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『その名にちなんで』(ジュンパ・ラヒリ著、小川高義訳、新潮クレストブックス)

c0077412_13264310.jpgアメリカで暮らすベンガル人親子二代の物語。一代目は、カルカッタでベンガル式の見合い結婚をしたアショケとアシマで、夫のアショケが勉学中のアメリカで新婚生活を始めたふたりはやがて男の子の親になる。子どもの名前はベンガルにいる祖母につけてもらうことになっているのに、祖母からの手紙はなかなか来ない。ふたりはとりあえず、子どもを「ゴーゴリ」という愛称で呼ぶことにする。アショケの人生に一大転機をもたらした本『外套』の著者の名からとったものだ。そうこうするうちに、アシマの父が急死する。葬儀にかけつけるにはゴーゴリのパスポートを急いでとらねばならない。それでパスポートには正式名として「ゴーゴリ」と記される。ベンガル人の名前としても、アメリカ人の名前としても普通ではないこの名前の持ち主が二代目の主人公である。アショケにとっては深い意味を持つゴーゴリという名前が、息子のゴーゴリにとってはなんともやっかいなお荷物のようになっていく。
ベンガル人としての生き方を貫く親の世代と、新しい生き方をしていく子の世代。それぞれの日常が細やかに、鮮やかに描き出されている。文体が独特で、ぶっきらぼうといってもいいほどの短い文が連なっており、そのせいか、ついつい読むスピードが上がってしまう(そんなことってある?)
後ろカバーの内側に著者ラヒリの写真がある。はっとするほどの美人で、「私を見て!」とでも言っているような迫力。著作に写真を載せるだけのことはある。(2008.3.9記)
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by nishinayuu | 2008-06-03 13:26 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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