『山のある家 井戸のある家』(津島佑子・申京淑著、集英社)

c0077412_10103119.jpgソウルの山の見える家で小説を書いている申京淑(シンギョンスク)と、東京の井戸のある家で小説を書いている津島佑子が、2006年1月から12月までの一年間に交わした往復書簡集。ふたりとも相手のことばは読めないということだが、過去に何度か顔を合わせていて、心が通じ合うような感じを抱いていたことから、往復書簡を本にするという企画が持ち上がり、実現したという。歳の差もあり、翻訳者を通してのやりとりということもあり、出版を意識したものであるという制約もあるためと思われるが、「うち解けた」というよりは「礼儀正しい」文が綴られている。そうした堅苦しさはあるが、それでも、それぞれができるだけ率直に自分の思いを語り、相手の思いをしっかり感じ取ろうとしていることが伝わってきて、非常に気持ちよく読める。
申京淑の作品が好きでいくつか読んでいる私には、彼女がそれらの作品について触れている部分が特に興味深かった。申京淑の作品には雪の場面がよく出てくるが、彼女が山のある家に住んで雪の山にも親しんでいるとわかって納得した。津島佑子の作品にはこれまで縁がなかったが、人柄にも文章にも魅せられて、作品が読んでみたくなった。(2007.12.7記)
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by nishinayuu | 2008-02-16 10:10 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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