『朝霧』(北村薫著、東京創元社)

c0077412_7493992.jpg「山眠る」「走りくるもの」「朝霧」の3部作。
この作品の前に『六の宮の姫君』を読んでおいたほうがいいようだ。それを知らずに読み始めたせいか、はじめのうち登場人物たちの人物像や関係がつかめず、彼らの丁々発止の会話について行けなかった。だいいち、かなりの間ヒロインは名無しのまま話が進んでいくのである。しかもこのヒロインが俳句やら落語やら歌舞伎やらに関してやけに博識なのだ。 これから出版社で編集者として働く人間という設定なのだから当然かも知れないが、何となくしらけた気分にさせられた。が、それははじめのうちだけ。落語家の春桜亭円紫さんの登場で、この作品全体が謎解きのおもしろさでできあがっていることがわかってからは、すっかり虜になった。最後の祖父の日記に出てくる判じ物を解いていくところなどは、鮮やかな手並みに思わず拍手したくなる。(2007.11.5記)
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by nishinayuu | 2008-01-26 07:55 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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