カテゴリ:読書ノート( 1081 )

『間島パルチザンの歌』(槇村浩著、新日本文庫)

高知県出身のプロレタリア詩人・槇村浩の詩集。若くして世を去った詩人の、青春の苦悩と哀感を歌った全作品が収められている。タイトルになっている詩「間島パルチザンの歌」は、1932年に発表された彼の代表作で、国際的連帯感と革命への情熱をもって、日本の侵略戦争を告発した反戦詩である。
もしも、弾圧の時代を乗り越えて生き延びていたら、この詩人はその後の世界をどのように感じ、どのように詠っただろうか。彼にその機会が与えられなかったことが惜しい気もするし、一方では今の世界を見ずにすんで幸いだったかもしれない、とも思う。
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by nishinayuu | 2006-10-01 20:21 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『The Professor and the Madman 』 (Simon Winchester著、 Harper Perennial)

c0077412_2035549.jpgOxford English Dictionaryの初代編集者と、語彙の収集に多大な貢献をしたひとりの‘madman’の、30年にわたる交流の物語。辞書作りのドキュメンタリーとして、あるいは英語英文学裏話集として、あるいは推理小説としても読める。

☆古語や廃語、専門用語がふんだんに出てくるので、辞書を引きまくって読みましたが、それだけの手間暇をかける価値はありました。
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by nishinayuu | 2006-09-27 16:43 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『《ゴーシュ》という名前』(梅津時比古著、東京書籍)

c0077412_20355799.jpg『セロ弾きのゴーシュ』のゴーシュという名前は、フランス語のgauche(不器用な、下手な)から来ているというのが通説だが、ほんとうにそうだろうか、というところから始まる知的探索の物語。宮沢賢治の読書傾向、賢治の手元にあったと思われる書物や辞書類を緻密に検証して論を進めており、実に説得力がある。
ノンフィクションでこんなに興奮したのは久しぶりである。世の多くの宮沢賢治ファンにぜひおすすめしたい。
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by nishinayuu | 2006-09-26 15:03 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『容疑者Xの献身』(東野圭吾著、文芸春秋社)

c0077412_20365171.jpg完璧なアリバイ、数学者と物理学者というふたりの天才のからみなど、ミステリーファンの間で高い評価を得ているのが納得できるおもしろさだった。
冒頭に、問題の数学教師が勤める学校の位置が説明されているが、そこには実際に私立の女子高校がある。そこをモデルにしたのかとある人が著者に問い合わせたところ「無関係です」という答えが返ってきたという(学校関係者から聞いた話)。それはともかく、細部にリアリティーがあり、テンポも良くて、一気に読ませる。
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by nishinayuu | 2006-09-23 17:43 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『二人乗り』(平田俊子著、講談社)

c0077412_2037437.jpg平々凡々とした人たちの淡々とした日常生活、と思いきや、実は突拍子もない人たちの一風変わった生活が描かれていて、なかなか愉快な物語。
嵐子さん、不治子(嵐子さんの妹)、道彦(不治子の夫)のそれぞれを主人公としたオムニバス形式の作品。
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by nishinayuu | 2006-09-22 14:44 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『ボストン、沈黙の街』(ウイリアム・ランディ著、東野さやか訳、早川書房)

c0077412_20383857.jpg知的で上品な都市というイメージのボストンがかかえる暗い部分が浮き彫りにされる。すさまじい死体の描写から始まり、ハードボイルド的な展開になるのかと懸念したが、意外にも情感あふれる雰囲気で話が進んでいく。訳が懇切丁寧でいい。

☆この本は図書館にインターネット予約をして借りました。もし、実際に図書館に出かけて借りる本を物色していたら、きっと借りなかったと思います。カバーに、ピストルを手にしたあまり風体のよくない男の写真がついているからです。もう少し内容に見合ったカバーがついていたら、この本はより多くの読者を獲得できると思うのですが。
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by nishinayuu | 2006-09-18 11:41 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『 安楽病棟』(帚木蓬生著、新潮社)

c0077412_20393277.jpg読書会「かんあおい」2006年5月の課題図書。4年前に一度読んでいるが、とにかく嫌な内容の本だった、ということしか覚えていなかった。今回読み直してみたら、戦争体験談集としても読め、推理小説としても読める、なかなか読みでのある本だった。

☆4年前の読書ノートを見てみたら「推理小説としては謎解きが易しすぎる。そしてテーマは重過ぎる」という感想が書いてありました。4年前より推理力が落ちているのかもしれない、と自分の脳の状態が心配になりました。
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by nishinayuu | 2006-09-17 11:28 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『今だから見える』 (金昌完著)

c0077412_1601164.jpg『이제야 보이네 』( 김창완著、황소자리)
「今になって見えてきたこと」を軽妙な筆致で綴った、真摯で温かい随筆集。
著者は1954年生まれ。グループ「山びこ」のリード・ボーカルであり、ラジオ番組「麗しい朝、キム・チャンワンです」を担当する放送タレントであり、映画・ドラマで活躍する俳優でもある。

☆この本にはCDがついていて、著者の歌と、本文朗読が収録されています。穏やかで深みがあり、朗々としたその声を聞いていると癒されます。
映画では「エンジェル・スノー」「愛しのサガジ」「シンソッキ・ブルース」、ドラマでは「新貴公子」などに出ています。私は「新貴公子」しか見ていませんが、声を聞いただけで、「あ、彼だ」と分かる、独特のいい声を響かせながら、フザケタ人物を演じています。
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by nishinayuu | 2006-09-14 11:03 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『私の正しい韓国語の書き方ノート』

c0077412_15585671.jpg『나의 한국어 바로 쓰기 노트』(남영신著、 까지)
大野晋の『日本語練習帳』の韓国版といったところ。韓国人のために書かれたものだが、韓国語を学ぶ外国人にも大いに参考になる。『国語辞典』の編者でもある著者の、「正しい韓国語」を普及させようという情熱が伝わってくる。
ただし、文学的に優れた表現まで杓子定規に糾弾していると思えるところもあるのが気になる。著者が指摘しているように韓国の一部の作家が悪文を書きまくっているのは確かなようだが。
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by nishinayuu | 2006-09-13 22:59 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

『忘れられた島(ノーチラス号の冒険1)』(ヴォルフガング・ホールバイン著、平井吉夫訳、創元社)

c0077412_20404651.jpgドイツで300万部出たというベストセラー冒険ファンタジー、全12巻の第1巻。物語はジュール・ベルヌの『海底二万里』の後日談で、少年の一人はノーチラス号のネモ船長の忘れ形見、ということになっている。国籍の異なる少年たちが海での冒険に乗り出すという設定は、ベルヌの『十五少年漂流記(二年間の休暇)』と同じで、イギリス人の少年があまり尊敬できない人間に描かれているところもよく似ていて面白い。
今のところ、第2巻『アトランティスの少女(ノーチラス号の冒険2)』までしか出ていない。
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by nishinayuu | 2006-09-09 10:21 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)