート工場 2005米 (2008.1)
   J・デップ、F・ハイモア、H・ボナム・カーター、デヴィット・ケリー
   ローレンス・ダレルの原作による奇想天外なファンタジー
Noel 2004米 チャズ・バルミテリ(2008.1)
   ペネロペ・クルス、S・サランドン、P・ウォーカー、A・アーキン
   大人の女性のためのクリスマス・ファンタジー
マムフォード先生 1999米 ローレンス・カスタン(2008.1)
   ローレン・ディーン、ホープ・ディヴィス、ジェイソン・リー
   カウンセラーになりすましていた男が真の自分に立ちかえるまで。
デランシー・ストリート 1988米 ジョーン・シルヴァー(2008.1)
   エイミー・アーヴィング、P・リーガート、ジェローン・クラッベ
   やや古風なヒューマンドラマ。主役の男が元首相に似ていて笑える。
アメリ 2001仏 ジャン・ピエール・ジュネ(2008.2)
   オードレイ・トトウ、M・カソヴィッツ、リュフュ、S・メルリン、
   空想家で内気なアメリの恋。映像がすばらしく美しい。
熱き愛に時は流れて(When I Fall in Love) 1988米 
   テイラー・ハックフォード(2008.2)
   デニス・クエイド、ジェシカ・ラング、ティモシー・ハットン
   どうみてもダニー(ティモシー・ハットン)のほうがいいのに。
100万回のウインク(Home Fries)1998米 D・パリソット(2008.2)
   ドリュー・バリモア、ルーク・ウィルソン、キャサリン・オハラ
   貧しさと偏見にめげずに明るく生きる女性を描いた軽い娯楽作品。
ストーリー・オブ・ラブ(Story of Us)1999米 R・ライナー(2008.2)
   ブルース・ウィリス、ミシェル・ファイファー、リタ・ウィルソン
   暴れないブルース・ウィリスがいい。長髪は似合っていないけど。
ジャック・フロスト 1998米 トロイ・ミラー(2008.2)
   マイケル・キートン、ケリー・ブレストン、ジョセフ・クロス
   父性愛が生んだ奇跡。でも、もう少しましな顔で現れたほうが……。
Secret Window 2004米 デイヴィッド・コープ(2008.2)
   J・デップ、J・タトゥーロ、マリア・ベロ、ティモシー・ハットン
   作家の妄想が生み出した異常な男が作家を追い詰める。
カサブランカ 1942米 マイケル・カーティス(2008.3)
   ハンフリー・ボガート、イングリット・バーグマン、P・メンリード
   名場面がいっぱいで何度見ても感動できる。
ペイチェック 2003米 ジョン・ウー(2008.3)
   ベン・アフレック、ユマ・サーマン、コルム・フィオール
   原作(P.K.ディック)とは似ても似つかないストーリー展開。
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by nishinayuu | 2008-07-22 09:18 | 映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)

映画鑑賞ノート2

c0077412_10573858.jpg映画鑑賞ノート2 (2008.3.29作成)
1行目:タイトル(原題)制作年・制作国 監督 
2行目:キャスト 3行目:一言メモ(鑑賞日)
画像は「天上草原」


