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『幼年期の終わり』(A.C.クラーク著、福島正美訳、早川書房)

c0077412_9431578.jpg『2001年宇宙の旅』の作家クラークの代表作。人類の未来、あるいは、人類最後の日、人類最後の人間をテーマに描かれた、美しい彩りともの悲しい情感にあふれた作品。
プロローグで語られるのは、1970年代後半の地球。そこではソ連とアメリカが熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。はるかな宇宙に宇宙船を送り出すのはソ連が先かアメリカが先か。しかしどちらも勝者にはなれずに終わった。彼らの宇宙船より数千年分も進んだ巨大な宇宙船が飛来したのである。
第1部「地球とオーバーロードたち」で語られるのは、宇宙人と地球人とのぎこちない接触の始まり。地球人たちは自分たちの想像もできないほどに優れた知能と文明を持つ宇宙人をオーバーロード(上帝)と呼んで畏れ敬うが、彼らは地球人たちの前に姿を現さない。宇宙人側の代表カレルレンと接触できるのは地球人側の代表ストルムグレンのみであり、しかもストルムグレンはカレルレンの声を聞くだけで姿は見ることができない。
第2部「黄金時代」で語られるのは50年後の世界。オーバーロードたちがいよいよ地球人たちの前に姿を現し、地球上に平和で豊かな世界を現出させる。地球人たちは戦争も競争もなく、働かなくても豊かな暮らしを楽しめる理想世界の黄金時代を満喫する。しかしなぜかオーバーロードは、人類が宇宙に飛び出していくことだけは許さないのだった。
第3部「最後の世代」では、地球人の青年ジャンがオーバーロードの母星を突き止めようと、オーバーロードの宇宙船に潜り込んで密航し、オーバーロードの世界に到達する。しかしそれはほんとうに密航だったのか。なぜかオーバーロードは彼を静かに受け入れ、彼が意図したとおり、6ヶ月分だけ歳をとった状態で80年後の地球に送り返してくれたのだった。(2008.1.28記)
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by nishinayuu | 2008-04-24 09:43 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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