『あなたが最後に父親と会ったのは?』(ブレイク・モリソン著、中野惠津子訳、新潮クレストブックス)

c0077412_10222188.jpg田舎の開業医として、自由気ままに溌剌として生きてきた父親が、ある日突然、末期癌で余命幾ばくもないことがわかる。息子である語り手は、父の最後の日々を見守りながら、父と過ごした日々の記憶を辿る。
医者であることに誇りを持っていた父。変なところにけちくさく、人を出し抜いて小さな得をすることに異常な情熱を持っていた父。妻や子を愛しながらも、他の女性も愛した父。妻をお母さんと呼び、もうひとりの女性をおばさんと呼んで、息子にはその女性を親戚ででもあるかのように思わせようとした父。息子が成人してからもなにかと口を出し、世話を焼いて支配しようとした父。そんな父を疎ましく感じていた息子は、父と過ごしてきた日々を断片的に思い出しては語るうちに、自分自身の半生を振り返り、自分自身を見つめることになる。そして息子は父という人間に情愛を感じるようになり、父を理解し、父を愛した母を理解していくのである。(2007.11.22記)
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by nishinayuu | 2008-02-09 10:22 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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