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『ナバロンの要塞』(アリステア・マクリーン著、平井イサク訳、早川書房)

c0077412_11225145.jpgグレゴリー・ペック、アンソニー・クィンなどの出ていた映画「ナバロンの要塞」の原作。
第2次大戦のさなか、トルコ沖の島にはドイツとイタリアの混成軍が守っている難攻不落の要塞ナバロンがあって、近くの島に残された連合軍の兵士たちの脱出を阻んでいた。連合軍が試みた海からの攻撃も、空からの攻撃も多くの犠牲者を出しただけで終わった。そこで最後の手段として選び出されたのが、名のある登山家でゲリラ戦でも実績のあるマロリーを隊長とする5人の決死隊。要塞に侵入して巨砲を破壊する、という使命を帯びてカイロに集結した5人の不眠不休の戦いが始まる。話の始まりが日曜の01:00、終わりが水曜の真夜中で、この短時日の間に、海上での銃撃戦、垂直の崖の登攀、怪我と飢えと寒さとの戦い、敵との遭遇と執拗な追撃、裏切りなど、絶体絶命の危機が息を継ぐ暇もなく繰り広げられる。(2008.3.3記)
☆昔、義父はこの映画を見ていて心臓が破裂しそうになったとか。私も昔「ワイルド・ギース」を見ていて、異常なほど胸がドキドキして死ぬかと思ったことがあります。その点、本なら心臓が危ないと思ったら閉じればいいわけですから安心ですね。
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by nishinayuu | 2008-05-31 11:22 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

「元NHK美粧師 岡野宏さん」

☆新聞広告(2008.1.7)を韓国語に訳しました。原文は韓国語の下にあります。

전NHK미장사 오카노 히로시씨
사람들은 당신의 표정이나 겉모습에 맞춰서 그에 어울리는 대응을 하고 있는 것이다. 40년에 걸친 얼굴만들기의 경험에서 오카노씨는 그렇게 역설한다. 역대 총리대신, 해외의 주요인사, 배우부터 신인탤런트까지 오카노씨가 텔레비전 영상의 세계에서 만들어온 얼굴은 자그마치 10만명, 년간 2500명을 넘는 엄청난 수다.
그리고 그 경험은 오카노씨에게 뛰어난 인간관찰의 힘과 방법론을 가져다주었다.
“사람들은 외견에 대하여 아주 예민한 관찰력을 가지고 있습니다. 눈살을 찌푸리는 모습이나 한 순간의 눈의 움직임에서도 상대방을 알아차리려고 한다. 반대로 말하면, 사람의 내면을 표현 할 수 있는 유일한 것은 얼굴이나 표정, 움직임이나 옷차림등의 외견밖에 없다. 이 사실을 제대로 자각해야한다는 거죠”
오카노씨는 위대한 지휘자 고-카라얀에 관한 흥미로운 이야기를 말해주었다.
“제가 담당하게 된 그 날, 차에서 내린 사람은 지칠대로 지치고 생기가 없는 초라한 노인이었습니다. 이게 저 유명한 카라얀이냐고 눈을 의심했는데, 메이크업을 하고, 머리를 세트하고, 지휘를 할 때 우아하게 흐트러지게 하기 위하여 머리칼을 몇번이나 빗고나서 옷을 입을 때에는, 눈동자나 몸에서 기운이 넘쳐흘러온다. 그 분은 카라얀이 되는 의식을 지내서야 사람들이 원하는 카라얀이 된다고 감탄했습니다.”
힘을 쥐어짜내며 상황이 요구하고 있는 사람으로 완전히 변모함. 그것은 일반인인 우리에게도 큰 교훈이 된다고 한다.
“제삼자의 눈으로 자기를 보아야 합니다. 이 자리에서, 이 상황에서 나는 어떤 역할을 완수해야 하는지. 그것을 확인하고, 자기자신의 이상상으로 다가가는 일. 그 예민한 판단과 노력이 당신자신을 바깥으로 전달하는 거라고 생각합니다.”
웃음 띤 온화한 얼굴에서 나오는 말은 명쾌하다.
정치인, 배우, 비즈니스인을 가리지 않고 지금 이 자리에서 ‘주목을 받는 입장’ 에 있는 사람의 불안이나 주장을 줄곧 받쳐온 사람임에 틀림없다. 응석을 버리고 자기자신을 객관시함. 그 확실한 방향성으로 눈이 뜨여지는 것처럼 느꼈다. (田中 美絵)