EUREKA 2000日本 青山真治
   役所広司、宮崎あおい、宮崎将、斉藤陽一郎
   全然笑わない宮崎兄弟の存在感がすごい(2007.1)
バンジー・ジャンプする 2001韓国 キム・デスン(2007.1)
   イ・ビョンホン、イ・ウンジュ、イム・ヒョンビン
   輪廻転生によって死んだ恋人が蘇る、という万人の夢を映像化。
日陽はしづかに発酵し……1988露 A・ソクロフ(2007.2)
   アレクセイ・アナニシノフ、エスカンデル・ウマーロフ
   トルクメニスタンを舞台に、まさにタイトル通りの世界が展開する。
小さな中国のお針子 2002仏 ダイ・シーシエ(2007.3)
   ジョウ・シュン,リィウ・イエ,チェン・クン,ツォン・チー・チュン
   インテリ青年の気まぐれから運命を変えられたお針子の話。
The Long Way Home 米 グレン・ジョーダン(2007.3)
   ジャック・レモン、サラ・ボールソン
   同名作品(1981ティモシイ・ハットン主演)があって紛らわしい。
私にも妻がいたらいいのに 2001韓国 パク・フンシク(2007.3)
   ソル・ギョング、チョン・ドヨン、ソ・テファ
   靴を履いてから忘れ物を膝歩きで取りに行くヒロインに共感した!
バベットの晩餐会 1987デンマーク ガブリエル・アクセル(2007.3)
   ステファーヌ・オードラン、ビルギッテ・フェダースピール
   アイザック・ディネーセンの原作の雰囲気を忠実に再現している。
夜になる前に 2000米 ジュリアン・シュナーベル(2007.6)
   ハビエル・バルデム、オリヴィエ・マルティネス、A・ステファ
   ジョニー・デップの名が掲げてあるが、彼はほんのちょい役。
かもめ食堂 2006日本 荻上直子(2007.8)
   小林聡美、もたいまさこ、片桐ハイリ、マルック・ペルトラ、
   ヤルッコ・ニエミ
   『バベットの晩餐会』と同じく、食べ物で人々の心を開くお話。
ラヴェンダーの咲く庭で 2004英 チャールズ・ダンス(2007.10)
   J・デンチ、マギー・スミス、D・ブリュール、N・マケルホーン
   原作はW.J.ロック(1863~1930)の小説。
卑劣な街(英題:A Dirty Carnival)2006韓国 ユ・ハ(2007.10)
   チョ・インソン、チョン・ホジン、ナムグン・ミン、イ・ボヨン
   チョ・インソンは悪役には向かない(すぐ泣くくせに……)。
拍手するとき去れ 2005韓国 チャン・ジン(2007.10)
   チャ・スンウォン、シン・ハギュン、リュ・スンニョン、
   チャン・ヨンナム、キム・ジス
   一泊二日のバラエティー捜査劇。一瞬顔を出すジスが美しい。
エデンの東 1955米 エリア・カザン(2007.10)
   ジュリー・ハリス、G・ディーン、レイモンド・マッセイ
   エリア・カザンはやはり『草原の輝き』がいちばんですね。
ホワイト・バレンタイン 1999韓国 ヤン・ユノ(2007.10)
   チョン・ジヒョン、パク・シニャン
   ノスタルジックな雰囲気で盛り上げるラブ・ストーリー。
ぼくの彼女を紹介します 2004韓国 クァク・ジェヨン(2007.10)
   チョン・ジヒョン、チャン・ヒョク、チャ・テヒョン
   ジヒョンが『猟奇的彼女』と同じイメージで使われている。
天上草原 2002中国 サイフ、マイリース共同監督(2007.10)
   ナーレンホア
   モンゴル人夫婦の許で心を開いていく漢族の少年の物語。
ニコール・キッドマンの恋愛天国(Flirting)1990豪(2007.11)
   ノマ・テーラー、サンディー・ニュートン、・キッドマン
   邦題は主役ではないキッドマンの名前を掲げていてひどい。
ネオンの中へ陽が沈む 1995韓国 イ・ヒョスン(2007.11)
   ムン・ソングン、チェ・シラ
   女性蔑視社会で生き方を模索する女性を描く社会派作品。
ホリデイ 2006米 ナンシー・メイヤーズ(2007.11)
   C・ディアス、K・ウィンスレット、ジュード・ロウ
   アマンダが読むつもりの本の中にカイト・ランナー』がある!
プロヴァンスの贈り物(A Good Year)2006 リドリー・スコット
   (2007.11)
   ラッセル・クロウ、M・コティヤール、アルバード・フィニー
   敏腕証券トレーダーが葡萄園つき邸宅を引き継ぐまで。
ボルベール 2006西 ペドロ・アルモドバル(2007.11)
   ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス
   女性を害する男どもを抹殺してたくましく生きていく女たち。
ダヴィンチ・プロジェクト ポーランド(2007.12)
   (キャスト情報不詳)
   クラクフを舞台に展開する『白貂を抱く貴婦人』泥棒作戦。
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by nishinayuu | 2008-07-19 13:43 | 映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)

映画鑑賞ノート1

c0077412_1104411.jpg映画鑑賞ノート1 (2008.3.22作成)
1行目:タイトル(原題)制作年・制作国 
   監督 (観賞日) 
2行目:キャスト 3行目:一言メモ

