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『ペイチェック』(フィリップ・K・ディック著、浅倉久志・他訳、早川書房)

c0077412_9314443.jpg表題作の映画公開に合わせて編集された作品集で、2004年1月に発行されたもの。収録作品は以下の通り。
初期(50年代)の作品8編――ペイチェック、ナニー、ジョンの世界、たそがれの朝食、小さな町、父さんもどき、傍観者、自動工場
中期(60年代)の作品2編――パーキー・パットの日々、待機員
後期(70年代)の作品2編――時間飛行士へのささやかな贈り物、まだ人間じゃない
さて、表題作の『ペイチェック』であるが、読み終わったすぐ後にたまたまTVで映画をやったので見てみたが、原作とはまったく違うものになっていた。原作と同じなのは、主人公が極秘プロジェクトに技能を提供し、プロジェクトに参加した3年間の記憶を消される代償として受け取るはずだった莫大な報奨金の代わりに、がらくたばかりが入った封筒を渡された、という大筋だけ。原作はユーモアのある軽快なストーリーなのに、映画は派手な(あいまいな表現!)パニックものになっていて、ヒロインも原作とは別物。原作だけ読むか、映画だけ見るか、どちらか一方にすべきだった。
『きみがいた時間 ぼくのいく時間』の巻末対談で梶尾真治が「ディックの初期の作品が好き」と言っていたが、『ジョンの世界』などを指しているのだろうか。グロテスクなところ、後味の悪いところがなくていい。ただし、2051年にまだ「ソ連」が存在している!近未来ものはこれだからやっかい。不条理世界が繰り広げられていて「怖い」のは『小さな町』『傍観者』『まだ人間じゃない』など。(2008.3.25記)
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by nishinayuu | 2008-06-14 09:31 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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