「元NHK美粧師 岡野宏さん」
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by nishinayuu | 2008-05-29 17:50 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)

『こころげそう』(畠中惠著、光文社)

c0077412_858763.jpg読書会「かんあおい」2008年4月の課題図書。
副題に「男女九人 お江戸の恋ものがたり」とある。幼なじみの男四人、女五人の若者たちが繰り広げる物語で、恋もあれば失恋もあり、お約束のように幽霊も登場すれば、水死体も次々に浮かぶ。若者たちはみんな一途でまじめ、若者たちを見守る大人たちもしっかりした頼もしい人たちで、悪者は彼らとは別の人たち、という具合で、安心して読める。ただし、若者たちが不器用なためか恋がなかなか進展せず、同じように水死事件もいっこうに解決される気配が見えず、物語の展開があきれるほどのろい。江戸ものが好きな読者ならいろいろ細かいところを楽しむことができるのかもしれないが、江戸ものが苦手な私はちょっとマイリマシタ。男女九人を描いたカバーの装画はなかなか面白い。(2008.2.25記)
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by nishinayuu | 2008-05-27 08:58 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『第二ヴァイオリン』(メアリー・ウェスリー著、三浦彊子訳、文藝春秋社)

カバーに著者の横顔の写真が載っている、というちょっと変わった本である。写真で見るとおり、著者はかなり年配の女性(1912年の生まれ)で、最初の小説が発表されたのが1983年、70歳のときだったという。
『第二ヴァイオリン』は1988年に発行された著者の6番目の作品で、訳者後書きには「典型的なイギリスの田舎町とロンドンを舞台に、グリーンの服の似合う女、ローラの姿がさわやかに浮かび上がる」とあるように、ローラという45歳の女性を主人公とした物語である。ただし、場面がめまぐるしく変わり、そのたびに主人公が変化する、というか視点がくるくる変わって誰が主人公かわからなくなってくる。また、ローラとかかわる男たちが、重要な役割を与えられて活躍するかと見えて、あっけなく消えていってしまうので、ちょっと肩すかしを食わされたような感じがする。冒頭にかっこよく登場するルーマニア人の指揮者・作曲家のクラッグも、ときどき意味ありげな登場のしかたをするマーティンも、かなり長く重要な位置を占めていたクロードさえも、ローラとのつながりは一時的なもので終わるのだ。しかし、それこそがローラの選んだ生き方だったのであり、やはりこの作品はローラを主人公としたローラの物語である、ということが最後の最後にはっきりする。(2008.2.23記)
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by nishinayuu | 2008-05-24 10:55 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

「病める薔薇」 ウイリアム・ブレイク


英国の詩人ウイリアム・ブレイクの詩を韓国語に訳しました。各行の音数を10にそろえ、行末の母音を2行ずつそろえてみました。

앓는 장미 위리엄 블레이크
오 장미, 그대는 앓고 있네!
저 눈에 보이지 않는 벌레,
울부짖는 거센 밤바람과
함께 날아다니는 벌레가,

그대가 붉은 기쁨을 안고
누워 있는 침대를 찾았고,
그의 숨겨진 검은 사랑이
그대의 목숨을 빼았으리.

The Sick Rose William Blake
O Rose, thou art sick!
The invisible worm 
That flies in the night, 
In the howling storm 

Has found out thy bed 
Of crimson joy: 
And his dark secret love 
Does the life destroy.

ああバラよ、おまえは病んでいる。
真夜中に
ほえたける嵐をついて飛ぶ
見えない虫が

おまえの深紅の喜びの
臥床をみつけた。
そして暗い秘められた愛が
おまえの生命を滅ぼす。
『A Poem For You』(朝日新聞社)より
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by nishinayuu | 2008-05-22 09:00 | 翻訳 | Trackback | Comments(0)

『西の魔女が死んだ』(梨木香歩著、楡出版)

