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『五重奏』(アンヌ・フィリップ著、吉田花子訳、晶文社)

c0077412_13582932.jpg舞台はパリのアパルトマン。夫を亡くして、リセの教師をしながら猫と暮らすアニエス。中庭を隔てた部屋でひとり暮らしをしていた母もなくなった。その部屋にある日新しい住人が引っ越してくる。看護師のイザと、失業中の夫ペーチャ、声変わり前の少年である息子のヴァンサン。アニエスとイザは互いに相手に惹かれ、急速に親しくなっていく。亡くなった人たちを思いながら孤独に暮らしていたアニエスに、心の通いあう女友達やその幸せな家族との交流という新しい生活が訪れる。しかし、仕事のない夫、父であることに悩んでいたペーチャは、ふとしたことで知りあった若いピアニストと恋に落ちてイザのもとを去る。イザは自分が愛の対象でなくなったことに苦しみながらもペーチャへの思いは断ち切ることができない。そんな中でヴァンサンのあどけない子ども時代も終わりを告げる。
このあと、若いピアニストも巻き込んで、五人の男女が静かに心にしみいるような五重奏を奏でていく。読後に、フランス映画を見終わったような感慨が残る作品である。ちなみに著者の夫はかつて一世を風靡した美男俳優ジェラール・フィリップ。(2007.11.2記)
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by nishinayuu | 2008-01-19 15:38 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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