『西の魔女が死んだ』(梨木香歩著、楡出版)

c0077412_10132927.jpg読書会「かんあおい」2008年3月の課題図書。
魔女が登場するファンタジーかと思わせるタイトルだが、「魔女」というのは主人公である‘まい’の母方の祖母のこと。日本人と結婚して日本に定住したイギリス人で、相手の日本人、すなわち‘まい’の祖父が死んだあと、田舎でひとり暮らしをしている。中学に入った直後にいわゆる登校拒否状態になってしまった‘まい’は、しばらくこの祖母と一緒に過ごすことになる。祖母は何でも手作りする昔ながらの生活を守っている人で、身の回りの動植物にも、人間にも優しい目を注いでいる。優しく、同時に厳しく自然と向き合って暮らしている、‘すごい人’なのである。この祖母との暮らしの中で、‘まい’はいろいろなことを学び、立ち直っていくのであるが、さて、なぜ「魔女」なのか。これは‘まい’の母が自分の母親につけた名前なのだが、母にとって祖母はいかなる存在だったのかがかいま見える命名である。この物語はあくまでも‘まい’と祖母の物語なので、母については詳しく語られていないが、この母も一筋縄ではいかない感じの人で、興味をそそられる。
『家守綺譚』で植物に詳しいところを披露した作者だけあって、初期のこの作品にもいろいろな植物を登場させている。サンドイッチにはキンレンカ(ナスタチウム)が挟んであるし、穴に落ちれば銀龍草がみつかり、台所のドアの所にはキュウリ草が生えている、という具合。この作者の魅力の一端はこんなところにもある。(2008.2.18記)
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by nishinayuu | 2008-05-20 10:13 | 読書ノート | Trackback | Comments(3)
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Commented by sakura-kanade at 2008-05-22 09:46
はじめまして!sakura-kanadeと申します。
素敵な本でしたよね。
私はおばあちゃんと孫の関係をとてもよく表現しているなーと
感心して読みました。
また遊びにまいります!
Commented by nishinayuu at 2008-05-23 23:47
遊びにいらしてくださってありがとうございました。お礼にsakura-kanadeさんのブログを拝見しました(お礼になるでしょうか?)まずテンプレートの美しさにびっくり。記事の部分もすっきりしていてすてきなブログですね。
Commented by sakura-kanade at 2008-05-26 12:53
遊びにきてくださったのですね!ありがとうございます。
お褒めいただき、素直に喜んでおります。
また是非、いらして下さいませ。
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