c0077412_10132927.jpg読書会「かんあおい」2008年3月の課題図書。
魔女が登場するファンタジーかと思わせるタイトルだが、「魔女」というのは主人公である‘まい’の母方の祖母のこと。日本人と結婚して日本に定住したイギリス人で、相手の日本人、すなわち‘まい’の祖父が死んだあと、田舎でひとり暮らしをしている。中学に入った直後にいわゆる登校拒否状態になってしまった‘まい’は、しばらくこの祖母と一緒に過ごすことになる。祖母は何でも手作りする昔ながらの生活を守っている人で、身の回りの動植物にも、人間にも優しい目を注いでいる。優しく、同時に厳しく自然と向き合って暮らしている、‘すごい人’なのである。この祖母との暮らしの中で、‘まい’はいろいろなことを学び、立ち直っていくのであるが、さて、なぜ「魔女」なのか。これは‘まい’の母が自分の母親につけた名前なのだが、母にとって祖母はいかなる存在だったのかがかいま見える命名である。この物語はあくまでも‘まい’と祖母の物語なので、母については詳しく語られていないが、この母も一筋縄ではいかない感じの人で、興味をそそられる。
『家守綺譚』で植物に詳しいところを披露した作者だけあって、初期のこの作品にもいろいろな植物を登場させている。サンドイッチにはキンレンカ(ナスタチウム)が挟んであるし、穴に落ちれば銀龍草がみつかり、台所のドアの所にはキュウリ草が生えている、という具合。この作者の魅力の一端はこんなところにもある。(2008.2.18記)
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by nishinayuu | 2008-05-20 10:13 | 読書ノート | Trackback | Comments(3)

『月の砂漠をさばさばと』(北村薫著、絵:おーなり由子、新潮社)

c0077412_950483.jpgさきちゃんという小学校低学年の女の子と、そのお母さんの話。仲良しの友だちのように過ごしているふたりの日常が、柔らかい口調で語られている。おーなり由子のほんわかした挿絵の雰囲気からしても、児童書に分類されても良さそうなのに、図書館の大人向けの書棚にあった(もしかしたら児童書の棚にもあるのかもしれない)。読んでいくと、話は確かにさきちゃんの視点で描かれているが、お母さんの姿、お母さんの気持ちがより鮮明に伝わってくる。さきちゃんのお母さんは、どういういきさつかわからないが、物書きをしながら小さな娘をひとりで育てているおおらかですてきな女性であり、いつも明るく楽しく振る舞うことを心がけていて、それが自然に身についている、そのせいかなんとなく健気な感じのする若い女性なのだ。北村薫という作家は男か女か、という疑問が囁かれていた頃にこの本を読んだら、間違いなく北村薫は女性だ、と思っただろう。それくらいこのお母さんはよく書けている。この母娘の暮らしの続編が読んでみたい。(2008.2.17記)
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by nishinayuu | 2008-05-15 09:50 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

「大江匡衡の妻赤染、和歌を読みし語」 『今昔物語』巻二十四第五十一

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☆『今昔物語』の再話とその韓国語訳です。



大江匡衡(オオエノマサヒラ)の妻赤染(アカゾメ)、和歌を読みし語

今は昔、大江匡衡と妻、赤染には息子、擧周(タカチカ)がいた。擧周は大人になると優れた文章家になって、朝廷に仕えるようになった。任地の和泉の国に下るとき、母親の赤染も同行したが、擧周は思いがけず病気になって、長い間伏せっていた。息子の病が次第に重くなったので、嘆き悲しんだ赤染は、なすすべもないままに住吉(スミノエ)明神(ミョウジン)に玉串を奉って擧周の病気平癒を祈ったのだが、その玉串に和歌を書き付けて奉った。

かはらむと思ふ命は惜しからでさても別れむほどぞ悲しき(この命に変わろうと思う私の命は惜しくはないけれど、この子と別れなければならないのがたまらなく悲しい)

その夜、ついに病は平癒した。
また、擧周がある官職を望んだとき、赤染は鷹司殿(タカツカサドノ)(藤原道長の妻、倫子)のもとに次のように詠んだ歌を送った。

思へ君かしらの雪をうち払ひ消えぬさきにと急ぐ心を
(我が白髪に降りかかる雪を打ち払って、それが消えないうちになんとかわが子が官職を得るように、と思う気持ちをどうかくみ取ってください)

この歌を見た藤原道長が、たいそう哀れに思って、擧周を和泉守にしてくださったと言い伝えられている。


오오에노마사히라의 아내 아카조메, 와카를 지은 이야기

옛날 옛날에, 오오에노마사히라와 아내 아카조메에게는 아들 타카치카가 있었다. 타카치카는 성장하여 문장에 뛰어난 사람이 돼서 조정에서 일하게 되었다. 근무지인 이즈미-지방으로 내려갈 때, 모친 아카조메를 데리고 갔는데, 타카치카는 뜻밖에도 병이 났고, 오래도록 앓았다. 아들의 병이 좀 좀 심해졌기 때문에, 한탄하며 슬퍼한 아카조메는 하는 수 없이 수미노에-명신에 비쭈기나무를 올리면서 타카치카의 병이 나을 것을 기원했는데, 그 비쭈기나무에 와카를 적어 바쳤어.

