『花粉の部屋』(ゾエ・イェニー著、平野卿子訳、新潮クレストブックス)

c0077412_8522063.jpg主人公ヨーの幼い頃、「通りを2,3本へだてたところに母が越し、わたしは父と残った」。仕事で出かけた父が戻ってこないかもしれないという不安は、恐ろしい虫の形になってヨーを襲う。日曜ごとに会っていた母ルーシーもやがて新しい恋人アロイスとともに遠くに去ってしまう。時が経ち、高校を出たヨーは12年ぶりにルーシーを訪ね、ルーシー、アロイスの3人で暮らし始める。しかし、やがてアロイスが交通事故で亡くなると、ルーシーは彼の部屋を花粉でいっぱいにして閉じこもってしまうのである。
なにかを探し求めてさまよい続けるヨー。そんなヨーの目に映るものが次々に語られていく形で進行するこの物語は、ある種のフランス映画を思わせる。登場人物たちが心情を吐露することなく、次から次へと場面が転換していって掴み所がない映画。哀愁と美しい映像が印象に残る映画。そんな感じの物語である。映画になったらぜひ見てみたい。(2008.6.2記)
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by nishinayuu | 2008-08-21 08:52 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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