「ほっ」と。キャンペーン

<   2007年 08月 ( 15 )   > この月の画像一覧

『林住期』(五木寛之著、幻冬舎)

c0077412_10331146.jpg読書会「かんあおい」2007年7月の課題図書。
週刊誌などに掲載されたものをまとめた本。「林住期」ということばの由来を述べた冒頭の部分だけは書き下ろしということだが、繰り返しが多くて読みにくい。ここはとばして、次の章から読んでも「林住期」の意味はわかる。要するに、自分を育てる「学生期」と、子供を育て、家族のために働く「家住期」のあとにくる、自分の興味によって生きる時期を「林住期」と呼ぼう、ということなのだ。呼び方はともかく、ほぼ50歳~75歳の人たちや、その手前の人たちに、こんな生き方はいかが、とひとつの指針を示そうという親切な本である。しかし、「林住期」について述べた部分よりも、口呼吸の害について述べた「息は鼻から、食物は口から」や、「韓国からインドへの長い旅」など、「林住期」とは直接関係のない部分の方がむしろおもしろく読める。(2007.6.24記)

☆瀬戸内寂聴が「世の中にはインドに呼ばれるタイプと呼ばれないタイプの2種類の人間がいる」というのを聞いて、一度しかインドに行っていなかった五木は、自分は呼ばれないタイプの人間だと思っていたのだそうです。2005年に再びインドに行ったあとでは、もちろん「呼ばれるタイプだった!」と思ったわけですよね。と、ここまではいいのですが、じゃあ、一度も行っていない私のような人間は「世の中の人間」の範疇にも入らないということ?
[PR]
by nishinayuu | 2007-08-30 10:26 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『いいなづけ 中』(A.マンゾーニ著、平川祐弘訳、河出書房)

c0077412_1141946.jpgミラーノに入ったレンツォが、パンを求める民衆暴動に巻き込まれるところで上巻は終わっていた。さて、そのレンツォは……
暴動に共感したレンツォは参加者に向かって演説をぶったことから、警察に追われる身となり、人目に脅えながら隣国(ヴェネチア共和国領)のベルガモへと逃亡する。そして前々からいっしょに働こうと誘ってくれていた従兄弟のもとで働くことになる。しかしお尋ね者となったレンツォは、故郷にもルチーアにも連絡をとることができない。一方ルチーアは、領主ロドリーゴの悪巧みによって修道院から連れ出され、ロドリーゴの親分格で、だれもが恐れる大悪党インノミナートの城に幽閉されてしまう。ここで、世間をあっと驚かせる出来事が起こって、ロドリーゴの計画は失敗に終わり、ルチーアは解放されるのであるが、ルチーアは幽閉されていた間に大変な「願」をかけていた。(2007.6.24記)

☆物語の主人公はレンツォとルチーアですが、このふたりに劣らず、あるいはこのふたり以上に重要な人物が何人もいて、それぞれの人物像、経歴が詳しく語られているのも、この物語の魅力のひとつです。上巻ではふたりのよき理解者であったクリストーフォロ神父と、ルチーアをかくまった修道院の実力者ジェルトルーデ、この中巻ではインノミナート(名前が明かされていない男の意)と呼ばれる大悪党と、神の意を体現した枢機卿ボルロメーオに、それぞれ章が割かれています。
[PR]
by nishinayuu | 2007-08-28 14:18 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

「伊勢の御息所、幼(ワカ)き時和歌を読みし語」

c0077412_13541058.jpg
☆ 『今昔物語』巻第二十四第四十七の再話と韓国語訳です。




今は昔、伊勢の御息所が宇多天皇の后に仕えていた頃、後の枇杷の左大臣で、当時まだ若かった藤原仲平少将が人目を忍んで通っていた。人目を忍んでも、なんとなくみんな気づいていたのだよ。ところがその後、少将が通ってこなくなって、音沙汰もなくなった。伊勢は次のような和歌を詠んで少将のもとに送った。

