『謎のギャラリー 特別室』(北村薫【編】、マガジンハウス)

c0077412_10135441.jpg図書館で見つけたとき、表紙にあった北村薫【編】の【編】の部分を見落としていたので、家に帰って本を開いてみてびっくり。国内外の作家による非日常的な妖しい物語12編を収めた短編集だった。たとえば……
『遊びの時間は終わらない』(都井邦彦)は銀行強盗を想定した警察の訓練で、一人の警察官が想定外の行動に走ったため、あっさりと終わるはずの訓練が大勢の見守る見せ物に発展して収拾がつかなくなる話。
また、『エリナーの肖像』(マージャリー・アラン、井上勇訳)は古典的なミステリー、『ねずみ狩り』(ヘンリー・カットナー、高梨正伸訳)は吐き気を催すほど気味の悪い怪奇小説、『チャイナ・ファンタジー』(南伸坊)は不条理漫画(?)という具合。中には『俄あれ』(里見弴)のようなごく普通の小説もあれば、『歌の作り方』(阪田寛夫)のようなほのぼのしたものもあって、息抜きができる。つまり、ときどき息抜きが欲しくなる、ちょっと息苦しいギャラリーなのだ。(2008.5.9記)

☆いちばん興味深く読んだのは『獅子の爪』。中学1年の国語の教科書に載っていて大好きになったテオフィル・ゴーティエの詩の訳者である内藤濯が訳しているからです。それで、物語の内容より、文体、仮名づかい、用語についつい気を取られてしまったせいか、いくつか引っかかる表現がありました。たとえば「彼女は(中略)赤い服を着た連中のほうへ、見下げ果てた様子をして、額で軽く辞儀をした」は「見下すような態度で」、「いかにも娘らしく、人前を恥ぢる一方で、男の児らしい無遠慮な振る舞いを見せる彼女は」は「男の児のような」でしょうね。
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by nishinayuu | 2008-07-26 10:14 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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