画像は「ツバル」

リプリー(The Talented Mr. Ripley)1999米 A・ミンゲラ(2006.9)
   M・ディモン、G・バルトロウ、ジュード・ロウ、K・ブランシェット
   同じ小説をもとにした『太陽がいっぱい』のほうが映像も音楽も数段上
赤い靴を履いた男の子 1985米 スタン・ドラゴティ(2006.9)
   トム・ハンクス、キャリー・フィッシャー、ロリー・シンガー
   あごが細くて「おでこ」のやけに目立つ若いトム・ハンクスに会える。
星降る夜のリストランテ 1998伊 エットレ・スコーラ(2006.10)
   ファニー・アルダン、V・ガスマン、ジャンカルロ・ジャンニーニ
   ローマのレストランを舞台に日常の中の奇跡を描く心温まるドラマ。
ツバル 1999独 ファイト・ヘルマー(2006.10)
   ドニ・ラヴァン、チュルパン・ハマートヴァ、テレンス・ギレスビー
   不条理映画ではなくファンタジー。ハマートヴァの美しさに感動。
π 1997米 ダーレン・アロノフスキー(2006.10)
   ショーン・ガレット、マーク・マーゴリス、ベン・シェンクマン
   数字にとりつかれた男の妄想の世界に巻き込まれて疲れる。
過去のない男 2002フィンランド アキ・カウリスマキ(2006.11)
   マルック・ペルトラ、カティ・オウティネン
   記憶喪失の中年男が手探りで新しい人生に踏み出す姿がいじらしい。
   『カモメ食堂』にも出ていたペルトラがとてもいい味を出している。
パリ・テキサス 1984西独・仏 ヴィム・ヴェンダース(2006.11)
   ハリー・スタントン、N・キンスキー、ディーン・ストックウェル
   「妻子を訪ねて三千里」の旅をする男。ふたりを見つけて息子には
美しい母、妻にはかわいい息子を与え、男はまた旅に出る。
   三人で暮らすという選択肢はないのだ。一つ一つの場面が目に焼き
   付いて忘れられなくなる作品。
サクリファイス 1986瑞・米・仏 タルコフスキー(2006.11)
   エルランド・ヨセフソン、スーザン・フリートウッド、A・エドヴァル
   ストーリーは難解。映像の美しさは抜群。
夏の嵐 1954伊 ルキノ・ヴィスコンティ(2006.11)
   アリダ・バリ、ファリー・グレンジャー、マッシモ・ジロッティ
   不誠実な若者に目がくらんで、誇りも友情も失った女が哀れ。
ルードウィヒ 1972伊・西独・仏 ルキノ・ヴィスコンティ(2006.11)
   ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー、S・マンガーノ
   シュナイダーの声は耳障りだが全体の雰囲気と音楽がすばらしい。
プライドと偏見 2005英 ジョー・ライト(2006.11)
   キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファデン、D・サザーランド
   イギリスで撮影しただけに風景は合格。サザーランドは違うでしょ。
郵便配達は二度ベルを鳴らす 1942 ヴィスコンティ(2006.11)
   マッシモ・ジロッティ、クララ・カラマーイ
   舞台がイタリアで制作時期も古いせいかテーマにふさわしい暗さ。
萌の朱雀 1997日本 河瀬直美(2006.12)
   國村隼、神村泰代、和泉幸子、柴田浩太郎、尾野真千子
   國村隼がでてくるとみんないい映画に見えてくる。
スノー・リバー(The Man From Snowy River)1982豪
   ジョージ・ミラー(2006.12)
   カーク・ダグラス、ジャック・トンプソン、トム・バーリング
   さすがはオーストラリア、馬を駆けさせる場面の迫力がすごい。
オールド・ボーイ 2003韓国 パク・チャヌク(2006.12)
   チェ・ミンシク、ユ・ジテ、カン・ヘジョン、ユン・ジンソ
   すさまじい復讐を受ける卑屈な男をミンシクがあまりにうまく
   演じていて、理不尽だとは思うがミンシクが嫌いになりそう。
アラハン 2004韓国 リュ・スンワン(2006.12)
   リュ・スンボム、ユン・ソイ、アン・ソンギ
   ワイヤー・ワークとCGで人間がびゅんびゅん飛ぶだけの映画。
   アン・ソンギもこんなのに出たらだめでしょ。
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by nishinayuu | 2008-07-17 10:06 | 映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)