人しれず絶えなましかばわびつつもなき名ぞとだにいはましものを
(人に知られないまま二人の仲が絶えたのなら、悲しみに嘆きながらも、何もなかったと言うこともできるでしょうに――二人の関係が知れ渡っているので、そういう言い訳もできないのです)

これを見て心を動かされた少将は、今度は二人の間柄を公にして、仲むつまじく暮らしたということだ。


이세-궁녀가 젊었을 때 와카를 지은 이야기

옛날 옛날에, 이세-궁녀가 우다-천황의 배우자인 시치조오-비를 섬기고 있던 시절에, 젊은이던 후지와라나카히라-소장 (훗날의 비와-좌대신 注) 이 남의 눈을 피해가며 이세를 찾아 다니고 있었어. 남몰래 다니려고 애를 썼지만, 저절로 사람들이 그 일을 알아차렸지. 그러나, 얼마 안 있어 소장이 찾아오는 일이 두절되고, 연락도 없어졌 거든. 이세는 이렇게 와카를 지어, 소장한테 보냈단다.

우리 사이를 알아챈 사람이 없었더라면 슬프면서도 모르는체 지낼 수도 있을 텐데

이 와카를 보고 감동했지, 소장은 이번에는 서슴지 않고 두 사람의 관계를 공개해서 이세와 화목하게 살았다고 한다.

注: 좌대신---중앙관청 장관
[PR]
by nishinayuu | 2007-08-26 11:27 | 再話 | Trackback | Comments(0)

『デルフィニア戦記9 動乱の序章』(茅田砂胡著、中央公論社)

c0077412_10245328.jpgデルフィニア王ウォルに恋人を、あわよくば愛妾を持たせようと画策するリイ。ところで作者はあとがきで、「私は絶っ対(ぜーったい、と読むのでしょうね?―nishina)恋愛ものには向いていない」といっているが、むしろ、ウォルとポーラのエピソードを挿入した時点で、作者にはこのロマンスを首尾よく終わらせるつもりはなかったに違いない。作者はデルフィニア1~8まででウォルをそういう人物として描いてきたのであり、読者もそういうウォルに親しんできたのである。したがって当然、リイの画策は読者の予想通り失敗に終わる(ネタバレです)。そもそも巻頭の登場人物紹介のページにポーラの名前が出ていないので、敏感な読者にはこの人物が重要人物にはなれないことがわかってしまう。一方、初登場の時から人物紹介のページに名前があげられていたシエラは、この巻でも大いに存在感を示している。人格のできあがっている人物たちが活躍する大筋の物語と並行して、少しずつ変化していくシエラの「成長物語」が綴られていっている(2007.1.24記)。
[PR]
by nishinayuu | 2007-08-24 10:24 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『デルフィニア戦記8 風塵の群雄』(茅田砂胡著、中央公論社)

c0077412_1332066.jpg「今回は王と王妃のまわりの人々に焦点を当ててみました」と作者が言うように、この巻ではバルロやナシアスの人間的な面が語られる。ベルミンスター侯爵家当主ロザモンド、ナシアスの妹で下級貴族の妻アランナなどの女性たちが新しく登場するが、ロザモンドは男装の麗人であり、子持ちという設定のアランナさえ立ち居振る舞いがあどけない少女のよう、ということになっており、日常的な色合い、家庭を連想させるような事物は徹底的に排除されている。この巻で初めて、リイの属していた「世界」と、そこの「住人」がほんの一瞬姿を現す。今後この「世界」の物語がどんどん大きくなっていきそうな予感が……。(2007.1.22記)
[PR]
by nishinayuu | 2007-08-22 13:32 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『デルフィニア戦記7 コーラルの嵐』(茅田砂胡著、中央公論社)

