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『落葉』(ガルシア・マルケス著、高見英一訳、新潮社)

c0077412_1041066.jpg短編集、とあるが200ページのうちの130ページほどが表題作『落葉(おちば)』で、他には10ページほどのごく短い作品が6編収められている。『百年の孤独』『族長の秋』で知られるマルケスの初期作品集である。
『落葉』の舞台は架空の村(町?)マコンド。ずっと昔にマコンドにやってきて、一時は医者として生計を立てたがやがて人々との交わりを断ったばかりでなく、急病人の治療も拒否して引きこもっていた男が自殺する。男を憎み、恨んでいた人々には、この男が少しずつ朽ち果てていくのを見ながら溜飲を下げるという絶好の機会が訪れたわけだ。しかし、男が現れたときからずっとかかわってきた大佐は、男の葬儀をして墓に埋めようと固く決心していた。一人で事を運ぶには歳を取りすぎている大佐は、娘に同行を命じる。娘は娘でなにか支えがほしくて、幼い息子を連れて行く。こうして老大佐と娘と孫、そして使用人たちは、葬儀を執り行うために死んだ男の家を訪れる。
物語は上記の3人が入れ替わり立ち替わり語り手となり、現在と過去を行ったり来たりしながら進んでいく。自ら孤独を選んだ男、自らの孤独を抱えながらさらに男の孤独にも付き合わされてきた大佐一家の姿とともに、都会から吹き付けてきた「落ち葉の疾風」によって荒れすさんでしまった村・マコンドが浮き彫りにされる。(2008.5.11記)
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by nishinayuu | 2008-07-29 10:41 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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