『つばき、時跳び』(梶尾真治著、平凡社)

c0077412_947848.jpg「時跳び」、すなわちタイムトラベルもの。「つばき」は椿のあふれ咲く屋敷「百椿庵」に住む江戸時代の女性。現代の「百椿庵」に住む井納惇と「つばき」が時を越えて出会い、恋に落ち、生き別れ、また出会い、という楽しいお話。突然現代に引き寄せられた「つばき」の適応能力があきれるほど高いのに比べ、過去に引き寄せられた井納惇の適応能力はそれほどでもなく、こちらのほうがリアリティがある。まあ、この物語でリアリティを云々しても意味はないが。
ふたりとともに重要な役割を果たすのが、「りょじんさん」こと仰烏帽子(のけぼし)等という人物。初めてこの人物が登場したときは、著者は何でこんな変わった名前をつけたのか、と思ったが、これくらい風変わりな特別な名前でないと、物語の構成上都合が悪いのだ、ということがあとになってわかる。それにしても、作者はどこからこんな名前を見つけてきたのかと思って調べてみたら、熊本県に仰烏帽子という名の山があることがわかった。しかも、山好き、植物好きにはわりあい知られた山らしい。(もしかしたら知らなかったのは私だけ?) 物語の舞台が熊本県だからか、というより著者が熊本出身だからか、と納得した。(2008.4.29記)

☆せっかく調べたので仰烏帽子山を紹介しておきましょう。
仰烏帽子山――熊本県の五木村、山江村、相良村にまたがる山で標高は1302m。名前は山容に由来する。福寿草の自生地として知られる。
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by nishinayuu | 2008-07-15 09:57 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『空飛ぶ木』(ラフィク・シャミ著、池上弘子訳、西村書店)

c0077412_14115896.jpg綺麗でかわいい装丁がぱっと目について、思わず手にとった本。欧米系ではない作者の名前にも惹かれて読んでみた。
14編の短編からなり、サブタイトルには「世にも美しいメルヘンと寓話、そして幻想的な物語」とあるが、メルヘンと言うよりは寓話的なものが多い。動物が主人公のものもいくつかあって、イソップ寓話に近いという印象。それらのなかで、最後の『吸血鬼とニンニクの真実』は作者の実体験をもとにした作品らしく、他の作品とは毛色が違っている。
巻末の著者紹介によると、ラフィク・シャミは1946年にシリアのダマスカスに生まれ、壁新聞の主幹を務めたりしたあとドイツに移住。工場やレストランで働き、大学で科学を学んで79年には博士号を取得した。82年からは作家活動に専念し、シャミッソー賞、ヘルマン・ヘッセ賞など多くの賞を受けている。(2008.4.28記)

☆『夏への扉』『オルガニスト』と、続けて大人向けの凝った構成の作品を読んだあとのせいか、ややもの足りない感じがしました。が、移住者の視点で描かれた『吸血鬼とニンニクの真実』はおもしろく読めました。
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by nishinayuu | 2008-07-12 14:12 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

韓国の詩「花靴の中の海」 イ・ヂョンソン


子どもが落としていった 片いっぽうの花靴に
だれにも知られず 海が隠れているよ
紙舟を浮かべて 漕ぎ出してみようか
白雲を道連れに 舟遊びに出かけようか

雨上がりの草むらに ひっそり隠れている
子どもの花靴の中に 海原があるよ
はだかんぼうで遊んだ 海辺の仲よしたち
草いきれも懐かしい 思いでの中の国

꽃신속의 바다
아기가 잃어버린 꽃신 한짝속에
아무도 모르게 바다가 숨었네
종이배 둥실띄워 노를 저어볼까
하얀구름 벗삼아 뱃놀이 갈까

비가개인 풀밭사이 숨어있는
아가의 꽃신속에 바다가 있네
바닷가 벌거벗은 다정한 친구들
풀냄새 풍겨오는 추억의 나라

☆フォークグループ・ヘパラギ(向日葵)の歌の歌詞を日本語にしてみました。意味を伝えるだけの訳で、メロディーに合わせて歌えるようにはしてありません。この歌のヘパラギによる演奏は、独特のハスキー・ヴォイスに美しい伴奏がついた、うっとりするほどきれいな曲です。
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by nishinayuu | 2008-07-10 11:13 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)