c0077412_1317149.jpgこの巻ではなんと国王ウォルの昔の恋人が登場し、ウォルに向かって「愛妾にしてほしい」と言い出す。また、王女リイにはあちこちから縁談が舞い込む。特に隣の強国タンガから皇太子妃にという強引な要請が来るにいたって、これを封じる唯一の方策としてウォルとリイは結婚することになる。リイの花嫁修業というおふざけ場面がある一方で、タンガとの戦闘場面、リイがウォルに己の本性を見せつける場面など、ハードボイルドタッチのエピソードもふんだんにある。(2007.1.20記)
[PR]
by nishinayuu | 2007-08-20 13:17 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『デルフィニア戦記6 獅子の胎動』(茅田砂胡著、中央公論社)

c0077412_6292737.jpgサヴォア一族の中でも強大な力を持ち、当主のバルロと対立しているマクダネルは、国王打倒を画策している。このマクダネルを誅殺すると同時に、ウォルが王座にあることに不満を抱いている不穏分子をおさえるためにウォルトバルロが考え出した妙案とは――。切迫した状況の中で、ウォル・リイ・バルロの間の信頼関係と、バルロ・ナシアスの友情がいっそう強まっていくさまが語られる。リイ付きの女官シエラの命を狙うものが登場し、シエラが少しずつ‘自分’を知っていくところも読みどころのひとつ。(2007.1.18記)
[PR]
by nishinayuu | 2007-08-18 06:28 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『デルフィニア戦記5 異境の煌姫』(茅田砂胡著、中央公論社)

c0077412_13574561.jpg巻4でウォルがデルフィニアの王座に座り、リイがウォルの養女という形で王女になっており、デルフィニア奪回の物語には一応の決着がついている。では、巻5ではなにが語られるのか、と思って読み始めてみると、王権を狙う不穏分子が現れる、というこれまた予想通りの展開。そして美少女に化けた怪しい少年がリイの命を狙うが、この少年は後々こうなるだろうという私の(そして多くの読み手の)予想がおそらく当たっているだろうことが、魔法街のおばばの言葉からうかがえる。お約束通りの展開で、この作者は読者の期待をよく心得ている、と思った。(2006.12.29記)
[PR]
by nishinayuu | 2007-08-16 14:00 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『デルフィニア戦記4 空漠の玉座』(茅田砂胡著、中央公論社)

c0077412_13474399.jpgこの巻ではウォルたちがコーラルを奪回するまでのスリルと感動の物語が展開される。一度は、王冠を戴く資格なし、とされたウォルであるが、養父フェルナン伯爵を死に追いやったベールゼン侯爵を討ち、改革派政治を終わらせるため、コーラル城奪回という所期の目標に向かって邁進する。そしてこれまでウォルに従い、ウォルを守護してきたリイ、タウの自由民、ドラ将軍、ラモナ騎士団の面々は、いよいよ結束を固めてウォルトともに進撃する。一方コーラル城内では女官長に「真実」を語らせてウォルを追い詰める計画が着々と進められている。さて、女官長の語った真実とは――。

☆女官長の語る「真実」の内容は読者には予測可能です。そうした読者の予想を裏切らないように話をもっていくのがエンターテイメントの正しい書き方だと思います(!?) 主人公たちの運命がよい方に開けていくとわかっているからこそ、ハラハラドキドキの場面を楽しむことができるのです。(2006.12.26記)
[PR]
by nishinayuu | 2007-08-14 13:47 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『デルフィニア戦記3 白亜宮の陰影』(茅田砂胡著、中央公論社)

c0077412_13523089.jpg改革政府派の中心人物ベールゼン侯爵は、(ウォルの)養父フェルナン伯爵の命が惜しいなら軍を解散し、王冠を求めるな、とウォルに通報する。これに対してウォルの側は、「伯爵の命も守り、軍の解散もしない」と決意する。すなわち、コーラル城の奥深く、堅牢無比の地下牢に捕らわれている伯爵を救出する、という作戦に出る。救出役として名乗り出たのはリイと、ドラ将軍の娘シャーミアンのふたり。もうひとり、地下牢のある北の塔に入るためにぜひ必要ということで、国王軍の捕虜となっていた近衛兵団の大隊長ルカナンが、うまくのせられて同行することになる。(2006.12.25記)
[PR]
by nishinayuu | 2007-08-12 14:59 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)