대신하여 기꺼이 죽을 수 있는 내 목숨이지만 아들과의 헤어짐이 얼마나 슬프리라

그 밤, 마침내 아들의 병은 평유됐단다.
또 타카치카가 어떤 벼슬을 원했을 때, 아카조메는 타카츠카사-전(후지와라미치나가의 아내, 린시)에게 이렇게 지은 와카를 보냈다.

흰머리에서 털어 버린 눈이 사라지기 전에 아들의 출세를 볼 수 있는지 궁금하네

그 와카를 본 후지와라미치나가가 참 애처롭다고 생각해서, 타카치카를 이즈미-지방의 장관으로 임명해주셨다고 전해지고 있다.
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by nishinayuu | 2008-05-13 10:50 | 再話 | Trackback | Comments(0)

『灯台』(P.D.ジェイムズ著、青木久恵訳、早川書房)

c0077412_10241879.jpg著者ジェイムズ85歳のときの作品。2005年の刊行で、日本語版は2007年6月にハヤカワ・ポケット・ミステリの1800番突破記念作品として発行されている。定価が1800円なのは偶然か、意図的か。
舞台はイングランドの南西端コーンウォールの沖合に浮かぶ架空の島、カム島。かつてはある一族が所有していたが、現在は信託理事会が管理する高級保養所となっている。滞在できるのは理事と常連客、および滞在経験者の紹介のあった者のみで、ふりの客は受け入れない。そんなカム島で10月末のある日、変死者が出る。普通なら地元警察が担当する捜査に、ダルグリッシュ警視長とケイト・ミスキン警部、ベントン・スミス部長刑事の三人が乗り出すことになったのは、この島で近々極秘の国際会議が開かれることになっていたからだ。変死したのは著名な作家。島にいたのはこの作家を含めて5人の滞在客と、理事会の事務長をはじめとするスタッフ9人、それとかつての所有者一族の最後のひとりとその執事。捜査開始後、変死は殺人事件と判明するが、閉ざされた空間に限られた人数という状況にもかかわらず、犯人捜しは難航し、そうこうするうちに第2の殺人事件が起こる。
著者は例によって登場人物ひとりひとりについて細かい情報を読者に提供する。これまでの作品ではそれがちょっと煩わしく感じられなくもなかったが、この作品では物語の奥行きを深めるのに役立っている。また、この作品では事件解決につながる伏線がきちんと織り込まれているので、ごく普通のミステリーとして楽しめる。(2008.2.12記)

☆話の途中からダルグリッシュがSARZに罹って重体になります。高齢の著者が筆を擱く覚悟を決めて、大事にしてきたダルグリッシュを葬ることにしたのか、とハラハラ(心配)ワクワク(ちょっと期待?)してしまいました。
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by nishinayuu | 2008-05-10 10:24 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『夫婦幽霊 円朝芝居噺』(辻原登著、講談社)

c0077412_10142186.jpg周到に設計図を描き、細部をこつこつと組み立てて、絢爛たる幻の楼閣をうち建てた、とでもいおうか。凝りに凝った、企みに満ちた物語である。
まず、明治期に活躍した噺家・円朝が紹介され、彼の作品が速記の形で残されたことによって、多くの作家たちにも影響を与えたことなどが語られる。続いて、著者がその円朝の今まで知られていなかった作品の速記原稿を入手したいきさつ、現在はほとんど使う人のいない田鎖式速記を解読できる人を探しまわって、作品の翻訳にこぎ着けたいきさつ、などが明らかにされる。ここまでが導入部で、このあと著者が‘訳した’円朝の遺作である『夫婦幽霊』が5回にわけて語られ、各回の最後には「訳注」までついていて、いかにも翻訳本らしい体裁になっている。そして最後に「訳者後記」があり、ここで‘訳者’である著者は、『夫婦幽霊』という作品のほんとうの作者は別にいるのではないか、という大胆な推理を展開するのである。
『夫婦幽霊』という噺そのものも楽しめ、全体の謎解きも楽しめる、という趣向の作品であるが、謎解きに関わりのある「訳者後記」の部分が説明の羅列といった感じでもり上がりに欠け、感動するところまではいかないのが残念。(2008.2.10記)
☆もしかして「田鎖式速記」というのも著者の創作?と気になって調べてみたら、これはほんとうにありました。他にもいくつか確認したものがありますが、無知をさらすことになるので書かないでおきます。
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by nishinayuu | 2008-05-08 10:14 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)