『田園交響楽』(ジード著、新庄嘉章訳、河出書房)

c0077412_1828437.jpg2月の読書会でジードの『狭き門』を読むことになった。たいていの人が手許にある本で間に合うだろうから、というのが、担当者がこの本を選んだ理由の一つのようだ。読書会で取り上げる本は20日から30日の間に全員が回し読みできる本ということで、図書館で借りる場合は一度に数冊まとめて借りられるもの、購入する場合は店頭ですぐに手に入り価格も手ごろなもの、という制約があり、なかなか選ぶのが難しい。さて『狭き門』は我が家の場合、かつての「河出書房」の「世界文学全集25 ジード」に収まっているので、ついでに他の作品もと思い立ち、こちらの方を先に読んでみた。
日記の形で綴られた短い作品である。日記の書き手である主人公はノルマンディーの寒村で牧師をしている壮年の男。誠実で、きまじめな牧師である彼はある日、孤児になった盲目の少女を自分の家に連れて帰る。妻のアメリーは、家庭の事情を顧みない夫の身勝手とも言える慈悲心に反発や不満を覚えながらも、手の掛かる盲目の少女ジェルトリュードの身の回りの世話をする。妻のおかげで、牧師は少女を教え導くことに専心することができ、そうしているうちにいつの間にか少女を愛するようになっていく。一方、長く闇の中に閉ざされていて感情も思考も持たなかったジェルトルードも、牧師の導きで美しく賢い少女へと成長していくうちに、心の中で牧師への信頼と憧れの気持ちを育てていたのだった。だから彼女は、牧師の長男による愛の告白も退けてしまう。しかし、手術によって目が見えるようになった彼女は、それまで心の中で思い描いていた顔を、牧師ではなく、長男の顔の上に見たのだった。(2008.1.24記)

☆愛する少女の目が見えるようになることを願いながら、目が見えたあとに訪れる悲劇を予感し、実際その通りになってしまった男の哀切な物語……と要約してみると、まるでチャップリンの『街の灯』ですね。男の身分や性格、周りの状況にも全く共通点はないのですが。なお、画像は新潮文庫のものです。
[PR]
by nishinayuu | 2008-04-19 18:28 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://nishina.exblog.jp/tb/8692169
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< 「菜の花や月は東に日は西に」ほか一句 『異星の客』(ハインライン著、... >>