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『鮭』 (アンドヒョン著)

c0077412_8515060.jpg『연어』(안도현著、문화동네)
「鮭、という言葉には川の匂いがある」という文で始まるこの小説は、仲間とともに北の海から生まれ故郷の川を目指して旅を続ける一匹の雄の鮭の物語である。全身が白っぽいために敵に狙われやすい主人公「銀色」は、仲間に守られるように群の中央を泳いでいる。海でミサゴに襲われたときはすぐ横を泳いでいた姉が身代わりになり、川辺で熊に襲われそうになったときは、彼をそっと見守っていた「きらら瞳」が警告を発して彼を救う。こうしてみんなに守られて目的地を目指しながらも、彼は自分たちが川に戻っていくのはなぜなのか、もっと他に意義のある人生(鮭生?)があるのではないかと思い悩む。「きらら瞳」は恋人として、またときには姉のように「銀色」をやさしく見守り、「海」は父親のように「銀色」導いていく。長い旅の末にやっと母なる川にたどり着いた「銀色」たちを、また新たな試練が待ち受けている。
と、書くとちょっとばかばかしい感じがするかもしれないが、「大人のための童話」と銘打っているだけあって、味わい深いなかなか読みでのある物語になっている。
この本は「大人のための童話」というシリーズの中の一冊で、他には同じ著者の『関係』『蒸気機関車ミカ』、黄皙暎の『砂村の子どもたち』などが入っている。(2008.5.25記)
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by nishinayuu | 2008-08-14 08:51 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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