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『エンジェル エンジェル エンジェル』(梨木香歩著、新潮文庫)

c0077412_1021054.jpgこの著者の作品には「おばあさん」が重要な役で登場することが多いが、この作品にはなんと「おばあさん」がふたりも登場する。コウコたちと暮らしている「ばあちゃん」と、田舎からときどきさわこたちを訪ねてくる「ばばちゃま」である。「ばあちゃん」が出てくる場面の語り手はコウコ。ほぼ寝たきりの「ばあちゃん」が夜中にトイレに行くのを手伝っているうちに、少女の声で語る「ばあちゃん」と不思議な時間を共有するようになる。「ばばちゃま」が出てくる場面の語り手はさわこ。お手伝いのツネにもさわことおそろいのおみやげを持ってきてくれる優しい「ばばちゃま」の唯一の趣味は木彫りの観音様を彫ること。「ばばちゃま」から木彫りを習ったツネに、さわこは天使を彫ってほしいと頼む。その日、学校で、憧れの翠川先生(この名前、決まりすぎ!)と美少女の山本コウコの特別な親しさを目撃したさわこは、自分の中に天使ならぬ悪魔が潜んでいることを自覚したのだった。
「ばばちゃま」の出てくる場面は旧仮名遣いになっていて、言葉づかいも古めなので、こちらはずっと昔の話だとわかる。この過去の時代に講堂に鳴り響いた天井扇のモーター音と、「ばあちゃん」の出てくる現代に鳴り響いている水槽のモーター音、過去のコウコと現代のコウコ、天使とエンゼルフィッシュ、などなど謎と仕掛けがいっぱい隠されていて、短い話なのになかなか読みでがある。(2008.3.21記)
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by nishinayuu | 2008-06-07 10:21 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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