『ヴァチカンからの暗殺者』(クィネル著、新潮文庫)

c0077412_13542533.jpg実在した人物、ソ連のアンドロポフ書記長とヴァチカンのヨハネ・パウロ二世が登場する、事実と虚構をない交ぜにした作品。1987年に発表されたもので、その時点で読んだ人は相当興奮したに違いない。
アンドロポフはKGBを使って目障りなヨハネ・パウロ二世を亡き者にしようと計画する。これを知ったヴァチカン関係者たちが動き出す。やられる前に逆にアンドロポフを暗殺してしまえば、法王暗殺計画そのものが流れてしまうだろうと読み、アンドロポフの元へ暗殺者を送り込むことにしたのである。首謀者は三人の聖職者。ただしひとりは計画の初期の段階で病死、もうひとりも実際の行動にはかかわらないので、実質の首謀者はベーコン司祭と呼ばれるオランダ人司祭ひとりである。目的のためなら何でもやる、というすさまじい人物で、やたらにタフでもあるこの人物が主役のひとり。もうひとりの主役は元ポーランド秘密保安機関少佐のミレク・スツィポルで、アンドロポフに個人的な憎しみを抱いている男。こちらもまたあきれるほどタフな肉体を持っていて、冷徹、非情でもあるが、物語の進行と共に人間的に成長していくところが、物語をふくらみのあるものにしている。ヒロインの修道女を始め、何人もの美貌の女たちも活躍する、サービス満点の作品である。(2008.1.6記)
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by nishinayuu | 2008-04-03 13:33 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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