『異星の客』(ハインライン著、井上一夫訳、東京創元新社)

c0077412_101045.jpg1969年2月21日初版の「創元推理文庫779」で読んだ。本文769ページという分厚い文庫本で、価格は390円という安さ!某国の単行本は読んでいる最中にページが外れてしまうことがときどきあるのに、この本は製本もしっかりしている。SFファンの家人が若い頃に読んだあと、長年天袋で眠っていた本書を読もうと思い立ったのは、2006年10月に読んだ『ジェイン・オースティンの読書会』に言及されていたため。ずっと気になっていたのを今回やっと読み終わり、宿題を終えたような気分を味わっている。
さて、異星の客とは、第一次火星探検隊の学者夫婦の子として火星で生まれ、探検隊でただひとり生き残った青年、マイケル・スミス、通称マイクである。火星からきた男であるマイクは、血統としては地球人であるが、地球人とは異なる思考と、地球人にはない特殊な力を持っていた。初めのうち、慣れない地球環境の中であまりにひ弱だった彼は、学者であり作家であるジュバル・ハーショーの庇護の下に、匿われるようにして過ごす。マイクはしかし、驚くべき早さで身体能力を高めるとともに、言語を習得して次から次へと書物を読破し、精神的にも急速に成長していく。やがてマイクは、初めからずっと保護者の役割をしてきた看護婦のジリアンをはじめ、ジュバルの女性秘書たち、ジュバルの使用人の男たちに影響を与えるようになり、いつの間にか人々を保護し、導く立場へと転じていく。こうして火星から来た男マイクは、地上に一つのユートピアを出現させるのである。
「なお本書は、ヒッピー族の聖典としてアメリカにおいて、昨年度より爆発的な売れ行きを見せていることを付記しておきます。」と訳者あとがきにあり、当時の興奮がいきいきと伝わってくる。(2008.1.23記)
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by nishinayuu | 2008-04-17 10:10 | 読書ノート | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from muse-9 at 2008-04-17 13:54
タイトル : 出版・書店業界の打開策あります!
先日、『もし新聞がなくなったら』ということについてブログを書かせていただいたが、文字離れと言われて久しい昨今、出版や書店業界も人ごとではないだろう。 現に、出版業界の事実上の倒産や民事再生法適用は、ここ最近ニュースになる機会が増えているのだから・・・。 そんな、文字離れ・読書離れの打開策になるような映画がスタートした。 『ジェイン・オースティンの読書会』 単行本も出ているので気になる方はそちらもどうぞ。 カレン・ジョイ・ファウラー 著/矢倉 尚子 訳 『ジェイン・オースティンの読書...... more
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