『ガール』(奥田英朗著、講談社)

c0077412_11351775.jpg「ヒロくん」「マンション」「ガール」「ワーキング・マザー」「ひと回り」の5編からなる短編集。主人公はいずれも、東京にある会社で総合職として働いている30代の女性。著者は男性名を名乗っているけれど、実は女性?と思わせるほど女っぽい発想、反応、にあふれていて、その巧みさに感服したり、ときにはあきれたりしながら、かる~く読める。
実は私は会社勤めの経験がないので、どの話も実体験とは結びつかない。それでも身近に、「ヒロくん」のように屈託のない男性と暮らす女性を見ているし、「マンション」にあるような、[パノラマの夜景、日曜日には神宮外苑を散歩して]というマンション生活をしている女性も知っている。もちろん「ワーキング・マザー」の孝子のように、職場では子どもや家庭をちらつかせることは絶対にしたくない、という女性も知っているので、どの話もムリに作ったものではないことがわかる。特に、[ヒロくん]の中で、主人公がトイレに駆け込んで泣く場面は、実際にそれをやったことがある人から聞いているので、思わず笑ってしまった。笑う場面ではないのだが。 主人公たちはいずれも、理不尽な男社会の中でもがきながらも成長していく。30代に限らず、働く若い女性たちへの応援歌とも言える作品である。(2008.1.17記)
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by nishinayuu | 2008-04-12 11:35 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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